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2019/02/07

日本旅館の 「おもてなし」 で震えるのは、外国人だけじゃない

東洋経済 Online に "外国人が震える旅館の実は怖い 「おもてなし」  プライバシーがダダ漏れ過ぎる問題" という記事がある。日本旅館に泊まりたがる外国人は少なくないといわれるが、実は 「違和感ありあり」 の経験になってしまうことも多いようだ。

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冒頭で紹介した東洋経済 Online の記事を書いたのは、ジュンコ・グッドイヤー さんと 村山みちよさんという方で、Agentic LLC という会社を運営しているらしい。業務の中身は 「クリエイティブ & コミュニケーション・エージェンシー」 ということらしく、ポリコレの問題には強いらしい。

そうした会社の人らしく、外国人が日本旅館に泊まって戸惑うことの多くは 「プライバシーがダダ漏れ」 ということに発すると主張している。日本旅館で顧客と仕事の打ち合わせをした際に、「歓迎 〇〇御一行様」 という麗々しい看板が玄関にも、そして何と、宿泊する部屋の前にもかけられていたということに、固まってしまうほど驚いたというのである。

廊下を見渡すと、どの部屋にも宿泊客の名前が貼り出してあったという。これはさすがにちょっとビビる。私は個人的には玄関に 「歓迎 〇〇御一行様」 (〇〇が個人名だったらヤバいけど) とあるぐらいはガマンするが、部屋の前に個人名が書いてあったりするのはむちゃくちゃイヤだ。

東洋経済の記事は、"外国人が震える旅館の実は怖い 「おもてなし」" という割には、旅館に関する話は冒頭で触れられるだけで、後は延々とプライバシーとポリティカル・コレクトネスの話になる。要するに日本人はプライバシーとポリコレに関して無頓着すぎるということを述べる象徴的な例として、「日本式旅館」 というのが挙げられているわけだ。

私は泊まりがけの出張が月に 2〜3度ぐらいあるが、よほど仕方のない時を除いて、「旅館」 というものには泊まりたくない。そんな思いを、2017年 10月 7日付の "日本人の私でさえ 「旅館」 には戸惑ってしまうのだから" という記事に書いている。こんな具合だ。

日本人の私でもびっくりしてしまうのは、夕方ちょっと外出して、部屋に戻ってみるといつの間にか布団が敷いてあったりすることだ。旅館の従業員とはいえ、知らぬ内に部屋に入られて、荷物がテキトーに片隅に寄せられて、見かけだけはやたらと豪勢な布団を敷かれちゃうというのは、何だか複雑な思いがしてしまうのだよね。

夜にちょっと PC に向かう仕事があるので、布団を片隅に寄せて、壁際に立てかけられちゃったテーブルを戻すというのも、何だか馬鹿馬鹿しい気がしてしまう。それに長時間座卓に向って PC のキーボードを叩くと、腰に来てしまうのだよ。

(中略)

それから、「素泊まり」 ならまだ気楽だが、晩飯付きだったりすると、女中さんが入って来てあてがい扶持の夕食を勝手によそってくれたりするのも、こちらとしてはやりにくい。なにしろ、こちらの好みなんて一切考慮されず、ひたすら提供する側の都合によるメニューなのだ。これだったら 「素泊まり」 にして、晩飯は食いに出る方がいいと思ったりしてしまう。

それからもう一つ、2012年 2月 27日付というほぼ 7年も前の記事だが、"グループでホテルに泊まる時" というのもある。複数の人間のグループで宿泊予約した際の、ホテル側の部屋の取り方の問題だ。私はこんな風に書いている。

日本で複数の人間のグループがホテルの宿泊を予約すると、ほとんどの場合、同じフロアの続き部屋になる。それが当たり前だと思われている。

ところが欧米の場合だと、グループでもあえて部屋はバラバラに用意される。続き部屋でないのはもちろん、大抵はフロアまでバラバラの部屋になる。

日本人同士のグループでの欧米へのビジネス・ツアーで、泊まる部屋がバラバラに設定されていると、「どうしてまとまったフロアにしてくれないんだ、気が利かないなあ」 などと不満をいう人がいる。しかし実は気が利かないのではなく、これはホテルが気を利かせてくれているのだ。

私は会議や研修などで、グループ同士でまとまった続き部屋に泊まらされると、ちょっとしたストレスになる。とくに隣の部屋に泊まるのが女性の場合などは、トイレやシャワーを使うにも気を使ってしまう。

本当に、翌日の会議でも顔を合わせる女性の隣部屋に泊まらされたりすると、おならするにも気を使ってしまうよね。いや、マジで。

とにかく、日本式の考えで 「皆さん、どうぞご一緒にまとまってお楽しみください」 みたいな妙な 「おもてなし」 コンセプトで宿泊させられると、かなりストレスを感じてしまうのだ。「おもてなし」 を押しつけられるより、さりげなくも素っ気なくされる方がずっと気楽である。

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コメント

日本式旅館に“もおもてなし”なんてそもそもないですよ。
昔、東北ノープラン一人旅をしましたが、一人客なんて旅館側からすれば客のうちに入らないようで実にぞんざいに扱われました。

案内された部屋はトイレの隣の部屋で悪臭にに悩まされました。他の大部屋からは大宴会の騒音が丸聞こえで旅の風情なんてありませんでした。
料金はビジネスホテルの四倍ほどでコスパは最悪でした。
今なら、レヴューでボロカスに書いてやるんですがね。

一人旅は部屋が空いてても断るケースが多いようです。儲からないし自殺でもされたらたまったもんじゃないのでしょう。

その点、ビジホは一人客がほぼ当たり前だし、空室があれば飛込でも泊めてくれる。余分なサービスはなしでモヤモヤした気分には無縁ですね。

旅館で出される料理なんて特にうまくもないし、あの程度だったら、コンビニで弁当を買って食べた方がいい。仕事柄旅館の裏側に入ることがありますが、不潔極まりないですよ。あのようなところで調理された料理なんて口に運ぶ気にもなりません。

箱根だと一泊三万~五万越えでも三か月先まで予約で一杯と言うのですから完全な売り手市場ですね。だから自分たちのやてるおもてなしには問題がない思っている節がありますね。David Atkins氏の提言を積極的に受け入れるべきです。

投稿: ハマッコー | 2019/02/10 03:21

ハマッコー さん:

まさに、地方の旅館は 一人客は客と思ってないですね。

私が地方の旅館に一人で泊まった経験が何度かあるのは、出張先の企業が 「気を利かして」 地元の旅館の部屋を確保したりしてくれることがあったからです。

こんな場合、出張先の会社の幹部が勝手に部屋に乗り込んできて、夜はその部屋で飲み会になったりします。企業と旅館が結託しているので、仕事が終わって部屋に入っても自分の時間じゃないんです。

そんなわけで、私は出張先から 「旅館の部屋はこちらで確保しておきます」 なんて申し出を受けても、「それには及びません」 と断ることにしていました。

投稿: tak | 2019/02/10 22:55

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