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2017/12/23

クレーム電話の対応を巡る冒険

某メーカーで技術系の仕事をしている友人に聞いた話だが、会社には 「キャクソー」 と称する仕事のプログラムがあるらしい。これは 「お客様相談」 の省略形のようだが、要するに消費者からのクレーム電話の対応を経験するのが目的だというのである。

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趣旨としては、商品開発を行う技術者として、たまには消費者の生の声を聞いてみるということらしいのだが、実際には仕事でドジを踏むと一定時間のキャクソーをやらされるという、「罰ゲーム」 的な色彩のあるものと位置付けられている。建て前と本音とは、このあたりでずいぶんズレてしまう。

私は以前、アパレル関連で消費者クレームに関する管理に関わったことがあるので、そんな仕事をやらされるのは、技術系の人間にとってかなりのストレスの元になってしまうだろうと、心から同情した。ところが実際には、消費者対応のノウハウなんて持ち合わせない木訥な技術者の方が、消費者の怒りを鎮めて丸く収まってしまうケースが案外多いと聞いた。

クレーム対応専門の女性オペレーターが、いかにも手慣れた猫なで声でひたすら 「申し訳ございません」 なんて繰り返すより、即物的に技術論に行ってしまいたがる人間が対応する方が、消費者があっさり折れてしまうというのである。なるほど、ありそうな話だ。

コトを丸く収めようとして、ことさら丁重な対応に出ると、相手は往々にしてかさにかかって高圧的な態度になる。ところが、小難しい技術的な話を訥々と語り始めると、相手は虚を突かれてどう攻めたらいいかわからなくなってしまうのだろう。そもそもクレーム電話なんて些細なことが多いので、「今後は気をつけろ!」 の一言で終わってしまうケースが案外多いという。

要するに、人間というのは下手に謝られると調子に乗って強気で攻めるが、自分には理解できないような内容でドライに淡々とやられてしまうと、逆にちょっと引いてしまう傾向があるようなのだ。これは外交関係でもよく見られる構図である。

そんなわけで、欧米では何かトラブルがあった時には 「簡単に謝っちゃいけない」 というのが常識になっている。日本ではどういうわけか 「とにかく謝っておかないと話がこじれる」 と思われがちだが、実はあながちそういうわけでもないみたいなのである。

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コメント

日本はイメージとして「武士の国 サムライの国」ですからね。へこへこしたり、すぐ謝ったり、簡単にお金を出すようでは舐められてより高圧的に出られます。ミサイルで「ほれほれ」と威かされたり。
やはり落ち目でも懐がさびしくて外で飲めなくても、余裕をかまして「武士は食わねど高楊枝」の心意気で毅然とした態度でいることが大事ですね(そりゃお前自身のことやろ!)。

投稿: ゲスマリオ | 2017/12/24 11:09

ゲスマリオ さん:

この話の場合は、「毅然とした態度」 というより、ただ木訥に技術的な話をするだけ (だって、それしかできないし) ということのようですよ (^o^)

投稿: tak | 2017/12/24 23:07

「キャクソウ」は「お客様相談窓口」のことでしょうが、早い話が「苦情受付窓口」でもあります。でも「苦情」を使ったら色合いが悪くなるので「相談」なんでしょう。

私は、比較的よく「キャクソウ」に電話します。もちろん製品やサービスに問題があった時のみです。

「キャクソー」にどのような人材を配置するか、どのような回答をするかで企業の消費者に向かい合う姿勢がどんなもんかがよくわかります。
「キャクソー」は消費者にとっては企業の内臓を見るレントゲンのようなものです。

あのT島屋で商品を購入するとどういう訳か、全く違う商品が入ってた、配送された商品の一部が入ってなかった、商品を注文して後日受け取りに行ったら別の商品が来てたなどなど実にくだらないトラブルが多い。
メールで苦情を伝えると返答の文頭には必ず「あり得ないことです」と書いてあるが謝罪の言葉はない、そんなことあったんですかともとれる。いかにも百貨店らしい。客と真摯な態度で会話するつもりがない。

パソコンメーカーにパソコンの仕様について質問の電話をしたらどうもその用語を知らないらしい。「少々お待ちください」と言われ2分ほど待たされたあと返ってきた答えは「ここでは分からないので販売店に聞いてください」という回答だった。二度と買わないぞヒパは。

同じくパソコンの不具合について何か対処法がないのかと、TOに電話したら電話に出た女の子とは全く会話が通じない、パソコンには知識がないようで、出鱈目なことを言って早く電話を切らせようと必死なのが伝わってくる。さすがに腹に据えかねて上司を出させ「パソコンに無知な人物に電話をとらせるな」と怒鳴ってしまった。
この会社、解体寸前です。

30年前、ある電器メーカーの製品に明らかな設計ミスがあったので電話すると絶対にミスは認めない、とにかく販売店に言ってくれの一点張りでした。しかし一年後にでた次機種では私の指摘を受け入れたとしか思えない改良がされていました。今でも電話すると絶対に謝りません、機械は故障しますの一点張りです。リコールの多い会社です。
業界では「マネシタデンキ」で通ってます。

3年前に購入したモバイルバッテリーの性能が仕様とは明らかに違うとクレームの電話を入れたら「担当者からメールをさせます」とのこと。
後日メールが来ましたが「原因を調べたいのでぜひそのバッテリーを送ってください」とあったので送ったら、二週間後に「不良であることは確認できたので新品と交換させていただきます」ということで新品が送られてきた。保証期間が過ぎているのにこの対応には驚いた。
戦後生まれのこの会社は家電メーカーでは売上、利益、時価総額でトップに立っている。

時計会社の子会社が製造した電子辞書を買ったが7年後にバキッと音がして壊れてしまった。「キャクソー」電話したら修理代が1万かかるとのこと。買うより安いので修理に出したが、設計ミスを細かく指摘するメモを添えたら無償修理してくれた。

全て消費者が正しいとは言いませんが、ミスがあったら真摯に対応する「養分吸収」型企業と、とにかく「謝らない」撃退型企業に分かれるようです。

撃退型企業は製品に無知な人材を「キャクソー」に疑問を持たずに配置する傾向がありますね。当然業績は↓悪化傾向にある。

今日のは長すぎました。

投稿: ハマッコー | 2017/12/28 17:04

ハマッコー さん:

「簡単に謝っちゃいけない」 とは言うものの、メーカー/店側の明らかなミスでも、謝らない企業は謝らないんですね。まあ、いかにも 「エラソー」 な企業はそんなもんなんですかね。

クレームを吸収して役立てようという気がない企業はダメですね。

投稿: tak | 2017/12/28 19:54

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