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2019/06/13

「ハタコト」企画のパラドキシカルな結果

阪急電鉄とパラドックスという企業のコラボによる「ハタコトレイン」と称する「広告ジャック企画」が炎上したという話に関連して、今さらのように「これはちょっと、何か書かなけりゃいかんな」という気がしてきた。例の「50万円で生き甲斐がなくて、30万円で楽しみ云々」とかいうやつだ。

190613

まず、阪急電鉄がどうしてまたこんな妙な企画を始めちゃったのかということだが、多分、パラドックスという企業から猛烈なアタックがあって、つい口車に乗ってしまったんだろうと想像するのだよね。この企画によって、阪急電鉄の企業ブランディングが向上するとかなんとか、わかったようなわからんようなプレゼンを受けたんだろう。

結局のところは、「そんな企画に何の意味があるのか、さっぱりわからん!」と言っておけばよかったのだが、つい「わかったような雰囲気」にもっていかれて、阪急電鉄内部でも舞い上がってしまったのだろう。こうした企画のプレゼンは、「クライアントをいかに舞い上がらせてしまうか」が重要なポイントなのだ。

で、阪急電鉄がうまい具合に舞い上がってくれたので、この「ハタコトトレイン」企画は実現したわけなのだが、問題はこんな企画を最終的に押しつけられるのは阪急電鉄の乗客なのだということまでに、阪急電鉄、パラドックスの両者の思いが至っていなかったということなのだね。

朝の通勤ラッシュの電車内で、上の写真で紹介されたような言葉を読まされる身にもなってみるがいい。「よく言うわ!」ってなわけで不愉快になるのが当たり前だろう。まったくもって、フツーに考えればわかる単純な話なのだが、パラドックスという会社は最終ターゲットを見誤ったのだ。

この企画の紹介ポスターに、「”働く” という言葉に、はた(傍)を、らく(楽)にするという意味があるように」とあるが、それに対して Twitter で yasudajukucho さんという人が「そんなもんない」と一刀両断に切り捨てている(参照)。これに対するふゆひー9さんの「江戸しぐさ的な何か」という絶妙のコメントを見て笑ってしまったので、ついジョークのレスを付けてしまった (参照)。

「傘かしげ」なんていうのに代表される「江戸しぐさ」というのは、根拠のない空想、創作というのが大方の見方だが、この「ハタコト」もそれに類したものとみるのが妥当なようだ。

パラドックスという企業は、「企業ブランディング」に関するエキスパートであるらしい。簡単に言えば「企業イメージを上げるマーケティング」、とくに新規採用などにおける会社案内や会社紹介ビデオなどを、それらしく上手に作るのが得意な会社とお見受けする。

ちなみに世の中では、この新規採用時ほど企業側の論理が一方的な強さを発揮する機会はほかにない。パラドックスという会社はこうした世界で成功しすぎたせいで、より広い「世間の空気」というものを読めない体質になってしまったのだね、きっと。

というわけで、今回の企画はまさに「パラドキシカル(逆説的)な結果」に終わってしまったってことだ。

 

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コメント

この企画は6/1から神戸線、宝塚線、京都線で一編成ずつで始まったようです。

たまたま、6/2,3と京都を訪れていまして、河原町から乗った電車がハタコト電車でした。一編成全てがこれらの広告で埋められ異常な雰囲気でした。

車内の異常な雰囲気の広告に目を奪われいくつか読んでしまいました。

二、三の記憶に拠れば
「法律やルールで決められたことより、まずは自分で決めたことを守ろう。なぜなら自分で決めたことは一番破り易いから」
(私)えっ、自分で決めたことだからこそ頑固に守り通すという人間もいるぞ、それに法律を軽視するような文言はよくないな。

「私たちの作っている部品は小さいけど、これがなければ飛行機もロケットも飛ばない」
(私)そんなこと全ての事に言えるじゃないか。

こんな感じでそれ以上読む気も失せました。こんなばかばかしい広告を打つ感覚は何なんだろうと思いをもって二駅目で下車しました。

中にはこんな文言もあったようです。
「私たちの目的はお金を集めることではなく、ありがとうを集めることだ」
これはブラック企業と言われたワタミの元社長の言葉そのものだそうです。これに対し広告主は「発言者は40代と書いてある、ワタミの元社長の言葉の影響を受けた可能性はある」と弁解しているようです。

実はこの広告は六月末までの予定だったそうですが、10日で打ち切りになったようです。これには二重にびっくりですね。予定通りの期間掲載してじっくりその結果を待つことができないのかと。ちょっと炎上しただけでその弱腰はなんなんだと。

投稿: ハマッコー | 2019/06/13 20:55

追記:新幹線の車内の英語の案内放送は「ドアズオザ」でしたね。「ドズオザ」にも聞こえないこともないですね。
そもそもどっち側のドアが開くかの案内なんて不要ですね。
駅に到着すればいやおうなしに分かることですから。

投稿: ハマッコー | 2019/06/13 21:04

ハマッコー さん:

おお、まさにその現場に居合わせましたか。

「異常な雰囲気」というのが目に見えるようです。ある意味、貴重な体験でしたね。

阪急電鉄としては、あまりの炎上に耐えきれなかったんでしょうね。

新幹線の車内アナウンスは、「ドズオザ」よりはまだマシだったようですね。

まさにどちらのドアが開くなんて情報には、あまり意味がないですね。何十メートルもかけ離れてるわけじゃないですから。

投稿: tak | 2019/06/13 23:38

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