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2018/11/03

毎度おなじみパターンの、「妙な英語コピー」

今日、久しぶりで電車で都心に出て、JR の駅構内に貼り出してある 「お馴染みの不思議英語パターン」 のポスターで、毎度おなじみの 「何だかなあ気分」 に陥ってしまった。東京ステーションシティというところが展開している "START with YOU" というコピーのキャンペーンである。

181103

日本の広告コピーでは完全にお馴染みになったパターンである。翻訳すると 「あなたと共に始めなさい」 というわけのわからない日本語になってしまう。何だか知らないが、このパターンは、日本の広告の世界に繰り返し繰り返し出現するもので、私も過去に次のコピーを取り上げている。

Get Old With You (お前と共に年を取れ): ゼクシーの広告
Be a driver (運転手であれ): マツダの広告
Walk with You  (お前と共に歩け): Docomo
Be Myself (私自身でありなさい): 森の仕事ガイダンスの広告

これらはすべて同じパターンの気持ち悪い英語になってしまっている。主語を省いていきなり動詞を出したら 「命令形」 になるという、中学英語の基本の基本を無視しているのだよね。ゼクシーのコピーでいえば 「あなたと共に年を取るわ」 と言いたいところを、主語の ”I" を省いたせいで 「お前と共に年を取れ」 になってしまっている。

同様にマツダは 「私たちはドライバーでありたい」 と言いたいところを、「運転手であれ」 と命令してしまっているし、Docomo は 「私たちはあなたとともに歩みます」 と言いたいところを 「お前と共に歩け」 になり、森の仕事ガイダンスは 「私自身でありなさい」 になっている。「なんで俺がお前自身でなければならないんだ?」 と言いたくなってしまうではないか。

で、今回の東京ステーションシティのコピーは多分、「私たちはあなたと共に始めます」 というココロなのだろうが、主語を省いているために 「あなたと共に始めなさい」 というわけのわからないコピーになっている。同じパターンの繰り返しだ。日本の広告業界の人たちの多くは、中学英語を忘れてしまってるみたいなのである。

ちなみに 「私自身でありなさい」 の記事に、ハマッコーさんが、東京メトロの "Find My Tokyo" というコピーについて、広告主に問い合わせたという次のようなコメントを寄せてくれている。

一年くらい前に、私も東京メトロの Find my tokyo はおかしな表現だと思いましたのでメトロにメールで問い合わせたところ、「ネイティヴに相談した結果、広告の文言としてならセーフであることを確認した上で採用した」 とのことです。

であるとしても、Find your Tokyo と言ったほうが余程表現としてはスッキリするのになあ。

このコメントに、私は次のようなレスを付けている。

相談された 「ネイティブ」 の人というのは、ある意味 「物わかりよすぎ」 か、「忖度しすぎ」 か、どちらかという気がします。

さらに言えばそのネイティブに、「どういう意味合いで 『広告の文章であるなら、ギリギリセーフ』 であるのか」 まで確認すべきだったと思います。

いずれにしても、こんな馬鹿馬鹿しい話でネイティブに相談するというのも、かなり哀しい話だと思ってしまうのである。要するに、これは日本の広告業界全体を覆う持病みたいなものなのだろう。

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言葉」カテゴリの記事

コメント

字面がいいからじゃないですか。意味、文法は二の次(あきらめ顔( ´△`))

投稿: 貧民のうさぎちゃん | 2018/11/03 21:46

貧民のうさぎちゃん さん:

完全に 「雰囲気のモノ」 でしかないですね ^^;)

投稿: tak | 2018/11/03 21:49

"START with YOU" のコピーには私も見た瞬間、又やっちまったな、と思ってました。

広告会社の英語力はその程度なんです。
依頼主も "START with YOU" を提案されて、これでいいんじゃない、と何も問題を感じない。その程度なんです。
東京ステーションシティの社長も恥ずかしくないのかなと思います。

鉄道系の公告と広告も英文表記はもう無茶苦茶です。
訪日観光客が600万人程度から今年は3000万人に迫ろうという勢いです。

ここらで、観光庁か文科省が「ヘンテコ英語追放課」を組織してヘンテコ英語を一般から通報してもらい、実態を調べて黒なら企業に改善を促すというシステムにしないと無くならないでしょう。次から次へと出て来るのですから。

以前、JR東海新幹線N700系の先頭車両に
”AMBITIOUS JAPAN” と書いてありましたが、これはどうなんだろう?と思ってました。
”野心のある日本、野望のある日本”となり、他国を侵略すつもりなのかと感じてしまいました。ネットでも一部では問題にされてましたね。
TAKさんはこの”AMBITIOUS JAPAN” についてはどのような印象をお持ちですか。

投稿: ハマッコー | 2018/11/03 22:17

ハマッコー さん:

まさに、「次々に」 という勢いですね。広告業界がこんなレベルというのは知れたこととなってしまいましたが、変な英語のコピーを提案されたクライアント側も、「おいおい、そんなの困るよ」 と思わないんですね ^^;)

”AMBITIOUS JAPAN" については、どんな野心を抱くかによるんでしょうが、そこまでは具体的に触れられておらず、「侵略国家」になる野心とは限定されていないので、とやかく言いにくいかなという気がします。

まあ、あまり上品なキャッチではありませんが、"Boys, be ambitious." というのもあるので、一概に否定しにくいかなと。

投稿: tak | 2018/11/04 19:34

ふと思い出しました。
中学の時、体育祭のスローガンを決めることになり、実行委員は「自分を超える」という意味の英語にしたかったようなのですが、多分安室奈美恵の曲がそのころで当初「Try me」になったのですがボツになりました。
英語の先生曰く「俺を試せ、という相手を挑発する意味になるから」だったと記憶しています(今思えば性的な誘惑の意味にもなってしまうからでしょうか?)

で代わりに決まったのが「Challenge myself」でした。この記事の文意からすればWeが抜けてますかね。これも多分英語の先生のチェックを受けたと思うのですが、主語を省略しても違和感を覚えない(かつ忖度して自然と補ってしまうw)というのは、どうしても日本語の文法に置き換えてしまう日本人の性でしょうか。

P.S.
google chromeを使っていますが、このページがアドレスバーに「保護されていない通信」と表示されます。httpsじゃないからですよね。メールアドレスも記入して送信しているので少し気になります。

投稿: らむね | 2018/11/05 14:50

あとtakさん、ambitiousです・・・

投稿: らむね | 2018/11/05 14:59

らむね さん:

まさに、日本人の英語の 「業」 を感じるようなお話ですね ^^;)

https じゃないのは、ココログの仕様のようですので、ご容赦ください。

それから、スペル、打ち間違えたので、訂正しときました。ありがとうございます ^^;)

投稿: tak | 2018/11/06 02:11

本当のところは マツダの広報に聞かなきゃわかりませんが、実際に「運転手であれ」と 言いたかったんじゃないでしょうか。 「私たちはドライバーでありたい」では 日本としてもすっきりしないし、、「運転する楽しみを知ってほしい」位の感覚ではないかと。
まぁ それなら 単純に 「Drive!!」のほうが わかりやすかったかもしれませんね。
ちなみに 「プサプサ」ですが つれあいには「胡散臭い」と聞こえるそうです。

投稿: Sam.Y | 2018/11/06 20:26

Sam.Y さん:

このコピーについてのゴタクは、こちらにいろいろ書いてありますね。

http://blog.mazda.com/archive/20140710_02.html

「それがどうした?」 みたいなことですが。

「プサプサ」 が 「胡散臭い」 とは、素晴らしい聞き取り能力です (^o^)

投稿: tak | 2018/11/06 21:10

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