カテゴリー「言葉」の421件の記事

2018/06/06

「ゴミ箱」 を英語で何というかは、案外厄介な問題だ

いろいろな公共施設で、「ゴミ箱 Trush Box」 という表示を見かけるが、この "Trush Box" というのは 「ゴミ箱」 を直訳しただけの和製英語であるらしい。はたまた "Dust Box" というのもあり、ネットで調べたら、この名前のパンク・バンドまで見つかった (参照)。

180606

上の写真は、左が私の書斎の 「ゴミ箱」 で、右側は、上が Windows 7 (Windows 8 以後はどんなんだか知らない)、下が Mac の 「ゴミ箱」 のアイコンである。どちらも日本語で 「ゴミ箱」 と称してはいるが、どうみても 「箱 (box)」 じゃないよね。全然ボクシーじゃない。

ちなみに、元々の英語では、Windows の方は "Recycle bin" というらしい。削除してもすぐに復元できるということで、アイコンにもリサイクルマークが付いているのだろうけれど、厳密にはあまり意味のない名称だ。この方面の先駆者、Mac の方は "Trash Can" で、ずっと潔くもシンプルである。

それにしても、フツーの英語で 「ゴミ箱」 はなんと言うのかと考えてみると、そもそも 「ゴミ箱一般」 を指す 「フツーの英語」 って、ないんじゃないかという気がする。行った先々でいろいろな言い方があるから、郷に入っては郷に従うしかない。その意味では ”trush box" も、「日本のローカル英語」 なのだろう。

とりあえず Weblio に当たってみると、wastepaper basket、waste basket、circular file、waste-paper basket、wastebasket, garbage can, garbage box, rubbish bin, trash can, dust bin, dustbin など、いろいろな言い方が出てくる (参照)。同じ 「ゴミ」 でも、waste, garbage, rubbish, trash, dust など、いろいろな言い方がある。"Bin" というのは 「瓶」 じゃなく、「容器」 という意味で 「かいばおけ」 が語源らしい。

一概には言えないが、"garbage" は 「生ゴミ」 的なニュアンスがあって、”rubbish" と "Trash" は 「乾いたゴミ、がらくた」 のニュアンスが強いと思う。どうやら英国では "rubbish"、米国では "trash" が主流ということのようだ。とはいえあまり囚われずに、現地の言い方に従えばいいだけのことだろう。ちなみに私が若い頃に勤めていた外資系のオフィスでは ”waste basket" が主流だったから、私も素直にそう言っていた。

こうしてみると英語って、たかが 「ゴミ箱」 を言うのにやたらと面倒なところがあって、案外厄介な言語である。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2018/05/30

「せわしない」 と 「しょわしね」

Twitter で カワチ さんという方が 「忙しない」 (せわしない) という言葉について次のように書いている。(参照

180529

前に「忙しない」という表現をした時に 「誤字ですよ。『忙しい』 ですよね?」 と言われて 「いや、『せわしない』 と読むんですよ」 って答えたんですが、「そんな言葉は知りません。方言を使わないで」 と反論されまして……。
え? 標準語……だよね??
「忙しない (せわしない)」 て言うよね?

結論、ちょっと古い言い回しかもしれないが、十分に標準語である。Weblio 辞書にも次のようにある。

1805292

要するに 「せわしい」 にちょっと強調気味の接尾語 「ない」 が付いたもの (参照) だから、「そんな言葉は知らない」 とか 「方言」 とか言うのは、単に 「言葉知らず」 というだけの話である。

ちなみに私の生まれた庄内では 「しょわしね」 と訛ったりする。「しょわしい」 とも言うが、それをさらに強調すると 「しょわしね」 になる。そしてニュアンスとしては 「せわしい」 というより 「ごちゃごちゃと落ち着きがない」 「やかましい」 という意味が強調される。

試しにネットで検索してみると、同様の言葉が隣の秋田県のみならず、大分県でも使われているようだ。柳田国男の 『蝸牛考』 を想起させる。古いカタチは周辺に残るのである。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2018/05/18

「指づめ注意」 というステッカーが廃れてしまった

今回は関西から折り返して東北に向かう 2泊 3日の強行軍出張を終えて、さっきやっと帰宅した。東北方面は大雨が心配だったが、なんとか晴れ間を縫って仕事を完了できた。自分自身のしぶといまでの晴れ男振りがありがたい。

180518

ところで、東海道新幹線の車両で、ドアの横に上の写真のようなステッカーが貼ってあるのに気付いた。「指はさみ注意」 という大文字の下に 「ドアのすきまに手や指を淹れないでください Watch your fingers」 とある。それにしても 「指はさみ注意」 とは、なかなか苦しい表現だ。

JR 東日本の車両だと、「開くドアに注意」 とか 「ドアに指を挟まないように」 などの表現になっているように思うが、大阪管内ではもっとどぎつかった。私が 20代の頃、大阪に本社のある会社に勤めていた頃は、大阪の電車に乗ると 「指づめ注意」 というステッカーが貼ってあって、これにはなかなか馴染めない思いがしたものだった。

「まるで極道の世界ですな!」 と言うと、大阪の同僚の反応は 「なんで? これでフツーやんか」 と、あっさりしたもので、これはこれで当たり前の大阪弁なのだと知った。しかしその表現も今ではすっかり廃れたようで、大阪の電車に乗っても、もはや 「指づめ注意」 というステッカーはあまり見られない。

それはそれで、ちょっと寂しい気もするのだよね。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018/05/07

「恐妻家」 というのは 「恐ろしい妻」 のことじゃない

このブログでは過去にもいろいろ言葉の誤用について採り上げているが、最近になって 「恐妻」 という言葉の誤用がかなり多いことに気付いた。

180507

言うまでもなく、いや、そろそろきちんと言わなければならないのかもしれないが、「恐妻」 というのは、男性について使われる言葉であって、上の写真で紹介した "Girls Slism" というサイトの記事のように 「恐妻になるタイプ・結婚後に夫を足蹴にする未来の鬼女  恐妻になりやすい女性の特徴」 なんて用い方をするのは、完全に誤用である。「Goo 辞書」 にも次のようにあるから、改めて確認してもらいたい。(参照

きょうさい 【恐妻】

夫が妻に対して頭の上がらないこと。「恐妻家」

ここに示されているように、「恐妻」 というのは決して 「恐ろしい妻」 ではなく 「妻を恐れる夫」 のことなのである。ちょっと前の映画なんかで、「いやあ、彼は恐妻家だから、あんまり遅くまで酒に付き合わせちゃいけないよ」 なんていうようなセリフがよくあった。ところが今や、本来の意味は褪せてしまったようで、ちょっと検索しただけで誤用がゴロゴロ見つかる。下に紹介する例はほんの一部である。

恐妻家と相性が合う旦那の特徴 | 特徴.COM

恐妻家の妻はこんなにも恐ろしい特徴を持っている! - 主婦知恵

アナタの彼女は当てはまってない!? 結婚後、恐妻になりそうな女性の特徴

恐妻家の女性と上手くいく旦那の特徴|

恐妻家になる女性の特徴や心理と恐妻家と相性がいい旦那の特徴

上から 2番目の 「恐妻家の妻はこんなにも恐ろしい特徴を持っている」 という文言は、「あれ、『恐妻家の妻』 なんだからいいんじゃないの?」 と思われるかもしれない。しかし本文の 「夫を尻に敷くタイプと言える恐妻家の女性。 旦那様から恐れられている存在ですが、このように恐妻家になる女性には性格に特徴や共通点があります」 という文言を読めば、「ははあ、やっぱり誤用か」 と、がっくりくるだろう。

まあ、記事の内容も一見すると心理学的な視点で書いてあるようにみえたりするが、結局は通俗心理学にも及ばないレベルだから、読んでも時間の無駄だ。それは他の 4つの記事にしても同様である。「恐妻」 という言葉の意味も知らないライターの書いた記事だから、しょうがないといえばしょうがない。

とはいえ、いつも言うように言葉というのは生き物みたいなものだから、近い将来、国語辞書の 「恐妻」 の項の解説も 「夫が妻に対して頭の上がらないこと。または、夫をそのようにさせる妻のことも言う」 ってな具合に変わってしまうかもしれない。

それにしても 「恐妻」 を 「恐ろしい妻」 と解釈するのは、かなり即物的で趣味が悪いんじゃないかなあ。

それから、ついでに言ってしまうが、上の写真で紹介した "Girls Slism" というタイトルの意味がさっぱりわからない。とくに "Slism" って、一体何だろう。辞書を引いても見当たらないし、サイトの中でもちっとも解説されていない。

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2018/04/17

「ハッシュタグ」 という言葉

14年以上もブログの毎日更新を続けていると、「世の中、確かに変わった」 と思うことがかなりあり、その一つに、「#」 という記号の読み方がある。10年以上前は 2007年 8月に 「"#" は 「シャープ」 じゃないんだって」 という記事を書いたぐらいのものだが、今はごくフツーに 「ハッシュタグ」 と言われている。

180417

「ハッシュタグ」 という言葉が日本で急速に広まったのは、明らかに Twitter の普及による。ただ、米国で Twitter がスタートしたのが 2006年 7月で、その 1年後の 2007年は、まだ日本語対応すらできておらず、国内での本格的普及がスタートしたといわれる 2009年になっても、まだみんな 「シャープ」 と言っていたように思う。

Twitter がごくフツーに日常生活に入り込み、それとともに 「"ハッシュタグ〇〇" で検索してください」 なんて言い方がごく普通になったのは、ここ 10年足らずのことだ。考えてみれば大変な変化である。

ただこの 「ハッシュタグ」 というのは、あくまでも SNS における 「タグ」 の一つとして使われる場合の呼び方で、普通の英語としては単に 「ハッシュ (hash)」 とか、番号を示すために付けたりするので 「ナンバー・サイン (number sign)」 とか呼ばれる。

そんなわけで、"hash" というのは昔からある言葉だが、"hashtag" となると新語だから、2013年になって始めてオックスフォード辞書に採用されたらしい。一方、日本では 「ハッシュ」 を素通りしていきなり 「ハッシュタグ」 という言葉が浸透したため、単に 「ハッシュ」 と聞いて 「#」 の記号を思い浮かべられる人はごく少数派で、まだ 「シャープ」 の方が一般的だろう。

しかしそもそも 「ハッシュ」 と 「シャープ」 は別物のようで、よく見ると上図の通り、「ハッシュ」 は横の線が水平で縦の線が斜めだが、「シャープ」 はそれが逆になっている。西洋音楽ではシャープが 1個付くと 「ト長調 (G major)」 で、「ファ (F)」 の音を半音上げるため、五線譜では一番上の線 (ここが 「ファ」 の音に当たる) に付けられる。このあたりのことはあまり認識されていないから、ウンチク・ネタとして使えると思う。

| | コメント (13) | トラックバック (0)

2018/04/15

「とろぺず」 という言葉

フランスの観光地に 「サントロペ」 (St.Tropez) というところがあり、世界中に知れ渡っているので、いろいろな店がこの名前を勝手にいただいている。下の写真の 「都会的娯楽」 が売り物の 「サントロペ」 はパチンコ屋さんらしい。

1804152

で、フランス語の綴りでは最後の発音しない "z" の文字が付いてしまうので、私なんかつい "St." 以後の部分を 「トロペズ」 と読みたくなってしまい、それが引き金となって庄内弁の 「とろぺず」 を連想して、苦笑いしてしまったりする。

庄内弁の 「とろぺず」 というのは 「いつも、しょっちゅう」 という意味の言葉で、英語で言えば "always" に当たる。で、「おめだば、とろぺずものくてんなだものの〜!」 (日本語訳: お前ってば、いつもモノ食ってるんだものね〜) なんて呆れたりするのである。ニュアンスとしては、あまり褒められるような意味では使わない。

これはとくに庄内地方に限らない方言のようで、インターネットで検索すると 「とろぺし」 「とろぺじ」 「とろっぺじ」 「とろっぺず」 などのバリエーションでいくらでも出てくる。いずれも 「いつでも」 という意味だが、秋田などでは、「際限なく、いつまでも」 (forever)という意味合いでも用いられたりするようだ。

語源に関しては、どう探しても確たる言及がない。柳田国男の 『蝸牛考』 という書に、新しい言葉は中央から発して地方に伝わり、辺境になるほど古い言葉が残る」 というようなことが書いてあり、「とろぺず」 はどうやら東北地方にしか残っていないようなので、かなり古い言葉なのだろう。

というわけで古語辞書をひくと、「とろ」 は 「とろとろ/たらたら」 という言葉の流れで、「牛のよだれのような粘液状のものが流れ落ちる様子」 とか 「ゆっくり、ゆったり、のろのろ」 という意味となっている。これは今でも 「トロいやつ」 みたいな言い方に痕跡を留めている。

残る 「ぺず/ぺす/ぺじ/ぺし」 はなかなか難しいが、古い言葉とすれば、「はひふへほ」 の古い発音は 「ぱぴぷぺぽ」 の P音だったというから、辞書的には 「へす」 という言葉にヒントがあるかもしれない。「へす」 という古語は 「圧す」 と表記され、「押しつける」 という意味である。「押せども圧 (へ) せども」 なんて使い方をする。

この 「へす (圧す)」 が 「とろぺず」 の 「ぺず」 の部分に当たるとしたら、「とろぺず」 は 「際限なくのろのろと押しつける」 というようなイメージになる。これだと、褒められるようなイメージからほど遠い 「いつも、しょっちゅう、いつまでも」 というような意味合いに重なるだろう。もしかしたら案外、こんなようなところが正解なのかも知れない。確証はないけど。

ちなみに 「サントロペ」 というカナ書き表示だと、「さんごろぺ」 というのを思い出してしまうのだが、これについては 13年以上も前に "「かすと」 と 「さんごろぺ」" というタイトルで書いているので、参照されたい。

ああ、私としては、サントロペまで避暑になんか行かなくていいから、1週間ぐらい休みを取って、トロトロゆったりと暮らしてみたいものである。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018/04/14

英語は、単にお洒落な演出のための小道具なので

今月 5日に 「JR のペットボトルは、ぼってる」 という記事を書いた。東京駅の新幹線ホームにあるゴミ箱の 「ペットボトル」 の表記が "P.E.T.Bottels" となっているのを、下記のように写真入りで紹介したものである。

180414

その隣の表記がきちんと "Bottles" になってる (違い、わかるよね) のに、このラベルに関わった人たちは、制作者から現場で貼り付け作業をした人に至るまで、誰も気持ち悪くならなかったもののようなのだ。おそらく関係者の誰も、このラベルをまともに 「読んでなかった」 のだろう。「文字を目にしたら、とりあえず読んじゃう」 という体質の私みたいな人間にとっては、びっくりの現象である。

とはいえ私としては、この種の問題には既に諦観しているというか、「まあ、世の中そんなもんだよね」 程度の感慨で済ませてしまうのが身につきかけている。前は羽田空港のスナック・カウンターで "flesh juice" という看板を見てちょっと青ざめてしまい、店員のオネエチャンに 「これ、ちゃんと直しといた方がいいよ。『肉体ジュース』 って意味になっちゃってるから」 と注意したりもしたが、最近はあまり動じなくなった。

あの時にしても、"flesh juice" の店のオネエチャンは、「え、何がいけないのよ。生ジュースは生ジュースでしょ」 みたいな顔をして、ちっとも理解してくれなかったから、注意するだけ無駄だと悟ったのである。5日の記事にハマッコーさんが付けてくれたコメントでも、衣料品店の売り場案内に "Ladeis" とあったので注意したら、"Ladies" になってたというのがあった。

一方で紳士服売り場に "Men's" とあるので、婦人服の方も "Ladies'" としてもらいたかったわけだが、単にアサッテの方向にスペル修正されただけだったようなのだ。まあ、”Men's wear/Women's wear" ぐらいが一番わかりやすいんだろうけど、男子トイレの表示が "Men Toilet" なんていうのもあることだし (参照)、多くを望んでも仕方がない。

こんなことでは 2020年の東京オリンピックを前にしてお恥ずかしいというのは、至極もっともな指摘だが、まあ、この国の英語のレベル (というよりも、言葉総体のレベル) がこの程度のものなので、急に直そうったってそう簡単にはいかないだろう。

奇しくもこの記事の翌日に発表された、文科省による全国中高生の英語力に関する調査によると、政府が目標としていた 「中学生、高校生の 50%以上が、それぞれ英検 3級、同準2級相当以上の実力をもつ」 というレベルに届かなかったという。英検 3級なんて、はっきり言って馬鹿馬鹿しいほど簡単なんだけどね。

この報告を紹介した個別指導塾の先生のブログに 「木曜5割基準、到達は4割」 と書いてある (参照) ので、「一体何のこっちゃ?」 と思ったが、多分 「目標5割基準、到達は4割」 のミスタイプなのだろう。上の方で 「言葉総体のレベル」 と書いたのは、こうしたこともあるからである。

私は、この国の 「英語」 というのは、「お洒落な感覚を強調するための小道具」 でしかないと思っていて (だって、それ以上の意味づけは実際の生活でほとんど必要ないのだもの)、2015年 10月 21日の 「テキスト派と感覚派の間の深い溝」 という記事で、次のように書いている。

プロモーション用のウェブページを作成したり、お洒落なメニューを作ったりというアートワーク系の 「感覚派」 の人たちは、まず辞書なんて引かないのだ。言葉を意味のある言葉としてではなく、お洒落な感覚を演出する小道具ぐらいにしかみていないためだと思われる。

せっかくのお洒落な小道具なのに、正確な意味なんか調べてしまうと 「理に落ちて台無しになる」 みたいな気がして興醒めするので、そんなことしたくないのだろう。意味や正しいスペルを調べるよりも、感覚的なテンションを維持することの方が大切なのだ。

(中略)

しかし感覚派の人たちにしてみると、多少の語法やスペルの間違いなんて、大したことじゃないらしい。「何かおかしい?」 ってなぐらいにしか感じられないようなのである。「いいじゃないの。わかれば」 と言いたいみたいなのだが、テキスト派にしてみると、「いや、わからないから」 と言わざるを得ないのだ。

というわけで、日本の半数以上の人たちはあの 「一見英語のような表示」 を 「言葉」 と思っていないみたいだから、「左脳を使って読む」 のではなく、「右脳で眺めてるだけ」 のようなのである。だから 「言葉」 として間違いを指摘してあげても不興を買うばかりという結果になるわけだ。ましてや、英検何級相当のレベルなんてなことを言っても、ほとんど意味がない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018/04/05

JR のペットボトルは、ぼってる

この写真、ちょっとわかりにくいかも知れないが、東京駅の新幹線ホームにあるゴミ箱である。きちんと分別して捨てるようになっていて、「カン・ビン」 と 「ペットボトル」 も専用の口がある。

180405

写真の左側が 「カン・ビン」 用で、右側が 「ペットボトル用」 だ。で、一見して 「ありゃ?」 と思ってしまったのだが、英文表記が左側が "Can/Bottoles" で、右側が "P.E.T. Bottels" になってしまっている。それで、昨日の朝、「東京駅のゴミ箱、ぼってる」 として Twitter に画像をアップしといたのだが、皆さん忙しい時間帯で、スペルの間違いに気付いてくれなかったようで、何の反応もなかった。

それにしても、おそらく同じ人間が担当してこの表示ラベルを作成したんだろうに、どうして片方を "Bottles" と正しい表記にしながら、もう片方を "Bottels" なんてことにして気持ち悪くならなかったんだろう。さらにこのラベルを貼り付ける人も、誰一人として 「ありゃ?」 と気付かなかったらしいということに驚く。

まあ、もっとえば、左側も "Cans/Bottles" としてもらいたかったところだが、日本人の英語力って、まだこの程度のものなんだなあと、しみじみした気分になってしまった。

というわけで、今日は度続く (旅続く?) 出張帰りでヘトヘトなので、この程度の軽いお話でおしまい。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2018/04/01

「雰囲気」 の読みが 「ふいんき」 で定着するのは 2035年頃

国立日本語研究所は、「雰囲気」 という言葉に関して、2035年頃に 「ふいんき」 という読みが定着し、多くの国語辞書にも新項目として加えられるだろうと予測している。

180401

上の画像は Goo 辞書の 「ふんいき 【雰囲気】」 の項目だが、既に "「ふいんき」 と発音する人が増えているという調査結果がある" という補足がある。私も昨年のクリスマスイブの記事で、iPhone で 「ふいんき」 と入力すると、変換の第一候補に 「雰囲気」 が表示されると書いていて (参照)、なかなか忌まわしいことになってしまっているのだ。

いや、それだけではない。ATOK でも 「ふいんき」 と入力すれば一応 「雰囲気 ≪ふんいきの誤り≫」 と表示されるが、そのまま確定キーを押すと、なんのことなく 「雰囲気」 に変換されてしまうのである。IT の世界では既に、「ふいんき」 の市民権獲得が進行中なのだ。

国立日本語研究所が 2035年頃までには多くの国語辞書で、「ふいんき 【雰囲気】」 という項目が加えられ、本来の 「ふんいき 【雰囲気】」 という項目と共存することになるだろうと予測しているのは、こうした状況を踏まえていると思われる。まさに 「言葉は生き物」 である。

ただこの時点では依然として 「ふんいき 【雰囲気】」 の項目の方がメインで、語義の末尾に "近年は 「ふいんき」 とも言う" 程度の説明が加えられるに留まるだろうとしている。そして新しく加えられる 「ふいんき 【雰囲気】」 の項目では単に "「雰囲気」 (ふんいき) に同じ" 程度の説明になるだろうということだ。

ところがコトはそれだけでは済まない。さらに進んで 2050年頃には一転して 「ふいんき 【雰囲気】」 の項目の方がメインとなってしまい、「ふんいき 【雰囲気】」 の項目は 「雰囲気の古い言い方」 として掲載されることになるだろうとしている。いやはや、とんでもないことになるわけだ。

こうした予測の根拠として同研究所は、「山茶花」 が 「さんさか」 という旧来の読みから 「さざんか」 に変化するまでにかかった時間を挙げている。中世後期までは 「さんさか」 または 「さんざか」 と呼ばれていた花が 「さざんか」 に変化し、定着するまでには、17世紀初頭までの 約 100年という時間がかかった。

しかし最近は 「ドッグイヤー」 で時間が 7倍のスピードで進むと言われている。そのため 「雰囲気」 が 「ふいんき」 になるには、長くても今後 20年はかからないだろうと考えているようなのだ。

ちなみに 「小正月 (こしょうがつ)」 の読みとして 「しょうしょうがつ」 が定着するのは、やや遅れて 2045年頃だろうと予測されている (参照)。

【4月 2日 追記】

大方は既にお気づきと期待しますが、これはエイプリルフール・ジョークです。そもそも冒頭の 「国立日本語研究所」 からしてヤバくて、実在するのは 「国立国語研究所」 なのでありますね。

ただ、今頃言い出すのもナンですが、このネタが 17年後に誰かの目にとまって、「単なるマジネタじゃん」 なんて言われちゃうようなことにならないよう、祈るばかりです。

| | コメント (16) | トラックバック (0)

2018/03/22

「めくるめく」 の漢字表記が 「目眩く」 だったとは

恥ずかしながら、「めくるめく」 という言葉の語源を初めて知った。漢字で書くと 「目眩く」 となるのだそうで、それだったら 「めくるめく」 じゃなくて 「めくらめく」 だろうと、つい思ってしまうが、最近は見当外れなところまで 「差別用語」 だと言い張る人がいるので、「めくるめく」 の方が無難なんだろう。

180322

何しろ 「目眩く」 だから、形容詞じゃない。手持ちの 『大辞林』 で調べると、「動カ五」 (動詞 カ行五段活用) となっている。昔習った国語文法風に活用を全部言えば 「目眩かない — 目眩きます —目眩く— 目眩く時 — 目眩けば — 目眩こう」 となる。まるで早口言葉だ。

意味は 「目がくらむ。めまいがする。また、魅力にひかれて、理性を失う」 ということで、用例として 「目眩くような高さ」 と 「目眩く快楽の日々」 が挙げられている。ただし最近は 「目眩くような高さ」 的な表現は減って、もっぱら官能的な方面で理性を失うというような形でのみ用いられる印象がある。

さらに動詞とはいえ、フツーは 「連体形 (目眩く〇〇)」 として使われるのみで、他の活用は聞いたことがない。形としては同じだが、「俺は高所恐怖症だから、高いところに行くと目眩く」 なんて言い方はまずしない。だから、つい 「めくるめく」 は形容詞なんだと思いがちだが、元々のところから発想すればそうじゃないのだね。

で最初の、元々は 「めくらめく」 なんじゃないかという疑問に戻るが、実は 「眩めく」 の元々の形は 「くらめく」 じゃなく 「くるめく」 のようなのである。古語辞典を引いてみればわかるが、「くらめく」 という項目は見当たらず、「くるめく」 があって、漢字は 「転めく・眩めく」 だ。意味は 「くるくる回る。せわしく動き回る、騒ぎまくる」 とされている。

つまり、「目眩く」 の元々の意味は 「目が回る」 ということのようなのだ。「くるくる回る」 から 「くるめく」 というわけで、「ころころさせる」 から 「転がす」 とか、「むかむかする」 から 「むかつく」 とかと同様の成り立ちで、ほとんど擬態語に近い。

さらに手持ちの 『例解古語辞典 (三省堂)」 では 「眩む (くらむ)」 という項目すらも見当たらず、「暗ます」 という動詞があるのみである。意味は 「暗くする。見えなくする。理性を失わせる。たぶらかす」 ということで、「めくるめく (眩めく・転めく)」 に、「理性を失わせる」 との意味が加わったのは、この 「暗ます」 への連想ということもあるかもしれない。

で、現代では 「めくるめく」 という言葉から 「目が回る」 といった直接的な意味が薄れてしまい、もっぱら官能的な意味に用いられるのは、「目が回る」 という意味の 「目眩く」 という語源が忘れ去られかけて、「理性を失わせる」 という意味の 「暗ます」 的なイメージが優勢になっているからかもしれない。

いつも思うことだが、まさに言葉は生き物である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧