「パンポン」 を巡る冒険
一昨日の 「パンポン」 の続編である。もっとも、内容はいろいろな方から寄せられたレスをもとにした総まとめみたいなもので、二番煎じ的なものだが、お許しいただきたい。
日立製作所発祥の 「パンポン」 というスポーツを紹介したところ、実はあちこちで似たようなのがあるとのレスをいただいた。
まず、ハマッコーさんから、「NEC の工場の昼休みにやっているのをよく見かけたので NEC 発祥のスポーツだと思ってました」 と知らされ、次いで、すがわらさんからは 「近所の某財閥系会社でも似たような物をやってました。こちらでは 『テニポン』 と言っていました」 との情報が寄せられた。
このあたりまでは、「日立発祥のスポーツが、人の行き来があって、あちこちの会社に伝播してるんだなあ」 ぐらいに考えていた。「さすがに、日立は大会社だけのことはあるわい」 ってなものである。
ところが、ちょっと間をおいて極私的視点管理人さんから 「広島にも似たようなスポーツで 『エスキーテニス』 というのがあります。公務員の人やマツダ関係の人を中心に親しまれてて、かつては専用コートと大学にもサークルがありました」 というレスをいただいたあたりで、「まてよ」 と考えが変わった。
これは、日立発祥と言い切るべき話ではないのではなかろうかという気がしてきたのである。日本全国、あるいは世界各地に似たような形態のゲームが自然発生的に存在していて、それらが地域スポーツとして生き残ってきているのではあるまいか。
そう考えた途端、忽然と小学生時代の記憶が蘇った。かく言う私だって、昼休みに似たような遊びをしていたのである。
何という名前のゲームだったかは忘れた (あるいは、名前なんかそもそも付いていなかったのかもしれない) が、私のやっていたのは、地面に田の字を書いて、4人で対戦する形式だったのである。ラケットなんてものはなく、手のひらでゴムボールを打ち合う。
田の字の線で区切られた 4つの陣地には序列があって、ポイントを取るたびに上衣の陣地に昇格する。一番下の陣地でポイントを取られると降格して退場になり、順番待ちの子が新たに一番下の陣地に入る。一度一番上の陣地まで昇格すれば、なかなか退場しないで済む。
上手な子はずっとゲームを続けていられるが、下手な子は下位の陣地でしょっちゅう交代する。序列ははっきりしているが、下手でも下手なりにちゃんとゲームに加われるという、競争原理と民主主義がうまくミックスされたようなルールだった。このゲーム、今でも残っているだろうか。
興に乗って、「テニスに似たスポーツ」 というキーワードでググってみると、上述の 「テニポン」 「エスキーテニス」 のほか、「スポレック」 というのも出てきた。静岡県で盛んなのだそうである。まあ、見たところ 「手作り感覚」 でいえばパンポンにとどめを刺すと思われるが。
このほかにも、「スポーツ」 というほどでもなく 「遊び」 ということで調べると、おぉ、出てきたではないか。「重箱の隅っこ」 というページの 2000年 8月 21日付に、例の田の字型のゲームが紹介されている (参照)。けっこうやられてるんだなあ。
で、思いを巡らしているうちに、山辺響さんから次のようなレスをいただいた。
……その後、各地の類似競技のあいだで共通のルールが整備され、全国組織も設立された。競技の名称は 「テニス」 に統一された。いっぽうで屋内での競技は独自の発達を遂げ、「テーブルテニス」 「ピンポン」 と呼ばれるようになった。
……というようなことが、18世紀~20世紀くらいにいろんなスポーツで起きていたのだろうなぁ、と。
むむ、やられてしまった。実はこれと似たようなことを考え始めていて、「次はそんなような記事を書こうかなあ」 と思っていたところで、先回りして書かれてしまった。まあ、せっかくだから、自分で一から文章を考えなくても、とっかかりは引用で済むだけありがたいと思い直し、ここにこうして書いているわけである。
各地で行われていたプリミティブなゲームが、似た者同士で集まって洗練され、組織整備とともにルールも統一され、今のメジャースポーツに昇華したのだろう。例えばブリテン島各地にあったボール蹴り遊びが、進化の過程で二大潮流に集約され、今の 「サッカー」 と 「ラグビー」 になったというようなことが、いろいろな分野であったわけだ。
そして、進化の流れに乗らず、ガラパゴス化してしまったものもいくらでもあって、日本の蹴鞠みたいな伝統芸能になってしまったというのもあるだろう。あるいは、進化の流れからスピンアウトして先祖返りしてしまったというのが、パンポンその他のゲームだという気がする。
煎じ詰めて考えれば、球技というのはゴールに入れ合うサッカー型、打ち合いをするバレーボール型の二つが主流で、あとはゴルフ型と野球型しかないようなものである。この 4つの基本で、あとは手を使ったり足を使ったり道具を使ったりというバリエーションを考えれば、いくらでも新しいスポーツが発生する余地がある。
ただ、どこまで行ってもマイナーの地位に甘んじることになり、オリンピック種目になるなんてことはまずないだろうが。
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