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2016/01/29

国というシステムは税金の無駄遣いをするようにできている

昨日書いた "「住基カード」 ってものがあったのだが" という記事の最後で、ちょっと自慢話を書いた。国の IT 関連の補助金事業というのは、成果物のほとんどが役にも立たない代物で、その打率は 2割以下という印象だが、「私の関係したものは、今もしっかりと実効的に稼働している」 と書いたのである。

ところが、これにもかなり馬鹿馬鹿しい裏話があるので、ちょっとバラしてしまおうと思う。少し差し障りがあるので、ぼかした書き方しかできないのが残念だが、まあ、国の税金の使い方なんて、こんなような無駄遣いが多いということだ。

15年以上も前のことだが、アパレル業界は生産プロセスの中で必要となるデータの互換性のなさに悩んでいた。多くのシステムが競合し、そのシステムの吐き出すデータがそれぞれ独自仕様なので、下請けが別のシステムを使っていると、いちいち紙の上に書き出してそれを自社システムで読み込み直すという、まったく無駄な作業を強いられていたのである。

当時、某アパレル関連団体に勤務していた私はその無駄を解消するために、どのシステムでも読み取り可能な、精度の高い中間ファイルを出力できるシステムを開発しようとしたが、なにしろお金がない。システムを作っているベンダーに作らせればいいようなものだが、彼らは顧客を囲い込みたがっているので、有力ベンダーほど互換システムなんか作りたがらない。

そこで国の補助金事業の募集に応募することにしたが、ちょっとした問題が起きた。経済産業省が言うには、「提案されたシステムはこの補助金事業の応募要件に満たない」 というのである、要するに 「単純すぎる」 というのだ。私は 「単純だからこそ、どんな中小企業でも確実に使えて広範囲に役に立つ。複雑で使いづらいシステムを作る気なんて毛頭ない」 と主張したのだが、そのままの形では遂に受け入れられなかった。

「そんな机の上だけで作られた応募要件なんかにしてるから、実際には必要でもなく役にも立たないシステムばかりこねくり上げられて、その結果、成果物の打率はいつも 2割以下なんでしょうが!」 という私の主張は、「おっしゃることは理解できますが、ごにょごにょ ……」 ということにしかならなかった。

結局、経済産業省は妥協案として 「提案されたシステムが実際に役に立つ可能性が高いというのは理解できたので、さらに高度なシステムを付加するというなら、補助金を付ける」 と言い出した。そこでこちらは仕方なく、一見高度で魅力的ではあるが、実際には誰も使わないだろうと思われる 「余計なオプション」 をくっつけて、補助金を得ることに成功した。

そして当然のごとく、初めから想定していた基本システムは期待通りに実効的に稼働し、今でも 「なくてはならない基本システム」 となっているが、「余計なオプション」 の方は、完全に忘れ去られている。今となっては、そんなものがあったと記憶している人もいないだろう。私としても、オプションの方には全然愛着もってないし。

つまり経済産業省は、低コストで確実に役に立つシステムは補助してくれず、まったく無駄なことには金を出すのである。要するにものを言うのは 「美しく作文された申請書」 だ。というわけで私の自慢話には、ちょっとした 「痛恨」 も付随しているのだ。

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