« 思っていた以上の水害に驚いている | トップページ | 今回の大水害の教訓 »

2015/09/11

堤防決壊とソーラーパネルに関する誤解を整理する

今回の大雨による鬼怒川堤防決壊は大変な被害となり、本日昼頃の時点で、行方不明者が 22人にも及んでいる。テレビニュースのヘリコプターからの映像をみていると、あの東日本大震災の津波の映像を思い出させるほどだった。我が家からほんの 20km ほどの近くで起きたことである。

この災害に関連し、メジャーなメディアではほとんど触れられていないが、ネット界隈でちょっとした話題になっているのが、「鬼怒川の堤防決壊の原因はソーラーパネル」 というものである。「ソーラーパネル設置のために 『無堤防状態』 になっていた」 というものまである。

さらに 「ソーラーパネルなんて自然災害の元になる」 「太陽光発電は悪で、原発は善」 「民主党政権時代に太陽光発電を奨励したのが悪い」、さらに 「民主党が  『仕分け』 で、堤防建設予算を削ったせいだ」 などと、言いたい放題が連続するのは、こうした災害時の常である。

堤防建設予算云々に関しては、この付近は堤防改修工事を控えていたのだが、それが間に合わなかったということらしい。民主党の 「仕分け」 で、ほったらかしにされていたというわけではないようだ。

ネットで検索してみて、もっとも客観的に書かれていると思われた『スポーツ報知』 の記事 (参照) によると、このソーラーパネルが設置された若宮戸地区では、昔から川に沿った丘陵部 (通称 「十一面山」) が 「自然堤防」 の役割を果たしてきた。この 「自然堤防」 の上にソーラーパネルを設置するため、昨年 3月に民間業者が 「横 150メートル、高さ2メートル部分を削った」 とされている。

この工事を見て不安を感じた住民から通報があり、市は河川事務所に連絡したのだが、削っても 「100年に1回起こりうる洪水の水位」 を下回るとされたため、工事中止には至らなかった。しかし民間事業者は住民の不安に配慮して、大型土のうを積んで対策を施した。他の情報によると、この 「十一面山」 は私有地のため、市はそれ以上の口出しができなかったとされている。

つまり、昔から 「自然堤防」 だったところの上部を平らに整地してソーラーパネルを設置し、その周囲に土のうを積んでお茶を濁したというのは、否定できない事実のようだ。そしてこの部分から鬼怒川の水があふれ出していたというのも、事実である。しかしここで重要なポイントは、決壊したのはこの部分ではなく、それよりも数キロ下流の石下地区にある 「人工堤防」 だったということだ。

私はたまたま昨日の昼前に、この付近をよく知る友人から、これに関する情報を得ていた。彼は電話で、「若宮戸辺りで堤防の高さを越えて水があふれている。さらにその下流の堤防には亀裂が入り、いつ決壊してもおかしくない」 と伝えてくれていたのである。

事実を整理しよう。ソーラーパネルの設置されたところは、「堤防決壊」 したのではなく、水が堤防を越えて 「あふれ出した」 のであり、決壊したのはそこから数キロ下流なのだ。だから 「ソーラーパネル設置が堤防決壊の原因」 というのは、限りなくデマに近い。

しかし、「だからソーラーパネル建設と洪水とは完全に無関係」 と言い切るわけにもいかない。スポーツ報知の記事も 「国交省関東地方整備局河川事務所は『因果関係は分からない』 としている」 と報じている。

太陽光発電推進派の私も 「各家庭の屋根にパネルを設置するのが本来の姿」 と思っていて、メガソーラーのようなものは 「やりたければどうぞ」 ぐらいに考えている。各家庭で 「自分の使う電気は、晴れてさえいれば自分で発電」 ということにすれば、原発なんて要らなくなるのだ。私は今年春に自分の家の屋根にもソーラーパネルを設置したので、このことをこれまでより大きな声で言える。

そして 「やりたければどうぞ」 と思っているメガソーラーに関しても、本来山林だったところなどの自然を破壊してまで作るのは、「そりゃ本末転倒だろう」 と考えている。今回の 「自然堤防」 だったところを削って設置するというのも、やはり 「ちょっとおかしいよね」 ということだ。そこから水が溢れたのは事実のようだし。

今回のような 「趣旨からしても、ちょっとおかしい」 ソーラーパネル設置は、こんなことにつながって、原発推進派を利することになりかねない。まあ、この 「私有地」 である自然堤防の所有者にしてみれば、税金だけかかる余計ものから、多少は利益を生み出したかったのかもしれないが、今となっては他の手段を考えるべきだったと思う。

【9月 12日 追記】

12日の記事につけられた hokkaidense さんのコメントで、このソーラーパネルに関してつっこんだ取材をした日刊スポーツの記事が紹介された。この記事を読む限り、ソーラーパネルはかなり強引な経緯で建設されたもののようである。多くの批判を呼びそうだ。

記事の URL → http://www.nikkansports.com/general/news/1536943.html

記事はそのうち削除されるだろうから、魚拓もとっておいた。こちら のリンクで読むことができる。

|

« 思っていた以上の水害に驚いている | トップページ | 今回の大水害の教訓 »

自然・環境」カテゴリの記事

コメント

堤防の亀裂を見たご友人がいるのですね。驚きました。地元の人の証言が一番重要ですね。今後の防災のためにも真相究明は必要でしょう。
私が気になってるのは決壊地点のすぐ横で大規模な工事が行われたことです。何か情報はありませんか。別のソーラー建設かも?

https://www.google.com/maps/@36.0991586,139.9665135,213m/data=!3m1!1e3

投稿: Masa | 2015/09/13 16:24

Masa さん:

恐縮です。それに関しての情報は、まったく得ていません。

投稿: tak | 2015/09/14 01:49

山林の伐採など自然環境を破壊してまでソーラー発電やることはないよね。本末転倒虫だ。

投稿: 深沢 照男 | 2015/11/09 22:45

深沢 照男 さん;

元々荒れ果てた土地で、ソーラー発電によってプラスの効果が見込めるなら、反対はしませんがね。

それでも私なら、植林を選びますけど。

投稿: tak | 2015/11/10 01:59

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/62261342

この記事へのトラックバック一覧です: 堤防決壊とソーラーパネルに関する誤解を整理する:

« 思っていた以上の水害に驚いている | トップページ | 今回の大水害の教訓 »