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2017/06/21

アパレル業界は 「殺される」 のではなく 「自滅」 している

日経 BP の 『誰がアパレルを殺すのか』 という本が注目されている。注目されていると言っても、限られた業界人たちの間だけのことかもしれないが、まあ、業界の裾野はアパレル業界だけじゃなくて小売業界、出版業界などに至るまで広がっているから、その範囲は案外広い。

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この本の内容は 『日経ビジネス Online』 で連載されていた (参照) もので、私はそれをリアルタイムで読んでいたし、今でもネットで読めるみたいだから、改めて買う必要はないと思っている。意外に思われるかもしれないが、私は 50代半ばまでアパレル業界周辺でメシを食っていた人なので、このあたりのことについては少しは詳しいのだ。

で、あえてエラソーなことを言ってしまえば、この本の内容は、アパレル業界を冷めた目で見ている者にとっては、「知ってた!」 の一言で済ませてもいいようなことである。昨年の 10月頃はこのシリーズの  「百貨店 3社トップ激白、“衣料崩壊” 後の針路」 という記事に反応して 「百貨店は付き合いきれない業界」 という記事まで書いている。

まさに率直に言わせてもらえば、アパレルと百貨店というのは一蓮托生の 「付き合いきれない業界」 という印象を持っている。付き合いきれない業界だからこそ、当然の如くに揃って自滅の道を辿っているのだ。「アパレルは銀行が最も金を貸したがらない業界」 なんて言われ始めて久しいし。

ファッション・ビジネス・コンサルタントの坂口昌章氏はこの本について  Facebook で、「『アパレル企業は誰に殺されたの』 というキャッチーな見出しが注目を集めているが、実は誰に殺されたのでもなく、長年の不摂生が祟り、成人病を患い、特定の原因もわからず、老衰で死んでいくのかもしれない」 (参照) と書いておられる。

この見方には全面的に賛成だ。まさに的確な指摘である。アパレル業界は、誰かに 「殺される」 のではなく 「自滅」 しているのである。どうしても 「殺す」 という表現を使いたければ、「自分で自分の首を絞めて殺している」 としか言いようがない。

遙か昔、ビジネス・スーツや 「お出かけ着」 は百貨店で誂えるという時代があった。しかし今や、そうした刷り込みのされた世代は、とっくにそうした服の需要から離れた 「高齢者」 になっていて、一方、若い世代は百貨店なんかで服を買わない。つまり百貨店の言うところの 「お客様」 なんて、既に幻になっているか、そうでないとしても極端に縮小しているのだ。

そして百貨店以外のチャネルの洋服のほとんどは、単価が安い。多少売れたとしても、高度成長期のような金額には遙かに及ばない。つまり昔のやり方を踏襲していては儲からない構造になっているのだが、それにきちんと対応している企業は少ない。

私は今、アパレル関連の仕事からは極力遠ざかっている。まともな報酬が期待できないし、もはや感覚的に 「付き合いきれない」 のだから、どうしようもない。ただ、中には少しはまともな努力をしている企業もあるので、そこに期待するのみである。

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コメント

私に友人は大学卒業後、アパレル会社で働いていましたが倒産、その後同じ業界の別の会社に勤めていましたがしばらくしてそこも辞め、今は他の業界で食いつないでいます。「つき合いきれない業界」と思ったようですね。

私は年に一度くらいは所謂「ポロシャツ」というのを百貨店で買いますが、確実に品質が落ちているのを実感します。生地の腰の弱さ、染料の耐久性のなさは昔とは全く違います。
ラベルを見ると東南アジアの国名が...。
そのブランドの会社は経営不振に陥って店舗数を減らしています。私に言わせれば理由は明白です。

メールマガジンが送られてきますが、カタログにある価格が一着何と30万とか40万!
そんなの誰が買うかい。

投稿: ハマッコー | 2017/06/21 21:57

「私に友人は大学卒業後」は「私の友人は大学卒業後」に訂正します。失礼いたしました。

投稿: ハマッコー | 2017/06/21 22:00

さぁて、いよいよお金をかけずにファッションを楽しむ時代がやってきましたよ。自分で自分をデザインできる、創意工夫がうまい人にとっては出番ですね!

例えば、何のへんてつもない白いシャツだって、見せ方次第で鮮烈な印象を与えることだってできるのです!要は美的センスです!高いものを買えばいい時代よさらば!(おぢさん今日はなぜにテンションが高い?)

投稿: 萩原ボウイ | 2017/06/21 22:55

ハマッコー さん:

まさに、付き合いきれなくなったんですね。

ちなみにポロシャツの品質で言ったら、今やユニクロの方が上じゃないかと思いますよ (^o^)

バブルの時代には、新入社員のニイチャン、ネエチャンが、一着 30万円の服を買っていたんですね。馬鹿馬鹿しい時代でありました。

投稿: tak | 2017/06/22 13:09

萩原ボウイ さん:

要するに、体型を維持しさえすれば安い服でも十分にファッショナブルに着こなせるってことなんですよね。

体型が崩れたら、着る物に金がかかります。

投稿: tak | 2017/06/22 13:11

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