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2017/01/02

キーボードと入力メソッドについて

昨年夏頃の記事を今頃取り上げるのもナンだが、”Diamond Online" の "「若者のパソコン離れ」 が示唆する恐ろしい未来" というのにちょっと興味を引かれた。最近の新入社員の中には、スマホばかりいじって、PC のキーボードを打てないのが少なからずいるというのである。

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筆者の鈴木貴博さん  (百年コンサルティング代表) という方は、これをまったく否定的には捉えておらず、「20代前半の新入社員というものは頭脳が柔軟なので、パソコンのキーボード入力は数週間もすれば自然にマスターするようになる。(中略) その点では時が解決する問題と言える」 と書いている。しかしながら、「この問題、本質的にはもっと違う、より大きな問題を内包している」 として、PC というデバイスに関して次のように論じている。

やがて今の新入社員たちが 30代になり、製品設計や業務設計の中心世代になると、パソコン中心の業務フロー自体が時代遅れであることに気づくようになるだろう。

あんな大きな物体に机を占領させておくよりも、業務はスマホで十分だということに気づき、会社の仕組みは今よりもずっとスマートなものに変化するだろう。

この鈴木さんという方は基本的にはスマホのフリック入力すら苦手で、PC を使わない場合はタブレットで PC キーボードを表示させて入力しているらしい。しかし 「ある日本を代表するロボットメーカーのアジアでのシェアが落ちるという出来事があった」 という事実を挙げ、それが 「操作パネルがキーボードのままだった」 という理由によるということで、(少なくともアジアでは) フリック入力が主流を占めるようになるだろうとしている。

ただ気になるのは、どうも 「PC 離れ」 と 「キーボードか、スマホのフリック入力か」 という入力メソッドの議論が曖昧なまま論じられていることだ。私としては PC と QWERTY キーボードの必要性は、アジアにおいてもそんなに簡単に消滅するものではないと思っている。

そもそも私は 40年近く前に、英文タイプを打つことで初めてキーボード文化に触れたので、初めから PC キーボードの 「ローマ字入力」 には困らなかったが、それはいびつなメソッドだと思っている。その後、富士通のワープロ専用機 OASYS で伝説の 「親指シフト」 をものにし、PC に移行するために泣く泣く JIS キーボードに戻った。

この経験から言うのだが日本語のローマ字入力は、英文をタイプする時の快速感覚に比べたら、どんなに速くキーを叩いたとしても、いつまでもトップギアに入れず、ずっとセカンドギアのままでクルマを運転するみたいなものである (参照: 「和才洋コン キーボードのストレス」)。これは英文タイプから入った者としての実感だ。

つまり日本語を打つためなら、どんなに長文だろうと PC の QWERTY キーボードが最適というわけじゃない。どこまでもドメスティックに生きちゃうつもりなら、鈴木氏の言うようにスマホのフリック入力で十分だ。

しかし英語を使いたいとか、使わざるを得なくなるとかしてしまったら、やっぱり QWERTY キーボードが必要になる。他にものすごく便利なデバイスが発明されて、誰でもすぐに慣れて使えるようになるとでもいうなら話は別だが、こればかりはしょうがない。

だから 「フリック入力による新時代」 というのは多分来るだろうと思うが、それは思いっきりドメスティックなものということだ。しかも PC が必要ない程度の仕事しかしないという、ずいぶんなまくらな条件下の話である。

本当の意味での 「新時代」 にきちんと対応するためには、PC のキーボードもしっかり使える 「両刀遣い」 にならなければならないだろう。そしてその頃には、「ローマ字入力とフリック入力」 よりも、「英文入力とフリック入力」 を使いこなせる方がずっと使い物になるはずだ。PC のインターフェイスもフリック入力に対応するようになるだろうし。

最後にちょっとだけ触れるが、「若者の PC 離れ」 は、経済的要因、つまり 「若者は PC を買う金がない」 ということが大きいと思っている。経済的余裕があれば、若者だってスマホと PC の両刀遣いになるだろう。

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