"「日米関係良くない」 が 2割超す 内閣府 「外交に関する世論」" というニュースがあるんだけれど、この種の世論調査の意味というのが、今でもよくわからない。
決して 「意味がない」 と言ってるわけじゃない。だが、それをどう解釈していいのかというのが、今イチよくわからないのである。
この調査は内閣府によって、10月 4~14日、全国の成人 3000人を対象に実施され、有効回収率は 58.6%だったんだそうだ。てことは、1758人分の回答を分析しているというわけだ。日本の総人口の、たった 0.0015%である。
そんなんで何がわかると言いたくなりそうだが、統計の専門家によれば、この程度のサンプル数で、傾向値は十分に導き出せるらしい。となれば、選挙の開票速報で、開票率 1%で 「当選確実」 が出るというのも、驚くほどのことではないのだろう。
この調査では、現在の日米関係を 「良好」 と思わない人が 20.4%に達したんだそうだ。「良好だと思う」 と 「まあ良好だと思う」 の回答を合わせると76.3%なので、「良好と思わない人」 は少数派なのだが、昨年同時期の調査の 2倍近くに増えたというのが注目ポイントだ。
で、こうしたニュースを聞くと、よくまあ、そんなに、「良好と思う」 とか、「思わない」 とか、偉そうに判断して答えられる人 (街場の外交評論家?) がいるもんだなあと、私なんかごく素朴に感心してしまっていたのである。
「現在の日米関係は良好か?」 なんて聞かれたら、私なら手に余る。そんな重大な問題を的確に判断するに十分な材料を、素人の私が持ってるはずないじゃないか。辛うじて言えるのは、「決して険悪ってわけじゃないよね?」 という程度のことである。
ところが、こうした調査の常道としては、私みたいな反応は、ほとんど 「まあ良好だと思う」 という回答に組み込まれてしまうんだろうなあ。それはまあ、仕方ないことだろうとは思うけど。
しかし、「良好と思わない」 と答えた 20.4%の人に、「じゃあ、日米関係は 『険悪』 ってことですね?」 と再確認したらどうなるだろう。日本の成人の 5人に 1人が、「日米関係は、『険悪』 だ」 と、本気で考えているんだろうか。
で、念のため、内閣府のサイトで昨年度の (今年度のはまだサイトに載ってなかったので) 調査結果 (参照) を調べてみると、こんなふうなことになっている。
現在の日本とアメリカの関係は全体として良好だと思うか聞いたところ,「良好だと思う」 とする者の割合が 82.7%(「良好だと思う」 36.0% + 「まあ良好だと思う」 46.7%),「良好だと思わない」 とする者の割合が 11.6%(「あまり良好だと思わない」 9.8% + 「良好だと思わない」 1.8%)となっている。
なんだ、「良好だと思わない」 という回答の中身は、「あまり良好だと思わない」 という、いわば曖昧な回答がそのほとんどを占めているんじゃないか。
てことは、「それほど 『蜜月関係』 ってわけでもないみたいだよね」 という程度の印象で答えたサンプルの多くは、「あまり良好だと思わない」 に組み込まれているのだろうと、想像するに難くない。
このケースに関しては、多分、「まあ良好」 という答えは、「険悪ってわけじゃない」 というのとそれほどの違いはないだろうが、「あまり良好だと思わない」 という答えは、「ちょっと険悪」 というのとは、ずいぶん違うだろう。
それは、「非常にいいってわけでもない」 程度のことなんだろうと思う。これが 「まあ良好」 とどう違うんだと言われたら、ものすごく微妙だ。
はっきり言って、判断基準が楽観的か悲観的か、あるいは単に、米国好きか嫌いかという程度の違いなんじゃなかろうか。だって、繰り返すけど、的確な判断を下す材料なんて、持ってないんだもの。素人なんだし。
今回の結果にしても、「良好だと思わない」 という中身は、「あまり良好だと思わない」 (≒ 「非常にいいってわけでもない」) が圧倒的多数なんだろうと思われる。それが新聞の見出しになると、"「日米関係良くない」 が 2割超す" になってしまうというのは、ちょっと恐い。ニュースとはそういうものと知りながらも。
この調査では、いろいろな国に対する 「親近感」 と、その国との 「関係」 の 2点を質問しているようだ。個人的には、「素人に聞くんだったら、親近感について聞く程度に止めて欲しいよなあ」 と思ってしまう。
「内閣府ともあろうものが、外交関係が良好かどうかなんてことを素人に聞いてくるより、専門家の視点できちんと判断しろよ」 と言いたくもなる。
好意的に判断すれば、時系列変化に沿った世論推移というのが重要なポイントなんだろう (きっとそうなんだろう) 。そして、「親近感」 というイメージ的なものより、「関係」 という具体的な言葉で質問する方が、直近の要素がよりタイムリーに反映されやすいんだろう。それは十分に理解できる。
そして、政府としては 「私どもが思ってるわけじゃ決してないんですけど、国民全体としてのおたくの国に対する意識って、近頃、こんなんですよ」 と、外国に対する微妙なメッセージを送ることができる。多分、これも (日本政府の期待としては) 大きいんだろう。
それでも、「日米関係は良好か?」 なんて正面切って聞かれたら、私なら悩む。ましてや、「現在の日本とアフリカ諸国との関係は全体として良好だと思うか」 (昨年度の調査報告をみると、こうした質問もあるようなのだ) なんて聞かれても、笑っちゃうしかないよなあ。