カテゴリー「経済・政治・国際」の441件の記事

2017/02/10

トランプは任期一杯までもつんだろうか

ドナルド・トランプが Twitter で 「私の娘のイヴァンカはノードストロームに不当な扱いを受けている」 と発言しているというので、かなりビックリしてしまった。百貨店が自らの判断でブランド取り扱いを止めるのに現職の大統領が口出しするなんて、前代未聞である。

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トランプだけでなく、大統領顧問のケリーアン・コンウェイというおばさんまでテレビ番組で、「イバンカの製品を買いに行ってください。すばらしい製品ラインだから。私もいくつか持っています。いっそのことここで無料のCMを流しましょう」 と発言した (参照) というのだから、ビックリ以上の成り行きである。今の米国っていったいどうなってるんだ。

トランプが大統領になってしまったとたんに、米国はとてつもなく下品な国になってしまったという印象だ。この駄々っ子にこのまま好き放題なことを言わせていたら、政治がマヒして国がまともに運営されなくなってしまう。この大統領は任期一杯までもたないんじゃないかという気がしてきた。

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2017/02/05

石原慎太郎のやり口が通用する時代じゃなくなった

下に示したのは、東京都が発行している 「東京いちばガイドブック」 というパンフレットの 2015年度版の一部である。内容は築地市場がどうして豊洲に移転するのかというテーマについて、総合的に説明した物だ。(画像をクリックすると、全体の PDF ファイルを見ることができる)

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都庁のサイトの中にある "TOKYO ICHIBA PROJECT" というページには、「東京いちば ガイドブック」 の2012年度版から 2015年度版までの PDF ファイルが登録されているが、2016年度版というのは見当たらない。原稿は準備されていたのだろうが、いくらなんでも出せなかったんだろうね。

こパンフレットには Q&A 方式でいろいろな疑問に対する回答が載っており、「土壌汚染対策はどうなったの?」 という質問 (上図の左中段) には、「土壌汚染対策は完了し、用地の安全性が確認できました」 と、図入りで回答されている。ずいぶん白々しいことを書いたものである。

そもそも築地市場が豊洲に移転することが決まったのは 12年以上前のことで、2004年 7月には 「豊洲新市場基本計画」 が策定された。決定前から 「築地市場が豊洲の東京ガス施設跡に移るらしい」 という話は知れ渡っていて、「よりによって、そんな土壌汚染があるとわかっている場所に、どうして移転したがってるんだろうね」 と囁かれていた。

要するに、豊洲の土地が土壌汚染問題を抱えているということは、今に降って湧いた問題じゃなく、初めから知られていたのである。当時私は、仕事の関係で毎日のように 「東京ベイエリア」 と呼ばれる地域に足を運んでいたので、これを結構身近なことと認識していた。そして 「石原慎太郎のことだから問題はすべて無視して、強引に事を運んでしまうんだろうな」 と、とても悲観的に考えていたのである。

ところがここにきて、豊洲の土壌汚染問題が今さらのように大きく取り上げられ、都が実施した汚染対策なんておざなりなものだという事実が明るみに出された。そこでようやく、移転が棚上げされる事態に至ったわけである。私に言わせたら、「遅すぎるよ!」 ということになるのだが。

この間の推移を早く言ってしまえば、「日本の民度も、ようやくこの程度には向上してきた」 ということになるのだと思う。12年以上前は経済原則最優先で、東京都としては 「土壌汚染問題なんて、テキトーに言いくるめて乗り切れる」 と踏んでいたのだろう。だからこそ、あれだけ危ない危ないと言われていたにもかかわらず、施設がほとんど完成してしまうまで、立ち止まることもなく突っ走ってしまったのだ。

ところが今になってようやく国民、都民の環境問題、食の安全問題に対する意識が高まってきた。まだまだ十分なレベルに達しているとは言いがたいが、「豊洲ってヤバいんじゃないの?」 と、大きな声で言えるところまでは辿り着いたのである。

早く言えば、10数年前の都知事とお役所の連中が、都民を甘く見ていたのだ。1年や 2年で完結してしまうプロジェクトなら、ダッシュで既成事実を作ってしまえたのだろうが、いかんせん、規模が大きすぎて 10数年もかかってしまったので、その間に都民も少しは利口になって、容易には口車に乗らなくなったのである。

思えば壮大な無駄遣いをしてしまったものである。もはや石原慎太郎のやり口が通用する時代じゃなくなったのだ。

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2017/01/27

米、メキシコ国境の壁の建設が始まってしまうのか

米国のトランプ新大統領が、メキシコ国境に壁を建設するという大統領令に署名した。これで実際に壁は建設されることになるのだろう。考えるだに馬鹿なことをするものである。こうなったら彼が大統領でいる 4年の間に壁の建設は完了せず、次の大統領が工事途中の壁をさっさと撤去してくれるように望む。

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メキシコ国境に壁を建設するなんてことが非現実的なのは、メキシコが 「払わない」 と言い、トランプが 「メキシコ産品に 20%の関税を課して払わせる」 と言っている費用の問題だけではない。環境的な見地からも悪影響が懸念されるし、実際の建設工事が始まったら、複雑な地形による困難さなど、多くの問題が浮上する。

まず壁建設により、砂漠の繊細なエコシステムが破壊されることが懸念される。ただでさえこの地域に生息する野生動物の多くが絶滅に瀕しているというのに、壁によって自由な移動ができなくなったら、食料やパートナーの確保が困難になり、絶滅の可能性がさらに高まる。

合衆国魚類野生生物局の 2016年のレポートによると、壁の建設により、絶滅危惧種 111種、渡り鳥 108種、4つの禁猟区および魚卵孵化場、および数え切れないほどの湿原に影響があるとされている。一度失われた環境は、それを取り戻すのに何倍もの時間がかかる。

また、壁さえ作れば密入国が防げるというわけではない。常に監視し続けなければ、壁を乗り越えるぐらいのことはそれほど難しくはない。3200km にも及ぶ壁全体を、どうやって見張り続けるというのだ。結局のところ、野生動物の自由な移動を妨げるだけのものになってしまう。

元々の地球には、国境なんていう線は存在しない。それは人間が勝手に作ったものだ。それは観念として存在し、物理的なものではないのだが、それを無理矢理に物理的な壁という形で固定化してしまおうというのは、意味のあることとは到底思われない。壮大なる無駄遣いに終わるだろう。

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2017/01/23

これから我慢の 4年間

ドナルド・トランプが米国大統領に就任して、「世界は 4年間の我慢を強いられる」 と思っていた矢先、ローマン・カソリックのフランシスコ教皇が、国境に壁や鉄条網を張り巡らせるという政策を批判する声明を発表した。内容的にはポピュリズム批判そのものである。(参照

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世界史は 「21世紀の初めの世界は、グローバリズムへの反動でポピュリズム台頭に直面した」 と、振り返ることになるだろう。問題はトランプ大統領の 4年間を世界がどう捉えるかだ。

フランシスコ教皇は 「ヒトラーは指導者の座を盗んだのではない。彼はドイツ国民によって選ばれ、そしてドイツ国民を破滅させた」 と語った。米国民の半数が今後の 4年間でトランプを選んだことを後悔することになれば、破滅からは免れる。

しかしそれだけではない。米国の残りの半数も、民主党候補としてヒラリー・クリントンを選んでしまったことを後悔しなければならないだろう。どちらも安易に流されすぎてしまったのだ。他に人がいなかったわけじゃあるまいし。

まあ、とにかく、我慢し続ける 4年間というのは長いだろうなあ。間違ってもさらに 4年間なんてことにならないように祈りたい。というわけで、今日はこれでおしまい。

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2016/12/21

安倍首相は、百戦錬磨のプーチンに手玉に取られた?

タイミング的にはちょっと遅れてしまったわけだが、今回の安倍・プーチン会談の結果について、なんだかよくわからないけど、垣間見えてきたと思われることだけ整理してまとめておきたいと思う。まあ、世の中では 「安倍首相が百戦錬磨のプーチンに手玉に取られた」 ということになっているわけだが。

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上の地図は、一目見てわかるように、今回大きな問題となった北方領土関連のものだ。外務省のサイト (参照) から拝借したものである。こうして改めて見ると、「北方四島は日本のものじゃない」 なんて言われたら、「おいおい、いくらなんでも、そりゃひどい話だろう!」 と言いたくなる感覚も、しっくりとくる。とりわけ歯舞色丹なんて、根室半島から点々とつながっていて、地形上でも日本そのものに見える。

さらに国後、択捉の二島は結構大きな島で、とくに択捉島なんて、戦略上の意味合いからもロシアは手放したくないのだろうというのもうかがえる。無茶を言えば、樺太の南半分を返してもらえたら日本も陸上の国境線というのを持つことができて、さぞ見ものだろうと思うが、まあ、それは到底無理だろうね。

で、この北方領土問題について、安倍首相は当初、「自分の任期のうちに解決する」 みたいなことを公言していたわけだが、それはあっさりと儚い夢ということで片付けられそうである。しかしあきらめがよすぎるのも考え物で、まだまだじっくりと交渉し続けなければならない。

今回はっきりしたのは、日本としても 「四島を耳を揃えて返せ」 とだけ言い続けるのでは、永遠に何の進展もないだろうということだ。今回の会談の結果が、「経済協力の口約束だけさせられて、北方領土問題では完全にケツまくられた」 と言うのはあまりにも単純素朴すぎる見方で、「まずはこんなところから始めないと、何も進展しない」 というのが実際のところなんだろう。

その意味では、北方領土問題はこれでおじゃんになったわけじゃなく、ようやくまともな話ができる段階の一歩手前まで辿り着いたということなのかもしれない。日本側の方で先回りして失望すぎると、ロシアの思うつぼだ。

とはいえ、「それだけのために、経済的な大盤振る舞いを約束させられたのか」 というのが、巷の大きな不満なのだが、経済協力と言っても金を出すのは圧倒的に日本で、しかも民間が主力となるのだから、向こうが誠意を見せなければこちらもグズグズしていればいい。ロシアに投資したくてたまらない企業なんてそんなにないし、政府は敢えて本気でプロモーション強化する必要もない。

日本が北方四島を返して欲しいと思っている以上に、ロシアは日本の金が欲しいのだろうから、ようやくまともな駆け引きのできる舞台ができたとみることができるわけだ。本当に面倒な話だけど。

それと同時に、日本がロシアと接近することで、極東における中国の位置づけが少々ビミョーになる。つまり 「中国のやりたい放題にはさせないよ」 という一定の意思表示にはなるだろうと指摘されている。これは案外な副産物だ。

とまあ、ぼんくらな私にはこの程度のことしか見えないのである。でもまあ、一応見えたところまでは書き記しておいても損はないだろう。いずれにしても国際関係、とくにロシアとか中国とかを相手にした交渉ってのは、ほとほとうんざりするところがあるようだ。

最後に一言書いておくが、安倍首相が途中までちょっとはしゃぎすぎていたのは確かなことで、その意味では 「手玉に取られた」 というのは言えてるだろう。

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2016/12/07

カジノ合法化には反対しないが、「IR 法案」 には反対

「ギャンブル法案」 とか 「カジノ解禁法案」 とかいわれる 「IR 法案」 の ”IR" というのは、"Integrated Resort" (統合リゾート) ということなんだそうで、まあ、その中でカジノを解禁しちゃおうというのが、法案の目玉なわけである。英語にしちゃえば、カジノ云々が曖昧になるとでも思っているのだろう。

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そんなようなカジノが目玉の 「統合型リゾート」 施設を日本のどこに造るんだか知らないが、推進派の議員の多くは、「もちろん自分の地元に」 と思っているようだ。要するに、既に利権化の道を突き進み始めているわけね。

実は私は 7年近く前に、カジノ合法化については「むしろ賛成」 と書いている。こんな具合だ (参照)。

しかし私はカジノの合法化に反対というわけではない。むしろ賛成である。私自身は興味がないが、興味のある人はやればいいというスタンスである。下手に非合法としているから、暴力団の資金源になったりする。やるならやるで、公明正大にやればいい。

ただ、ちょっと危惧するところがあって、次のように続けている。

ただ、ここで疑問なのが、「日本では既に 『パチンコ』 という公認カジノがあるではないか」 ということだ。パチンコが実質的に換金可能で、なんだかちんぷんかんぷんな建て前を装ってはいても、ギャンブルとほとんど変わらないのは誰でも知っていることである。パチンコを放っておいて、カジノ合法化もないではないか。

で、この当時は 「カジノ議連はパチンコの換金についても、カジノ法案と同じ仕組みで立法化していく方針」 としていたが、ここに来てそんな話は全然立ち消えになってしまっている。約束が違うのである。

ということは、日本中に 「パチンコという実質的ギャンブル場」 がいくらでもあるという状態はそのままにして、その上に 「統合型リゾートとしてのカジノ」 が造られるということになる。

日本は今でも実質的に 「世界一のギャンブル大国」 である。その証拠に、ギャンブル依存症患者は国内に 530万人以上いるといわれ、人口比率にすると約 5%と、世界でも断トツだ。そこら中で気軽にギャンブルができちゃうから、こんな数字になる。

ただでさえこんな状態なのに、その上に 「公認カジノ」 ができてしまったら、一体どんなことになるというのだ。私は 「パチンコ屋を整理する」 という前提でカジノ合法化に賛成したのだが、その前提が曖昧にされてしまっては、賛成する理由が失われたのである。

「ちょっとひどいなあ」 と言うしかない。経済効果にしても疑問で、国内のギャンブル好きは 「統合型リゾート」 なんていう面倒なところには行かず、相変わらずパチンコ屋に通い続けるだろう。

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2016/11/27

TPP は死んでしまったみたいだから

ドナルド・トランプが 「大統領に就任したらすぐに TPP を脱退する」 と明言しているのだから、まともに考えたら既に 「TPP は死んだ」 のだろう。

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私はこのブログで、TPP 賛成の態度表明をしてきた。ただそれは、積極的な賛成というわけではなく、しぶしぶながらというところだった。その理由は、2013年 3月 16日の記事で書いているように、「中国の影響がやたら強い経済圏で暮らすよりも、いろいろと問題はあるだろうが、TPP の中で暮らす方が、少しは気分が良さそうだ」 ということである (参照)。

TPP が死んでしまったら、それとばかりに中国が環太平洋経済圏での主導権を握ろうとするだろう。ドナルド・トランプに考え直させることができるとすれば、「それでもいいの?」 と迫ることだ。「そんなこと、知ったことじゃない。米国は米国の中の雇用が安定しさえすればいいのだ」 というなら、それはそれでしょうがない。

よく言われることだが、米国経済における第二次産業の占める比率というのは、既に 4分の 1を切ってしまっていて、工業製品なんかより技術やノウハウ、特許などの方がずっと稼ぎになるのだから、自動車産業の雇用が多少増えてもしょうがないということもある。でも、トランプは 「そんなこと知ったことじゃない」 という立場のようだから、これも仕方がない。

トランプがどうしても態度を変えないというなら、この期に及んで TPP にこだわり続けていては周回遅れランナーになってしまう。お笑いぐさだ。

元々 TPP というのはビミョーな問題をはらみすぎるほどはらんでいて、民主党政権時代は首相を務めていた野田さんが積極的に推進していて、自民党なんて 「断固反対」 なんて言っていたのだ。それがいつの間にか両方とも過去のいきさつを忘れてしまったかのように立場を 180度入れ替えた議論になっている。

要するに日本の政治というのは、政権に就いてしまったら米国の腰巾着をし、野党になったら何でも反対するのがお約束なのだ。ところが政権党がずっと忠義立てしてきたはずの米国が、いきなり 「TPP 脱退」 なんてことを言い出したので、はしごを外された格好になってしまっている。

選挙戦ではトランプだけじゃなく、ヒラリーまでそんなことを言っていたのだから、まったく世の中、何が起きるかわからない。間違いなく言えることは、世の中の振り子が大きく逆方向に触れ始めたらしいということだ。

とりあえずしばらくは、TPP よりちょっと居心地が悪いだろうと思われる、中国に引きずられた形の経済の中で我慢するしかないのだろう。その中で、多少は居心地改善の努力をしなければならない。

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2016/11/10

ポスト・グローバリズムを本気で考えなければ

いやはや、昨日は米国大統領選のドナルド・トランプの勝利で、つくづく身の不明を恥じたわけだが、総得票数で言えばヒラリー・クリントンの方が少しだけ多かったという事実が報じられたのは、ちょっとした救いだった。2000年のジョージ・ブッシュ対アル・ゴアの選挙戦同様に、得票数が少なかった方の候補が、妙な選挙制度のおかげで選挙人獲得数では上回り、勝ってしまったのである。

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ジョージ・ブッシュはさらに 4年後の選挙でもジョン・ケリーと大接戦を演じ、この時は総得票数でもケリーを辛うじて上回って 2選目を果たした。しかしこの時、米国の民主党支持者たちは 「米国の 49%は彼に投票したわけじゃない」 として、"Sorry, everybody" (ごめんね、みんな) というサイトを作ってキャンペーンを立ち上げた。

このサイトにはものすごく多くの米国人が、”Sorry" というカードを掲げた顔写真をアップロードして、世界に謝りまくったのである。このことは同年 11月 18日に、「米国の半分は申し訳なく思ってるらしい」 という記事で紹介した。

そして今回も、米国民の半数は世界に対して謝りまくりたい心境になっているらしく、例のサイトは 11月 9日の時点で、「逃げ隠れせず、近くアップデートされます」 という予告を掲げている。おそらく 12年前よりもずっと痛恨の面持ちで謝りまくる人たちの写真とコメントが、続々とアップロードされるだろう。

ただ今回に関しては、”Sorry" と謝りまくるよりも、既に激しい抗議運動が始まっている。12年前よりも事情はずっと深刻だ。

今回の結果は行きすぎたグローバリズムからの揺り戻しが、我々の思っていた以上の激しさで世界を席巻していることを示しているだろう。「隠れトランプ」 が多かったというのは、要するにそういうことだ。ヨーロッパ各国における排他主義的な極右政党の躍進、英国の EU 離脱などといった動きと、軌を一にするものと考えていい。

つまりトランプの勝利は、実は伏線がたっぷり張られていて、驚くに足るものじゃなかったのだ。多くのジャーナリストは、その伏線を軽く見過ぎていたのである。

グローバリズムは途上国の中間層に富をもたらしたが、一方で割を食っているのが先進国の中低所得層である。彼ら (いや、私自身を含めて、「我々」 と言った方がいいのかもしれない) の生活はちっともよくならないどころか、むしろ苦しくなっているのだ。それは 11月 6日の痛恨の記事で書いたとおりである (参照)。

「排外主義、孤立主義では、経済は成長しない」 なんて言われても、「そんなの関係ねえ。どうせ俺たちは株なんか持ってないんだから、株価が暴落したって構わない。それより目先の仕事が欲しい」 というわけだ。実現可能だろうが不可能だろうが、中身があろうがなかろうが、とにかくこれまでの政治家が決して口にしなかったような、耳に心地良く響くだけの底の浅いアジテーションを受け入れてしまうのである。

この動きは必ず日本にも波及するだろう。安倍内閣の 「日本万歳」 だけでは大衆は動かなくなり、一方で 「ネット右翼」 はより先鋭化する。

今回の民主党予備選でヒラリー・クリントンの対立候補となったバーニー・サンダースは、この辺りの事情にうまく対応できる人だったと思うのだが、いかんせん、周囲がそのことについてまだまだ無自覚で、彼の主張は十分な広がりを持つに至らなかった。グローバリズムからの揺り戻しをどうコントロールするかなんてことを、誰もまともに考えず、「英国は愚かな選択をしたものだね」 と冷笑しているだけだったのだ。

ここまで来ると日本としても、「TPP を推進する」 なんて呑気なことを言っている場合じゃない。それに代わる枠組みを考えなければならないことに、早く気付くべきなのだ。その点でも、安倍内閣はこのままでは周回遅れになってしまう。でもまあ、日本人全体が周回遅れ気味なんだから、しょうがないか。

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2016/11/09

米大統領選挙に関する記事では、めちゃくちゃ反省だ

ああ、めちゃくちゃ反省している。何かって、もちろん米国大統領選挙直前の、自分の記事の誤りについてだ。

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私は 今月 6日の記事 で 「どうやら世界は大きく変わってきているようなのだ。今回はおそらくヒラリーが勝ってしまうんだろうが、次はわからない」 なんて書いてしまった。「世界が大きく変わってきている」 ときちんとわかっておきながら、どうして 「今回はおそらくヒラリーが勝ってしまうんだろうが」 なんて書いてしまったんだろう。

もっと言えば私は昨年あたりまで、「ヒラリーはただスマートなだけ」 とか、「賞味期限切れのヒラリー」 とか、散々書いてきた。とくに後者の記事では、「米国初の女性大統領になるのは、ヒラリー以外の誰かだろう」 とまで言い切っている。

せっかくまともに正しい予言をしていたのに、我ながらどうした気の迷いか、昨年 7月に 「生き返ったヒラリー・クリントン」 なんて記事を書いて、少々期待するみたいなことを言ってしまった。ただ、それでも自分で書いた記事を自分で信じきれず、何度もくさしてきた。

今年 2月には 「ヒラリーの悪いクセ」  という記事で、「何かツッコまれると典型的にステロタイプな反応をして、それで解決したつもりになっている」 と指摘した。その悪いクセのせいもあって、8年前の民主党候補指名争いでオバマに負けたのに、ヒラリーは全然わかっていなかった。(それで今回も繰り返したというわけだ)

さらに 6月に、典型的なエスタブリッシュメントに過ぎない言動を繰り返しているだけでは、「党内でサンダースに競り勝っても、本選ではトランプのハチャメチャに勝てない」 (参照) と書いている。ああ、ここまで決定的なことを書いたのに、それでもまだ今回の結果を見通せなかった。

いや、見通せてはいたのに、あえてそれを自分で信じようとしなかったのだ。まったく痛恨の限りである。

それは選挙終盤に世間に流布した 「ヒラリーがややリード」 なんていう情報を、疑いもなく受け入れてしまったからだ。どうして自分の直観を最後まで信じようとしなかったのだろう。世論調査がいつも実態を正しく反映してるなんて、あり得ないと知っていたはずじゃないか。

端的に言ってしまえば、ヒラリーよりもトランプの方が 「より嫌い」 だから、ちゃんと見えていたはずのことに目をつむってしまったのである。私は好き嫌いでの判断は極力しないと決めているのに、肝心なところでやらかしてしまった。そしてそれは、世界中のジャーナリズムが陥った罠でもある。

たとえトランプのスタイルが嫌いでも、あのスタイルで単なる泡沫候補の扱いから共和党の正式候補に上り詰めた事実とその要因をきちんと分析し、認識すべきだったのだ。いくら気に入らない事実であってもね。

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2016/11/06

米国大統領選の裏に潜む 「象チャート」

米国の大統領選挙がいよいよ近付いてきた。今回の選挙はヒラリーとトランプの 2人とも嫌われ者だから、見ていて馬鹿馬鹿しくなるまでの様相を呈してしまっている。しかしいくら馬鹿馬鹿しくても、2人のうちどちらかが、世界で大きな影響力をもつ米国の大統領になってしまうのだから、関心を持たざるを得ない。いや、それでもやっぱり馬鹿馬鹿しいのだが。

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今年になってから、米国大統領選関連で、案外結構な本数の記事を書いた。そのうちの主なものだけを以下に挙げてみよう。

1月 7日 ドナルド・トランプと 「本音主義」 の危なさ
5月 14日 近頃台頭している 「ぶっちゃけ本音主義」
6月 9日 米国大統領選挙について書く
8月 11日 米国って人がいないのか
10月 10日 トランプのオウンゴールで……
10月 11日 わかりやすいアイコンでないと、選挙に勝てない

こうしてみると、8月以降、とくに 10月の 10日と 11日の記事なんて、ちょっと表面的なものになってしまっていて、より本質的なことは 1月 7日の "ドナルド・トランプと 「本音主義」 の危なさ" と、5月 14日の "近頃台頭している 「ぶっちゃけ本音主義」" の 2本で書いているような気がする。イベントが近付いてくると、大事なことが見えなくなってしまうのだね。

要するに、当初は冗談たっぷりの泡沫候補と思われていたドナルド・トランプが、「ふたを開けてみてびっくり」 の正式な共和党候補になってしまったのは、世界が 「ぶっちゃけ本音主義」 に傾いていることを現すのだ。私自身は、そういうの好まないんだけどね。

その裏付けとして、「象チャート」 というものがある。この記事の上の方に図で紹介してあるのは、"Knowledge Forum" というサイトの 「低成長の環境を乗り切る投資」 という記事から拝借しているのだが、要するに、昨今のグローバル化は世界の経済を満遍なく潤しているわけじゃないってことを端的に示すものだ。

最もグローバル化の恩恵を蒙っているのは、新興国の中間所得層 (図の中の 「A点」) と世界の富裕層 (C点) で、一方で富裕国の中間所得層の所得は実質的に低下してしまっている。ぶっちゃけて言えばこの 「富裕国の中間所得層」 というカテゴリーには、日本の吾々の多くが含まれているのだから、「そう言えば、近頃暮らしがしんどくなったよね」 と実感されている通りなのである。

このグラフの形状が、あたかも鼻を高く上げている象のような形に見えるので、「象チャート」 と呼ばれているわけだ。なるほど、グローバル化の結果として唯一著しい経済的不利益を蒙っているのが、富裕国の中間所得層なのだから、ヨーロッパで 「反グローバリズム」 の影響下にある極右政党が支持を伸ばしたり、英国で EU 離脱が決まったりしているのも道理と言えば道理なのだよね。トランプがここまで支持を伸ばしたのも、その一環である。

で、もうちょっと言っちゃえば、今回の米国大統領選では、リベラルな民主党と、保守的な共和党という従来の図式が崩れてしまっているようなのだ。2人の候補の言ってることを聞く限りでは、「ヒラリーは変わり映えのしないエスタブリッシュメント代表で、トランプはラジカルな庶民代表」 みたいに思われてしまうのだよ。あの田中角栄が 「庶民派の英雄」 みたいに思われていたように。

どうやら世界は大きく変わってきているようなのだ。今回はおそらくヒラリーが勝ってしまうんだろうが、次はわからない。トランプの主張をもう少し上手に訴えられる候補が現れたら、きっと大きく支持されるだろう。その意味で民主党のバーニー・サンダースの登場は、半歩早すぎたのかもしれない。

それにしてもヒラリーは例の 「私用メ—ル」 問題で、「自分のメルアドを自分で使って、何が悪いのよ」 程度の浅はかな意識でいるようなのだが、それってデジタル音痴のゴーマンなオバサンと変わらない危なっかしさだよね。ホワイトハウスのサーバに残したくないような、ビミョーなメールのやり取りをしていたと勘ぐられるのは当然のことである。

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