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2019/02/11

「慣用読み」 という便利すぎる言い訳

一昨日に 「安倍さんの 「勘違い言葉」 に学ぶ」 という記事の中で、「実は読み間違えている漢字ランキング 1位から 10位」 というページを紹介した。このページによると、漢字の読み違えベスト 10 は、「乳離れ」 「貼付」 「続柄」 「礼賛」 「依存心」 「漸く」 「早急」 「間髪」 「代替」 「一段落」 なのだそうだ。

190211

順に正解を記すと、「ちばなれ」 「ちょうふ」 「つづきがら」 「らいさん」 「いそんしん」 「ようや (く)」 「さっきゅう」 「かんはつ」 「だいたい」 「いちだんらく」 である。私は 2番目の 「貼付」 を 「てんぷ」 と読み違えていたほかは、無難に正しく読めた。「貼付」 はコメント欄を見ても読み違えている人が多いのだろうと思われる。

ただ、最近は 「貼付」 を 「てんぷ」 と読んでも一概に間違いとはされず、ATOK でも 「てんぷ」 と入力して何度かスペースボタンを押せば 「貼付」 と変換される。「ちちばなれ」 で 「乳離れ」、「ぞくがら」 で 「続柄」、「いぞんしん」 で 「依存心」、「そうきゅう」 で 「早急」、「かんぱつ」 で 「間髪」、「ひとだんらく」 で 「一段落」 と変換されてしまうのも同様だ。

「言葉は生き物」 だから、元々は誤読でもそれが一般的になってしまうと、「慣用読み」 という便利な言い訳の元に認めざるを得ないことになってしまうようなのである。

ただ、「漸く」 を 「しばらく」 と読むのは意味の違いからしても認めるわけにいかない。そもそも 「しばらく」 には 「暫く」 という立派な漢字があり、歌舞伎ファンにはおなじみだ (参照)。また 「礼賛」 を 「れいさん」 と読むのも、まだ 「慣用読み」 としてさえ認られていないようだ。

さらにいくら 「慣用読み」 と言っても、 「依存心」 を 「いぞんしん」、「早急」 を 「そうきゅう」、「代替」 を 「だいがえ」 とは、個人的には決して読みたくないし、「一段落」 で 「ひとだんらく」 というのは、他人がそう読むのを聞いてさえ何だかムズムズしてしまう。

このほか、この記事のコメント欄では 「有無」 を 「ゆうむ」、「重複」 を 「じゅうふく」、「憧憬」 を 「どうけい」 と読み違えるなどの例も指摘された。この 3つとも 「慣用読み」 の入力でちゃんと変換されてしまうから癪である。

「じゅうふく」 と読むのは、今や完全に多数派になってしまった気がするが、それでもやはり 「ちょうふく」 と読む方が、「私はまんざらバカというわけじゃありません」 と言外に主張できるし、「憧憬」 を正しく読めたら文学青年を気取れるかもしれない。一方、「有無」 を 「ゆうむ」 と読むのはかなりお恥ずかしいレベルではあるが、「云々」 で 「でんでん」 よりは遙かにましだろう。

ちなみに、上に示した 「PC 電源代替えボタン」 は Yahoo ショッピングでの表示 (参照) だが、Amazon ではさすがに気恥ずかしく思われたのか、「PCケース 電源ボタン リセットボタン 移動可能 ボタン スイッチ」 なんて妙に長ったらしく言い換えられている (参照)。

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言葉」カテゴリの記事

コメント

捏造、独擅、消耗、もなかなかのものですね。特に独擅、消耗、は MS-IME では変換されません。

この三つは人前でいうと"ふふっ”っと失笑されそうな気がします。

“吉日”は、”きちにち” “きつじつ”が正しい読みのようで、世間では “きちじつ” が幅を利かせているようです。
(辞書では“きちじつ”は慣用読みという扱いでなく、漢音と呉音の混ぜ読みで本来の読みではないとの説明)

安倍さんは国連での演説で“背後”を“せいご”と読んだらしい。これは慣用読み云々の問題ではなく、小学生の読み書きのレヴェルの問題ですね。歴代総理の中で最も国語力のない人だと思います。書店に行くと難読漢字集の本がありますが、それ以前のレヴェルですね。

昔、エリザベス女王が日本での国会演説で“era”を“エラ”と発音したのを聞いて、「女王でも間違えるんだ」とびっくりしたことがあります。当然、直後に正しく言い直していまし
た。
安倍さんは間違えても堂々としたもんです。

目の前にいる人が誤読したらどうするかですが、当然ほっときます。指摘されて感謝する人なんていませんから。
(正直に言うと、他人の間違いを指摘するにはそれなりの格が要ります。私にはそれがない)

投稿: ハマッコー | 2019/02/11 20:19

ハマッコー さん:

「捏造」「独擅」「消耗」 は、クセ物もいいところですね。古文書を読むとき以外は、最近の「慣用読み」 に従わないとまともに意味を受け取ってもらえません。

ATOK の場合は、「でつぞう」 「しょうこう」 で問題なく変換できましたが、「独擅」 は 「どくせん」 では変換できず、「どくせんじょう」 で変換してから 「場」 をデリートするほかありませんでした。

また、「どくだん」 では 「独断」 にしか変換されません。また、「独擅場」 を 「どくだんば」 と読んじゃう人も多くて、これはもう、背筋が寒くなります。

「吉日」 も、「きちにち」 と読んだら 、逆に安倍さんと同じレベルと思われちゃいそうですから、慣用読みに従ってます。

"Era" は、最初の "e" を 「イー」 と発音しさえすれば、あとは ”r" に移行する過程で自然に正しい発音になりますが、つい 「エ」 と言っちゃったが最後、そのまま 「エラ」 になりますね ^^;)

安倍首相の 「間違えても堂々としている」 態度に関しては、「知らずに犯す罪の方が重い」 ということを指摘したい気持ちです。

そのあたりのことは、13年以上前の 「無明と罪」 という記事に書いてあります。

http://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2004/11/___1.html

投稿: tak | 2019/02/11 22:37

私の誤答は「乳離れ」(×ちちばなれ)「間髪」(×かんぱつ)「出生率」(×出生率)「一段落」(×ひとだんらく)でした(11位以下では誤答無し)。文章を仕事にする人間としてはけっこう多い(笑) 「一段落」は、(職業柄)段落を数えるときは当然ながらイチ段落、物事が落ち着くときはヒト段落と読んでいた気がします。

「消耗」は手元にある15年ほど前の国語辞典(明鏡)でも、「しょうこう」を引くと「しょうもう」を見よ、となっています(「しょうもう」を見ると、慣用読みが定着した、とある)

(そういえば↑の本文中、続柄は「つづきがら」の方が正解ですよね?)

投稿: 山辺響 | 2019/02/12 12:34

山辺響 さん:

戦前の古い本ではデフォルトでルビが付く場合が結構多く、「消耗」 には 「せうかう」 とルビが振ってあって、「しょうこう」 と読むのがフツーだったようです。

そのせいで、古い文章を読むときは 「しょうこう」、普段の会話などでは 「しょうもう」 と言うようなカラダになってしまいました。「捏造」、「吉日」 なども同様です。

最近は 「ねつ造」 という表記も多いですね。本来の日本語に中途半端でもいいから忠義立てしておこうということなのでしょう。

>(そういえば↑の本文中、続柄は「つづきがら」の方が正解ですよね?)

失礼しました。本文を訂正しました。(書いているうちに混乱してしまいました ^^;)

「続柄」 の慣用読みに関しては、どうやら表記が 「続き柄」 (これは、慣用書き?) だったら当然 「つづきがら」、「続柄」 だったら、(心ならずも) 「ぞくがら」 でも OK ということのようです。

ダブルスタンダードの採用がビミョーに難しいところですね。


投稿: tak | 2019/02/12 16:01

捏造に関しては私も「ねつぞう」と読んでいましたし、本来の読みを知った後でも、何となく「ねつぞう」を慣用してしまいます。

しかし、なぜ「でつ」なんだよ、と思ったときに「でっちあげ」と同じなのだと知ったときは目から鱗が落ちる思いでしたなぁ(笑)

投稿: 山辺響 | 2019/02/13 10:08

山辺響 さん:

「でっち上げ」 の語源になっているとは、私も知りませんでした。

さらに、「ねつ」 は呉音だとも知りませんでした。いやはや、世の中、知らないことだらけです ^^;)

さらに、「造」 は呉音でも 「ゾウ」 のようなので、だったら 「私は呉音読みですから」 と、堂々と 「ねつぞう」 と言ってもいいじゃないかという気もしてきました。

それとも、「捏造」 という言葉は漢の時代になってからの新語で、呉の時代にはなかったのかなあ?

投稿: tak | 2019/02/13 13:52

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