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2018/02/15

「かんばしい」 と 「かんばせ」 は別々の成り立ちの言葉

「元々からして別の言葉なんだろうな」 と思いつつも、敢えてきちんと調べてみたことのない言葉に、「かんばしい」 と 「かんばせ」 というのがあった。とくに 「かんばせ」 の方は死語になりつつあると思う。

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改めて辞書にあたってみると、「かんばしい」 は次のように出ている。

かんばし・い 【芳しい/×馨しい/▽香しい】 の意味

[形] [文] かんば・し [シク] 《「かぐわしい」の音変化》
1  においがよい。こうばしい。「―・い花の香り」 「栴檀 (せんだん) は双葉より―・し」
2  (多く打消しの語を伴って用いる) 好ましいもの、りっぱなものと認められるさま。「成績が―・くない」
[派生] かんばしげ [形動] かんばしさ [名]
類語  香ばしい (こうばしい) かぐわしい

一方、「かんばせ」 はこうだ。

かん‐ばせ 【▽顔】 の意味

《「かおばせ」の音変化》
1 顔のようす。顔つき。容貌 (ようぼう) 。「花の顔」
2 体面。面目。「何の顔あって父母にまみえんや」

いずれも Goo 辞書からの引用だが、「かんばしい」 は 「芳しい」 と表記するように、「においがよい」 というのが元々の意味で、「香ばしい (こうばしい) 」 「かぐわしい」 が類語になっている。「栴檀は双葉より芳し」 というのは、元々の意味に沿っているが、「好ましい」 という一般的な意味の場合は 「成績がかんばしくない」 「かんばしい結果ではない」 などと、もっぱら否定形で用いられることが多い。

そして 「かんばせ」 という語の漢字表記は 「顔」 になるというのを、今回調べてみて初めて知った。「顔つき」 「体面」 の意味がある。用例としては、芭蕉の 『奥の細道』 で、松島の様子を 「その気色 (けしき)、窅然 (えうぜん) として美人のかんばせを粧 (よそほ) ふ」 というのがよく知られているが、最近では 「花のかんばせ」 以外の用例を知らない。

「かんばせ」 がほとんどいい意味で用いられるので、「かんばしい」 の名詞形が 「かんばせ」 のような気がするほどだが、実際は語源も違っていて、まったく別の言葉というのが確認された。そして近頃では 「かんばしい」 が否定形の中で生き残っているものの、「かんばせ」 の方はどんどん死語になっていくのだろう。

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