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2015/09/08

これまで単純に "1 trillion" は 「1兆」 とばかり思っていたが

昨日の記事で紹介した NewsWeek の記事の見出し "There Are 3 Trillion Trees on Earth, 8 Times What We Previously Thought" に、注釈的に 「地球上には我々がこれまで考えてきた数の 8倍の、3兆本の木がある」 という訳を添えたが、この時 「待てよ、"trillion" って 『兆』 でよかったんだよね」 と、念のため辞書で調べたらとんでもないことがわかった。

iPhone にインストールしてある 『ウィズダム英和辞典』には、"trillion" は 「1兆(million の 2乗); 《英・古》 100京 (けい)(million の 3乗)」 とある。なんと、米語と英語の古語とでは意味が異なり、"1 trillion" は米語では 「1兆」 だが、英古語では 「100京」 という途方もない数を表すらしいのだ。英古語では "1 billion" が 「1兆」 で、「10億」 は "1 thousand millions" となるらしい。ああ、ややこしい。

ちなみに数字を表すとき、便宜的に 3桁ごとに "," (コンマ) を入れることが多いが、あれは 4桁区切りにしてくれる方が、「万、億、兆......」 という区切りと連動するので便利なはずだ。

「なんで 3桁区切りでわざわざ読みにくくしてるんだ?」 なんて言う人もいるが、あれは西欧人向けに最適化されているというだけのことだ。米語では 3桁ごとのコンマで区切られるたびに "thousand (千), million(百万), billion(十億), trillion(兆)......" と変化していくので、読み上げに直接的に連動して便利なのである。日本人の都合なんて無視されているのだ。

昔、小学校で日本人に馴染みやすいように 4桁区切りのコンマの入れ方も習ったような覚えがあるが、下手にグローバル化してしまったビジネス社会では、4桁区切りは全然市民権を得ていない。

こうした事情をしっかり頭に入れ、先に英語で読んで日本語に戻るというプロセスを身につけると、桁数の多い数字を日本語で読み上げる時もスムーズにいける。これは確実に、「英語に馴染むことによる付加的メリット」 と言っていいだろう。私のように数字に極端に弱い者でも、読み上げるだけならずいぶん流ちょうに読み上げることができる。計算はできないが。

ただ、フツーに使われる数は、どんなに桁数が多くてもせいぜい 1000億台、つまり 100 billions の位までで、「兆」 の位まで出てくることはあまりない。だから今回も、"3 trillion trees" が 「3兆本」 でよかったのかどうか、念のため確かめてみたくなったのである。

そして古語とはいえ 「100京」 なんていう途方もない数字を目にして、ビックリたまげてしまったわけだ。ただ、今の世界で普通に通用する英語としては、「1 Trillion は 1兆」 ということで問題ないようである。それがわかって一安心した。

ちなみに、英古語で 「1兆」 と言うときには、"1 thousand billion" となるらしい。日本語では 2音節で済むのに、5音節になってしまう。"1 trillion" でも 3音節なのだから、いずれにしても英語で数を表すのは、日本語より手間がかかる。

もう一つ、最近初めて知ったのだが、フランス語では 「10億」 は "1 millard" で、「1兆」 が "1 billion" となるらしい。1兆は英古語と同じだが、それでもこれだけバリエーションがあるということは、昔の人にとっては、ある程度以上に大きな数なんて、割とどうでもよかったんだろうと思うしかない。1000 は 「たくさん」 で、100万以上になったら 「ものすごくたくさん」 ということだ。

さらにもう一つ、英語では billion, trillion と続くので、既に察してしまった方もいるだろうが、それ以後は、quadrillion, quintillion, sexillion, septillion, octillion, nonillion, desilliion ということもわかった。京以後が、垓、禾予(合わせた 1文字) 、穣、溝、澗、正、載、極、恒河沙、阿僧祇、那由他、不可思議、無量大数 と、哲学的な響きすらもって続くのと比べると、かなり即物的だなあ。

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コメント

少し齧ったフランス語とスペイン語はどうだったかな、と
調べたところ、古い英語方式ですね。つまり、trillionは
100京です。しかし、フランスでも1948年までは今の米語と
同じく1兆だったようですが、戻されたようです。
この辺りは、wikipedia先生の「西洋の命数法」に
書いてありました。
ところで、日本語の京以降の、漢字三文字の単位というのは、
仏教用語でしょうか。仏典で出てきますか。

投稿: hokkaidense | 2015/09/08 22:42

hokkaidense さん:

古い英語は、元々はラテン語系から採り入れたもののようですね。

>ところで、日本語の京以降の、漢字三文字の単位というのは、
>仏教用語でしょうか。仏典で出てきますか。

恒河沙、阿僧祇、那由他 あたりは、仏典でお馴染みの言葉ですね。

元はサンスクリットで、中国語に訳されたもののようです。このあたりになると、たいてい元々の意味合いは 「ものすごくたくさんで、数えることすらできない」みたいなことのようです。

投稿: tak | 2015/09/08 23:35

御教示ありがとうございました。

余談ですが、スペイン語では位取りのカンマと
小数点が逆で、つまり、位取りにピリオドを、
小数点にカンマを使うので、非常に紛らわしかったのですが、
前者のルールをやめ、数字と数字の間のスペースを空ける、
というへんてこな新ルールになりました(数年前です)。
千=1,000=1.000(かつてのスペイン語)=1 000(今)
です。

投稿: hokkaidense | 2015/09/09 00:44

hokkaidense さん:

へえ、スペインではカンマとピリオドの使い方が逆だったんですか。知らなかった。

そして今はさらに独自のルールというわけですね。

我々が 「国際標準」 と思っているのは、案外少数派だったりして ^^;)

投稿: tak | 2015/09/09 15:09

こんばんは
その BILLIONですら 10^9[1E9](米国)だったり 10^12[1E12]((旧)英国) だったりするみたいです。
http://ejje.weblio.jp/content/billion
http://english.evidus.com/magazine/ibunka/155.html
昨今の感覚だと ギガ と テラ だと相当違うだろって ツッコミをいれたくなりますね。

今の中国の状況はといえば
http://www.sf.airnet.ne.jp/ts/language/largenumber.html
に詳しいですが 兆は 1E6(日本の100万)らしいので 注意したほうが良さそうです。

投稿: Sam.Y | 2015/09/09 21:41

Sam.Y さん:

いやはや、中国まで違ってるんですね。ご教示ありがとうございました。

投稿: tak | 2015/09/10 21:05

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