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2017/02/05

石原慎太郎のやり口が通用する時代じゃなくなった

下に示したのは、東京都が発行している 「東京いちばガイドブック」 というパンフレットの 2015年度版の一部である。内容は築地市場がどうして豊洲に移転するのかというテーマについて、総合的に説明した物だ。(画像をクリックすると、全体の PDF ファイルを見ることができる)

170205

都庁のサイトの中にある "TOKYO ICHIBA PROJECT" というページには、「東京いちば ガイドブック」 の2012年度版から 2015年度版までの PDF ファイルが登録されているが、2016年度版というのは見当たらない。原稿は準備されていたのだろうが、いくらなんでも出せなかったんだろうね。

こパンフレットには Q&A 方式でいろいろな疑問に対する回答が載っており、「土壌汚染対策はどうなったの?」 という質問 (上図の左中段) には、「土壌汚染対策は完了し、用地の安全性が確認できました」 と、図入りで回答されている。ずいぶん白々しいことを書いたものである。

そもそも築地市場が豊洲に移転することが決まったのは 12年以上前のことで、2004年 7月には 「豊洲新市場基本計画」 が策定された。決定前から 「築地市場が豊洲の東京ガス施設跡に移るらしい」 という話は知れ渡っていて、「よりによって、そんな土壌汚染があるとわかっている場所に、どうして移転したがってるんだろうね」 と囁かれていた。

要するに、豊洲の土地が土壌汚染問題を抱えているということは、今に降って湧いた問題じゃなく、初めから知られていたのである。当時私は、仕事の関係で毎日のように 「東京ベイエリア」 と呼ばれる地域に足を運んでいたので、これを結構身近なことと認識していた。そして 「石原慎太郎のことだから問題はすべて無視して、強引に事を運んでしまうんだろうな」 と、とても悲観的に考えていたのである。

ところがここにきて、豊洲の土壌汚染問題が今さらのように大きく取り上げられ、都が実施した汚染対策なんておざなりなものだという事実が明るみに出された。そこでようやく、移転が棚上げされる事態に至ったわけである。私に言わせたら、「遅すぎるよ!」 ということになるのだが。

この間の推移を早く言ってしまえば、「日本の民度も、ようやくこの程度には向上してきた」 ということになるのだと思う。12年以上前は経済原則最優先で、東京都としては 「土壌汚染問題なんて、テキトーに言いくるめて乗り切れる」 と踏んでいたのだろう。だからこそ、あれだけ危ない危ないと言われていたにもかかわらず、施設がほとんど完成してしまうまで、立ち止まることもなく突っ走ってしまったのだ。

ところが今になってようやく国民、都民の環境問題、食の安全問題に対する意識が高まってきた。まだまだ十分なレベルに達しているとは言いがたいが、「豊洲ってヤバいんじゃないの?」 と、大きな声で言えるところまでは辿り着いたのである。

早く言えば、10数年前の都知事とお役所の連中が、都民を甘く見ていたのだ。1年や 2年で完結してしまうプロジェクトなら、ダッシュで既成事実を作ってしまえたのだろうが、いかんせん、規模が大きすぎて 10数年もかかってしまったので、その間に都民も少しは利口になって、容易には口車に乗らなくなったのである。

思えば壮大な無駄遣いをしてしまったものである。もはや石原慎太郎のやり口が通用する時代じゃなくなったのだ。

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