« 「オリンピックの酷暑対策」 でサマータイム導入とは | トップページ | 東京医科大の 「女子一律減点」 から透けて見えてきた深層意識 »

2018/08/07

「サギ = 鷺」 のアクセントに関する 「まともな」 レポート

先日、栃木県の大田原市だったかでシラサギが増えすぎて困っているというレポートをテレビで見た時、アナウンサーのアクセントに少々違和感を覚えた。私は 「サギ」 (「詐欺」 ではなく、鳥の 「鷺」 ね。念のため) という名詞のアクセントは、頭高型 (「詐欺」 と同じく、「さ」 が高い) と思い込んでいたのだが、アナウンサーは平板型 (「先」 などと同じ) でナレーションしていたのだ。

1808071

「へえ、鳥の 『サギ』 のアクセントって、平板なんだ!」 と驚いて、さっそくググって見ると、「鷺のアクセント」 というブログ記事が見つかって、こんな風に書かれている。(リンクは敢えて示さない)

NHKを見ていたら 「鷺」 が 「さ」 というアクセントになっていた。いや、平坦アクセントだったかな? 早速調べてみたら、「ぎ」 を強く (高く) 読むのが正しいそうだ。

申し訳ないが、はっきり言って、かなり 「イタい記事」 である。こんなのがググった結果のトップに表示されるのは、日本人として放っておけない。

この人、日本語のアクセント (イントネーションというべきという議論もあるが) ということがわかっていない。まず NHK のアナウンサーの 「鷺」 が、「ぎ」 の字をわざわざ大きく書くように聞こえたという点で、完全に耳がおかしいし、重ねて 「平坦アクセントだったかな? 」 というのだから混乱が深まっている (「平板型」 という用語を知らないようだし)。ダメ押しで、「調べてみた」 結果の解釈が滅茶苦茶だ。

この人が一体何で調べたのか知らないが、私も今日、ようやく図書館に行く時間ができたので、「NHK 日本語アクセント新辞典」 で調べが付いた。下に画像で示す。

1808072

ご覧の通り、「さぎ ≪×鷺≫ のアクセントは、「サギ」 の右側に赤い平らな線が付いており、即ち 「平板型」 であることが示されている。上述のブログの筆者もこの辞典で調べたのだとしたら、「ギ」 の右上に線が付いているので、つい "「ぎ」 を強く (高く) 読む" なんて思い込んでしまったんだろうが、「ぎ」 を高くいうなら 「サ/ギ」 と表示されるはずで、これはすぐ下の 「さぎ 【詐欺】」 が 「サ\ギ」 になっているので分かりそうなものだ。

ちなみに、「き」 に 「ぱぴぷぺぽ」 に使われる小さな 「マル」 が付いているのは、鼻濁音で発音されることを表している。そして 「×鷺」 となっているのは、NHK としては原則的に漢字は使わずに 「サギ」 と表示するということだ。なるほど、結構厳密に決められているのだね。

というわけで、ネットの世界にはこれまで 「サギ = 鷺」 のアクセントについて読むに足る記事が存在しなかったようなので、ここで (多分) 最初の 「まともな」 レポートを掲げさせていただくことにする。

で、これで済ませてしまったら、おもしろくもなんともないので、言葉にこだわるビョーキの私としては、語源にまで遡ってみることにする。「鷺の語源」 について 「語源由来辞典」 で調べてみると、次のように諸説ある。(参照

羽が白いから 「サヤケキ (鮮明)」 とする説
鳴き声が騒がしいことから 「サワギ (騒)」 とする説
「サケ (綿毛)」 「サケ (白毛)」 と羽毛に由来する説
「キ」 は 「トキ」 「シギ」 などと同様、「鳥」 を意味する接尾語で、「白い鳥」 を意味する
水辺の鳥なので 「イサ (磯)」 に 「キ (鳥を意味する接尾語)」 がついた

なるほど。思い込みからすると平板型の 「サギ」 というアクセントにはかなり違和感を覚えてしまうが、語源まで遡ると、いずれの説を採るにしても平板型が自然であるような気もしてくる。ただ、「トキ」 が頭高型で、「シギ」 が平板型なのは、「ギ」 と鼻濁音になると平板になるのかなあ。

まあ、ここまでくると疲れたので、そのあたりのことは今日は目をつむっておこう。

ちなみに、アクセント辞典で調べてしばらくしてから、「シラサギ」 とか 「アオサギ」 とかいう場合には、自然に平板型で言っていることに気付いた。「詐欺」 の場合は 「寸借詐欺」 とか 「結婚詐欺」 とかいう場合にも、元の形通りに 「さ」 にアクセントを置いているから、やはり元々のアクセントが違うのだろう。

|

« 「オリンピックの酷暑対策」 でサマータイム導入とは | トップページ | 東京医科大の 「女子一律減点」 から透けて見えてきた深層意識 »

言葉」カテゴリの記事

コメント

お恥ずかしい話ですが、私は「クマ(熊)」のアクセントを長い間勘違いしていました。
頭高型だと思っていたんですねえ。多分童謡「森のクマさん」のアクセントに引きずられていたのだと思います。
マにアクセントを置く言い方は方言だととらえていました(笑)

投稿: らむね | 2018/08/07 23:04

らむね さん:

私の生まれた山形県庄内地方は、「ま」 にアクセントを置きますが、これこそ標準のようですね。

頭高型だと、おっしゃる通り 「森のクマさん」 になりますね。平板だと 「目の下の隈 (クマ)」 になりますし。

ただ、「クマ」 の語源は鳴き声が 「クマ、クマ」 と聞こえるからだと言われていますが、これだとアクセントとしては説得力がちょっと落ちますね。関西弁ではどうなんだろう?

投稿: tak | 2018/08/08 12:04

takさまごきげんよう~
お久しぶりですね。
あ、びっくりしました~
私は鷺は前アクセントだと思っていました。
そう、詐欺と同じでした。
で、
平坦ですかあぁぁぁ~
びっくりです!!
なるほどそうなんですねぇ・・ふうぅぅむ。
たまに、NHKアナウンサーさんが
あきらかに間違っていると思える時がありますが、
きっと私が間違っているんでせう・・・涙
だったら朱鷺子のアクセントは?
どうしましょう・・・??

投稿: tokiko | 2018/08/08 20:09

tokiko さん:

お久しぶりです (^o^)

朱鷺は、本文にあるように、「頭高型」 です。NHK のアナウンサーもそのように言っていますから、悩むことはありません (^o^)

投稿: tak | 2018/08/08 20:18

熊本の「くまモン」さんも、実は平坦アクセントだそうです。

なんでかメヂアで、「く」にアクセントを置く言い方が浸透して、どうやら定着しちゃった様です。

「クマ出没注意」は北海道の定番ですが、この発音については正確に存じ上げませんですけどが。

投稿: 乙痴庵 | 2018/08/08 21:59

乙痴庵 さん:

「くまモン」 が平板型とは、昔、たしか九州に行ったときに知りました。

当初の意図としては、どうやら「熊本」 にかけたみたいですが、妙な勢いで全国区になったのが、予想以上の効果だったようです。

投稿: tak | 2018/08/09 10:16

語尾にいろいろ付くと アクセント変わりませんか?

青森 と 青森県
青森県立高校 (微妙)
青森 県立高校 かな 青森県立 高校 かな?
青森県立工業試験場 だと 平坦に 青森県立 工業試験場 と発音しそうですね。

投稿: Sam_Y | 2018/08/12 15:34

Sam_Y さん:

都道府県の名前は、「〜県」、「〜県立」 などが付くとほとんどアクセントが変わりますね。ざっとみたところ、例外が見当たりません (^o^)

投稿: tak | 2018/08/12 18:02

必死に都道府県の名前をつぶやいてみました(笑)

岐阜、大阪、鳥取、広島、熊本、鹿児島、沖縄などは府県がついても変わらないような気がします。面白いですね。

投稿: らむね | 2018/08/12 20:57

らむね さん

ぎふ    ぎ/ふ\けん (「ふ」 は無声音化しがちなので目立ちませんが)
おおさか  おおさ/か\ふ
とっとり  とっと/り\けん
くまもと  くまも/と\けん
かごしま  かごし/ま\けん
おきなわ  おきな/わ\けん

ですね。

平板型のアクセントの地名でも、直後に 「県」「市」 「町」 が付くと、直前の音が (わすかに) 上がるという法則があるようです。

平板型の地名を、「県・府」 が付く場合にも強く意識して平板で言ってみると、違和感が分かります。(「東京」 も同様です)

そして 「〜県立」 などになると、また平板に戻りますね。

そして 「村」 の場合には平板のままでも違和感が生じないどころか、平板でない地名でも平板化してしまうパワーまであるようです。

(例: 福島県の川内村)
か/わ\うち   かわうちむら (平板化する)

単に 「言いやすさ」 「しっくり感」 から来ているものと思いますが。

投稿: tak | 2018/08/13 07:28

は~、これらもアクセント違うんですか。なんだろう、リスニング能力が低いのかな?私には変化してないように感じられてしまって(笑)
(そういえば英語の試験のリスニングも苦手でした)

投稿: らむね | 2018/08/13 15:27

らむね さん:

これらの地名は、県 とか 府 とかが付かない場合は、すべて平板型アクセントです。

試しに、その平板のまま 、県 とか 府 を付けてみてください。(つまり、最初から最後まで、絶対に上げたり下げたりせず、フラットに固定して (難しく感じるなら、ピアノなどで 1つの鍵盤を叩きながら) 言ってみると、「ありゃ?」 となるはずです (^o^)

投稿: tak | 2018/08/13 17:05

うーん、かなり慎重に繰り返したんですがねえ(泣)

アクセント辞典は持っていないのでちょっと探したら「
日本語教育用アクセント辞典」というサイトの地名項目に載っている県名アクセントが私の感覚とほぼ同じようです。
ただ正式な出版物ではなくかつ非日本語話者向けなので、精確性には欠けるのかもしれません。
か/ごしま、か/ごしま\けん、と私なぞは発音している気がします。
(コメント欄で会話のようにやり取りを続けてしまってすみません)

投稿: らむね | 2018/08/13 18:17

らむね さん:

本当だ。「日本語教育用アクセント辞典」 では、おっしゃるようになっていますね。

私の方が変なのかなあ。

近いうちにきちんと調べてみますね。

投稿: tak | 2018/08/13 18:31

らむね さん:

まだきっちり調べたわけではありませんが、暫定的なお話です。

岐阜、大阪、鳥取、熊本、鹿児島などは、例えば、福島、静岡、和歌山、福岡、長崎などと比べて、アクセントの上がり下がりが微妙という気がします。

それで私としては、大雑把に 「平板」 と位置付けていたように思います。

それが、「府」 「県」 が付くと、上がり下がりが明確に変わるので、「変化する」 と捉えていたように思います。

日本語のアクセントというのは、きっちり 3段階 (上、真ん中、下) というように上がり下がりするわけではなく、微妙な差があるんじゃないかという気がしてきました。

投稿: tak | 2018/08/13 20:08

takさん、わざわざ調べていただいてありがとうございます。

福島など後者の方が、単独では3、4文字目のアクセントが明白に下がっているように感じます。それが後ろに県が付くと、2文字目と同じところまで上がっているような。
対して前者の熊本などは、2,3,4文字目が上がっていて、それは県が付いても変わらないように思えますが、言われてみれば4文字目がわずかに高いかもしれません。
でも相当微妙なので、地域性の違いとかもあるかもしれませんね。なにせ私は相模弁にどっぷりなもので。
じゃ、コンビニ行くべ(笑)(意味:コンビニ行こうよ)

投稿: らむね | 2018/08/13 21:49

らむね さん:

お盆期間は図書館がお休みのようで、お盆の後は出張続きになりますので、きっちりと調べるのは月末になるかと思います。よろしくお願いいたします。

投稿: tak | 2018/08/14 08:19

まだ お盆ですが(笑

私もリスニング苦手ですが、、
新潟県はどうでしょうか。
県有無にかかわらす ほぼ フラット?な気がします。
但し 東海地方在住のため「やい 新潟行かざぁ。」(新潟に行きましょう)という会話をする機会は少ないので 県無しのアクセントに自信なし。

投稿: San_Y | 2018/08/14 18:31

San_Y さん:

新潟は、県が (市も) 付くと 「た」 が上がりますね。

試しに 「新潟県」 「新潟市」、そして (実際には存在しませんが) 「新潟村」 を発音して比較してみると、わかります。

投稿: tak | 2018/08/14 20:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/67031942

この記事へのトラックバック一覧です: 「サギ = 鷺」 のアクセントに関する 「まともな」 レポート:

« 「オリンピックの酷暑対策」 でサマータイム導入とは | トップページ | 東京医科大の 「女子一律減点」 から透けて見えてきた深層意識 »