« 脚気と米あまり | トップページ | 鳥海山と飛島 »

2018/09/16

例の 「ひき逃げ事故」 の動画と文字情報の差

私は例の 「ひき逃げ事故」 の吉澤ひとみという娘については顔もよくわからないので、特段の興味はなかったのだが、あの尾木ママがブログで 「あれだけひどいひき逃げ事故なのに誰も助けない⁇」 と憤慨されており、ビデオもネットで公開されているというので、「どれどれ」 と見に行ってみた。

なるほど、誰のドライブ・レコーダーに記録されていたものか知らないが、上のように結構鮮明な動画として公開されている。そして見る限り、目の前でひき逃げ事故が起きているというのに、確かに誰も助けようとしないどころか、駆け寄って声を掛ける者すらない。

ただ、このビデオを冷静に見ると、報道ではわからなかったことがいくつか明らかになる。順を追って挙げてみよう。

まず、吉澤容疑者 (敢えてニュースでの呼び方にさせてもらう) は、「交差点に赤信号で進入した」 ということになっているが、動画を見る限り、信号は黄色から赤に変わった直後で、事故が起きたのは 「右折可」 を示す矢印が付いている時だった。

ということは、この状態では右折車が合法的に交差点に進入してくる可能性が残されていたということで、歩行者用信号は赤の状態のままだったはずだ。つまり、まだ渡ってはいけない状態だったにもかかわらず、被害者はいち早く横断歩道を渡り始めている。

このドラレコ動画を撮影したクルマが、信号が黄色に変わったあたりの時点でできちんと停車したものと仮定すると (もし青信号の時からずっとその場に停車していたのならモロに違反だが)、それを見た被害者は見切り発車で横断歩道を渡り始めたのだろう。この推測が事実だとしたら、被害者側にも落ち度がなかったとは言えない。
(注: この私の推測は誤っていた。最下段の 【追記】 を参照されたい)

そこに来た吉澤容疑者のクルマが、信号が黄色から赤に変わったことに気付いていたかどうかは知らないが、気付いていたとしても、「まだ右折矢印が出てる状態だから、えーい、突っ切っちゃえ」 とばかり、交差点に進入したのだろう。こんなようなドライバーは、残念ながら決して珍しくない。

ところが間の悪いことに、この動画を撮影したクルマが左車線に停車していたので、見切り発車で横断歩道を渡り始めていた被害者の姿が見えなかったか、あるいは少なくとも確認しづらかった。これは 「情状酌量」 の理由にはならないだろうが、少なくとも 「運が悪かった」 とは言える。

また報道では 「ブレーキをかけた痕跡がない」 とされていたが、動画を見る限り、ほんの一瞬ではあるが、ブレーキランプが点いている。

そもそもこの時、被害者の後ろから渡ろうとしていた歩行者の意識の片隅には、「まだ赤なのに強引に渡ろうなんてするから、こんなことになっちゃったんでしょうが」 という思いがあったんじゃじゃかろうか。ほんの少しだけそう思ったとしても、責められないだろう。

そして被害者は転倒したものの、すぐに起き上がっているので、近くにいた歩行者も安心して、敢えて助けようとしたり、警察に連絡しようとまではしなかったのだと思われる。ただ、いずれにしても薄情な話ではある。

最後のポイント。吉澤容疑者は事故直後には 「周囲に車が多くて停車できなかった」 と供述していると報道されたが、動画を見る限り、これに関しては完全に 「口からでまかせ」 のウソだったことが明らかだ。まったく 「よく言うよ!」 ってなもんだ。

「百聞は一見にしかず」 というが、まさに伝聞情報による文字だけの報道というのは、ありのままの事実を伝えにくいものである。ニュースに接する際には、このことをしっかりと前提として認識しておく必要がある。

【追記】

らむね さんのコメントによる情報の確認により (参照)、被害者は信号無視をしていたわけではないと判明した。不十分な考えにより決めつけてしまったことをお詫びしたい。この横断歩道は、交差点の向こう側を横断するもののようだ。

ただそうだとすると、この動画を撮影したクルマはどういうわけか、おそらく交差点内に停車していたことになり、それはそれでかなり問題だと思う。

|

« 脚気と米あまり | トップページ | 鳥海山と飛島 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

1か所気になりました。
映像を見る限りここはT字路ですよね。
するとこの右折矢印のとき、反対車線は完全に赤になっていて、すなわちこの事故が起きた横断歩道の位置はクルマが全く横切らない状態だったのではないでしょうか(無論どのクルマも交通法規を守っている前提で)。
そうすると、右折矢印の時にこの横断歩道が青になっていた可能性は十分にあると思います。
また事故に遭った自転車とサラリーマン風の男性がほぼ同時に横断を開始しているので、どちらかが歩行者用赤信号無視をしてそれにつられた可能性も低いのではないでしょうか。

・・・とここまで書きまして。
こんなのTVのワイドショーとかで散々検証していそうだなと思って調べたらここを見つけました。
https://brandnew-s.com/2018/09/14/yoshizawahitomihokousya/

・・・まあ、青信号だからといって過信せず、常に周囲の安全には注意しようと、兜の緒を締めました。

投稿: らむね | 2018/09/16 19:53

らむね さん:

コメントの情報、ありがとうございます。

この情報を元に、記事の最後に 【追記】 として少々加筆しましたので、ご確認ください。

投稿: tak | 2018/09/16 21:43

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42004/67172512

この記事へのトラックバック一覧です: 例の 「ひき逃げ事故」 の動画と文字情報の差:

« 脚気と米あまり | トップページ | 鳥海山と飛島 »