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2017/12/24

「雰囲気 — ふいんき」 問題を巡る冒険

今月 17日付の "「不要タイヤが必要になる」 だと?" という、日本語の一音一拍がおろそかになっていることを論じた記事に、乙痴庵さんが 「iOS 変換候補にフインキで雰囲気が表示されやがった…。iOS、お前もか…」 とコメントしてくれた。この 「雰囲気 — ふいんき」 問題は一音一拍とは違い、「音位転換」 とか 「音転現象」 という範疇のものだが、いずれにしても、iOS までが 「ふいんき」 に迎合してしまったとは一大事である。

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言うまでもなく 「雰囲気」 の読みは誰が何と言っても間違いなく 「ふんいき」 なのだが、近頃では 「ふいんき」 だと思っている日本人が増えてしまっているようなのである。平仮名で 「ふいんき」 と入力しても 「雰囲気」 に変換されないと言って騒ぎ出す人もいた。

ここで 「いた」 と書いたのは、まさにそれが過去形になってしまったからに他ならない。iPhone で 「ふいんき」 と入力すると、上の図のように、「雰囲気」 が変換の第一候補として示されるようになってしまったのである。それだけでなく、ATOK でも 「ふいんき」 の入力で 「雰囲気 ≪ふんいきの誤り≫」 と表示され、そのまま確定キーを押すと、なんのことなく 「雰囲気」 に変換されてしまう。

個人的にはかなり腹立たしいが、今や 「雰囲気 — ふいんき」 は、少なくともかな漢字変換の世界では、ほとんど市民権を獲得してしまったようなのである。ただ、ここまで来てしまうと、「腹立たしい」 とばかりも言っていられないのではないかと思い始めた。

というのは、こうした 「音位転換/音転現象」 というのは、日本語の世界ではこれまでもなかったわけではないのである。ごく身近な例でいえば、この季節にきれいな花を咲かせる 「サザンカ」 が挙げられる。これ、本来は 「サンサカ」 という言葉だった。漢字で 「山茶花」 と書くのだから、「なるほど」 と納得してもらえるだろう。それがいつの間にか 「サザンカ」 で定着してしまったのである。

ほかに 「舌鼓」 がある。これ、言葉の成り立ちからして 「シタツヅミ」 が元の形なわけだが、やはりいつの間にか 「シタヅツミ」 で定着してしまった。同様に 「秋葉原」 も元は 「アキバハラ」、あるいは 「アキバッパラ」 と呼ばれていたが、今日では JR の駅名も 「あきはばら」 と表示されている。上でちょっと使った 「腹立たしい」 も、中には 「はらただしい」 なんて言う人もいるし。

もしかすると 「雰囲気」 も、将来的には 「ふいんき」 が正しい読みとして認知されてしまうかもしれない気がしてきた。生きている間にそんなことにならないように望むが、100年も経ったらどうなっているか、知れたものではない。

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言葉」カテゴリの記事

コメント

恐れ入ります。
本文登場、ありがとうございます。

「口語/文語」なんて習っていた訳で、時代とともに言葉は変化していくものと、腹に納めなければならないのでしょう。

学生時代に司会放送のクラブ活動に所属し、「NHKアクセント語辞典」が喋りの基本でした。
そんな流れで口語で必要な場合には、NHKアナウンサーに準拠しているつもりです。
「コンビニ」がニュースで流れる様になって、「〜たりとか」も当たり前になって、NHKアナウンサーの言葉も変化しているんですよねー。

ってこたぁ、「NHKニュース」でフインキが出る様になったら、諦めますかなと。

投稿: 乙痴庵 | 2017/12/25 12:45

乙痴庵 さん:

思わず 「ワシの目の黒いうちは許さん!」 なんて言いたくなっちゃいますね (^o^)

投稿: tak | 2017/12/25 21:27

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