カテゴリー「言葉」の480件の記事

2019/08/22

「ウザいカタカナ用語」という問題

「知識連鎖」というサイトに「日本語で言えよ!うざいカタカナ用語ランキング NHKを提訴する人も登場」という記事がある。「日本語で言ってくれれば意味がわかるのに…と思うカタカナ語ランキング - ビジネスランキング - goo ランキング」を紹介したものだが、残念ながら goo ランキングのサイトには該当記事が見つからなかった。とはいえ、どんな言葉なのかというと、こんなのである。

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私は 40代の頃に外資系団体に勤務していたことがあり、そこでは仕事上で交わされる言葉の少なくとも 3割ぐらいはカタカナ言葉だった。それに比べれば上に示した程度の言葉は生やさしいといってもいいぐらいで、個人的には「もう外来語として定着してるんじゃないの?」という印象がある、

しかし知識連鎖のページでは「私は見ているだけでイラッと来ますわ」とあるように、かなりアブナいところもあるので(つい「リスクがあるので」と言いたくなったりもするのだが)、実際に使う上ではそれとなく気をつけている。

このページには各カタカナ語の「言い換え」というリストもあって、それは次のように示されている。

アジェンダ: 実施すべき計画、協議事項、議事日程
オーソライズ: 公認
オルタナティブ: 代替、二者択一
エビデンス: 証拠
バジェット: 予算
パラダイム: 考え方、規範
マイルストーン: 各作業工程の節目、里程標、画期的な出来事
スキーム: 枠組みを伴った計画
バッファ: 余裕、緩衝材
コンテクスト: 文脈

これをみると、一般的には「ウザい」と思われているカタカナ用語の中には、日本語で言い換えようとするとニュアンスが違ってしまったり、かえって長ったらしくなったりしてしまうので、実際問題としてカタカナ語で言う方がスッキリするというものもある。「アジェンダ」「オルタナティブ」「パラダイム」などがそれにあたるだろう。

とくに「オルタナティブ」は、日本語でニュアンスまで伝えようとすると、少なくとも 200〜300文字ぐらい使いたくなってしまうよね。要するにきちんと対応した訳語が存在しないのだ。こんなのはカタカナで表記される外来語として定着させる方がずっとすっきりする。

また「オーソライズ」は「公認」と言い換えられているが、実際には「権威付けする」というようなニュアンスもあるので、「公認」の一言だけだとちょっと言い足りなさが残る。また「エビデンス」を「証拠」と言い換えると、なんだか固すぎるような気もするのだよね。

一方、「バジェット」は気取らずに「予算」と言ってしまっても何の問題もないだろうし、「マイルストーン」なんかは個人的には「一里塚」と言い換えたい気もしているほどで、「ウザいビジネスカタカナ用語」と言っても一概にはまとめられない。

さらに言えば、「カタカナ語」というだけで毛嫌いすることにも問題がある。「日本語で言えよ!」と声高に言いたがるオッサンでも「ガラス」とか「パンツ」とか「ティッシュペーパー」とかいう言葉には抵抗を示さないのだから、要するに「慣れ」の問題なのだ。

ちなみに前に付き合いのあったオッサンが、会話中の関係ないところでやたらと「パラダイス」という単語を連発するので、一体何のつもりなのかと怪訝に思っていたところ、よほど後になって「パラダイム」のつもりだったとわかった時には腰が砕けそうになった。

 

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2019/08/16

奈良の ”Engli sh Guides"(あるいは Engrish Goodwil Guides)というもの

昨日は台風 10号の影響で予約していた新幹線「のぞみ」が運休となり、1本後の便に振り替えてなんとか無事に奈良に着いた。そして JR 奈良駅前の観光案内所のカウンターに、下のような案内表示のスタンドがあるのにちょっと驚いて、思わず tweet したのだった。(参照)、

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"FREE! Engli sh Guides EGG Nara YMCA" と表示されていて、「”Engli" って何じゃいな?」と思ってよく見たら、”Engliish” とミススペル("i" を 2つ重ねてしまった)して、1個塗りつぶしてあるんだったよ。スタンドを裏返してあるからいいと思ってるのかもしれないが、その裏返しの面の方が正面を向いているのだ。

さらに、下の方に表示されている  "EGG" というのは何の卵だろうと調べてみると、「奈良YMCA善意通訳協会(EGG)」という任意団体だった。それにしても、どういう英語表現すると略称 "EGG" になるのだろうと気になってしまい、さらに調べてみると、この団体の Facebook Page が見つかった。

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このページの左上にあるクレジットによると、何と【Engrish Goodwill Guides "EGG"】なのだそうだ。うっかり見逃すと何だから、ちょっとクドく書かせてもらうが、"English" じゃなく "Engrish" である。この国の中学生がよくやっちまうやつだ。

さらに気になってしまうのは、カッコが「入れ子」になってしまっていることである。ことのついでにもっと細かく言うと、同じカッコでも半角と全角が不細工に混在しちゃってるし、これ作った人、自分で気持ち悪くならなかったかなあ。

エンブレムには "Since 1970" とあるから、あの大阪万博から半世紀もやってるのだね。なかなか立派なものだ。ということは、この団体のメンバーは年配の方が多くて、Facebook Page 作りなんて他人任せにしているんだと思う。「何か、ホームページがあるらしいね」ってなぐらいのもので、自分で覗いてみたこともないに違いない。

うむ、敢えてそう思うことにしよう。そう思わないことにはちょっと悲しすぎるものがあって、この団体に英語ガイドを頼む者なんていなくなってしまうだろう。救いと言えば、英語版のトップページには、少なくともミススペルは見当たらないことだ。(表現としての疑問点はいくつかあるけど、キリがないから触れない)

というわけで、私はこの団体にわざわざ「修正した方がいいですよ」なんてメールするほどお節介じゃないし、この国の英語レベルのありのままの指標として、このままに放っておく方がいいんじゃないかとまで思ったりもする

あるいは心ある親切な方が気になって気になって、見るに堪えなくなってしまったら、一言知らせてあげるという goodwill を発揮してもいいかも。

 

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2019/07/29

英会話教材はさらなるファンタジー化を遂げている

近頃 SNS などの画面に英会話の広告が割り込んでくることが多くなった。「聞き流すだけ」というスピードラーニングのブームが一段落したと思ったら、今度は「寝る前に 10分間動画を見るだけ」 とか 「1日 10分、歌を歌うだけ」とか、さらにファンタスティックな謳い文句の教材が出現中で、素朴な人を引きずり込もうとしている。

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JARO(広告審査機構)の CM ソングに "「ウソぴょん」は嘘つきで 「コダイ」は大げさで 「まぎらワシ」はまぎらわしい" というのがある(参照)が、最近の英会話教材の広告の多くは、これら「嘘、大げさ、紛らわしい」の三要素すべてを含んでいると思う。それでも JARO に駆け込む人がいない (少ない?)というのは、日本では英会話というものがファンタジーの領域にあることを示している。

なにしろ、ファンタジーは現実を超越するからね。

「寝る前に 10分間動画を見るだけ」という教材の広告については 7月 17日の「ファンタスティック過ぎる英語教材」という記事で、広告に出てくる英語フレーズ自体がメチャクチャだと、さんざん笑いものにさせていただいた。そして「1日 10分歌を歌うだけ」に至っては、ファンタジーもかなり極まってきた印象である。

この広告に関しても、上の画像にある「暗記は一切不要」の「両人差し指で作る×マーク」の画像は、「悪いけどそれって、英語圏ではまともに通用しないからね」と言いたくなる。「×印」なら通じないこともないようだが(○× の「バツ」 というより「エックス」 ということみたいだけど)、指で作るジェスチャーは見たことない。

日本ではオッサンが居酒屋で「お勘定お願い」と無言の意思表示をする場合にも使うが、それは「締めてちょうだい (〆てちょうだい)」ってことらしい。いやはや、いろいろな意味があるものだ。

この類いの英会話教材では「1日 20分で英語がペラペラに」みたいな謳い文句が多かったが、最近では「1日 10分」にまでハッタリが効いてきたようなのだ。当たり前の話だが、それで本当に「ペラペラ」になるなら誰も苦労はしない。ネイティブ・スピーカーだって、子どもの頃から 1日中英語に囲まれてしゃべれるようになったのだよ。

ちなみにこれらの英会話教材広告で言う「英語がペラペラ」というのは、4年前に "「聞き流すだけ」 というおとぎ話" という記事でも触れたように、「日常の挨拶と買い物と簡単な道案内」ぐらいが想定されているようで、あとはせいぜい海外旅行時の入国審査での単純な受け答えができる程度のレベルとしか思えない。この程度で「英語がペラペラ」とは、フツーは言えないよね。ココロザシの基準が低すぎだ。

そもそも、その程度なら中学英語でイケる話だし。

 

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2019/07/28

「マンホール」は「メンテナンスホール」と言い換えられる

AFP が、米カリフォルニア州バークレー(Berkeley)では今後、公文書などで「マンホール(manhole)」という言葉を使わなくなると伝えている。性差による区別のない「メンテナンスホール(maintenance hole)」という言葉に置き換えるのだそうだ。(参照

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こうした言い換え措置に関して 「どうでもいいこと」とか「細かすぎる、くだらない」などと思う向きもあるだろうが、それはカタカナの「マンホール」が本来の英語の "manhole" (人間[男]穴)から意味的にかけ離れた言葉になっているからだ。ジェンダー配慮の進んだカリフォルニア辺りでは、やはり違和感を生じさせる言葉と捉えられているのだろう。

"Manhole" とモロに英語で言ってしまうと、男性の作業員が出入りする穴という意味が強まってしまう。彼の地には女性の作業員もいるだろうから、私としてはこの言い換えはごく自然なことと思う。同様に「マンパワー(manpower、労働力)」は「ヒューマンエフォート(human effort、人力)」に、保証人を意味する「ボンズマン(bondsman)」は「ボンズパーソン(bonds-person)」に変更されるという。

日本語の「マンホール」はこうした言い換えが進まないだろうが、「マンパワー」に関しては直接的に "manpower" という原語が明白だから、近いうちに言い換えが進むかもしれない。とりあえず新しもの好きのマーケティング関係者たちが「ヒューマンエフォート」という言葉を進んで使っているうちに定着するという、いつものパターンを辿ることになるだろう。

ただ「ヒューマンエフォート」という言葉が日本語として定着した時に、単なる「オシャレな言い換え」でしかなくなって、「ジェンダー配慮」という意味が薄れてしまうんじゃないかと、そっちの方が心配になってしまうなあ。

 

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2019/07/17

ファンタスティック過ぎる英語教材

「短期間でラクに英語がペラペラになる」という通信教育というのは、「スピードラーニング」の昔から(あるいはそれ以前から)アヤシすぎるものと相場が決まっている【参照 1: "「聞き流すだけ」 というおとぎ話"、参照 2: "東京オリンピックと、英会話熱と、当たり前すぎるお話")が、「アヤシすぎる」どころか「ファンタスティックすぎる」広告を見て、一瞬啞然としてしまった。

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まあ、固有名詞を出してもいいと思うので書いちゃうが、"i-smile" という名の教材で、これの運営会社、最近盛んにネット広告を打っている(参照)。「たった 2ヶ月で英語ペラペラに !?」というキャッチ・コピーで、最後の「!?」といのは、一体何の逃げ道なのかと思ってしまうところだ。

この広告のマンガに出てくる若い女の子は、海外旅行の入国手続きで "Have a nice day." と言われて「幅ないっすね」に聞こえ、何か悪口を言われたのかと悩んでしまうほど英語ができない。そして海外旅行を全然楽しむことができなかったために、一念発起して勉強を始める。

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ただこの広告ストーリー、"Have a nice day" すらまともに聞き取れない女の子が 1人で海外旅行するというシチュエーションに、ちょっと無理があるだろう。フツーはパッケージツァーに加わって添乗員やガイドさんに頼り切り、あまり悩むことなく楽しむと思うがなあ。

それにそもそも日帰り旅行じゃないだろうから、入国手続きのオニイサンも "Have a nice day" じゃなく "Have nice days." と複数形で言うか、「いいご旅行を」という日本語を生かすなら "Have a nice trip" となるはずだが、この英会話教材会社、そのあたりの細かいところはちっとも気にしない社風のようだ。専門分野がこんな程度で大丈夫なのかなあと思うよね。

そしてストーリーは、毎日何分間だか動画を見るという学習で「英語がバッチリ聞き取れるし、話せるようになれたんです」ということになる。そして一番上に掲げた画像で意気揚々としゃべっているのが、これだ。「何じゃ、こりゃ?」と思われるだろうが、何ならスクロールして戻って確認してもらいたい。

"Even a train can go on a bus, but where do you go?"

先に浮かんだ「大丈夫なのかなあ」との思いは、ここで決定的になる。今朝これをネタにして tweet したところ、英語翻訳のプロ、ふゆひー さんが「この英語、どう訳せばいいのか分りません (笑)」と返信してくれた(参照)。私なら

「列車さえもバスに乗って行けますが、あなたはどこに行きますか?」

と直訳して済ませて、それ以上は責任もたない。「どういう意味?」と聞かれたら、「それは私じゃなく、この女の子に聞いてくれ」と答えるしかない。

この教材会社、自社広告のチェックをしなかったのか、しても「???」となることなくフツーに OK を出したのか、あるいは要するに、この広告全体が(出来の悪い)ジョークなのか。いずれにしても、この教材で勉強したらさぞかしファンタスティックな英語をしゃべるようになるだろうと思ってしまうのである。

 

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2019/07/15

「ほうれい線」巡る冒険 その2

昨日は「ほうれい線」の語源が中国の面相学でいうところの「法令紋 - 法令線」からきているらしいというところまで書いた。「法令紋」というのは、これをキーワードにしてググって見ると、中国語のページがいくらでもヒットする。

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上の画像はその中の 1つで、「面相大全」というものだ。これを見ても、語源は「法令紋」なのだろうと無理なく納得できる。

ただしかし、今度は「面相学」とやらではどういうわけで「法令紋」なんていうのかが気になって眠れなくなってしまうので、いろいろググってみた。もしかして中国語のページではきちんとした説明があるのかもしれないが、こちらとしてはそれをちゃんと読めないのが痛恨である。

で、日本語のページでなんとか「それらしいかもしれん」とまでは思えたのが、「人力検索はてな」のページで、次のようにある(参照)。

東洋医学の元をつくった医師たちは、まっすぐに歩きにくい状態の人をみて、
法令線も、左右対照でないから、
【人間としての道を 真っ直ぐに生きる人 → 法令の線を歩ける】
左右の太さと長さが違う人は、骨盤が曲がって、真っ直ぐに歩けなくて、
【人間としての道も真っ直ぐ歩けない人 → 法令を守れない 】
・・と
お顔のシワを見て、骨盤の異常を見分けられたので、・・・こんな、
たとえ方をしたので、【法令線】という名前になりました。

まあ、これで完全に納得したわけではないが、「法令紋が左右対称でない人は骨盤も曲がっていることが多いので、人としての道を真っ直ぐにあるけず、従って法令を守りにくい」という話からきているという「説もある」ということである。ここから先へは今のところ一歩も進めないので、この辺りで一段落つけるしかない。

とにかく、「ほうれい線」の語源は中国面相学の「法令紋」であり、それを長寿の象徴としてご都合主義的に「豊麗線」とか「豊齢線」とかいう当て字で書き習わしてきたことまではよくわかった。一応それで納得しておこう。

ただ、「長寿の象徴」であった「豊麗線」や「豊齢線」のイメージが、長生きが当たり前になった現代に至って一転し、「年寄りくささの象徴」として忌み嫌われるようになったのは、まったくもって皮肉なことである。そして「厭うべきもの」になったとたんに、発音はそのままで表記だけ平仮名にしてしまったというのは、なんだかずいぶんあざといことのように思えてしまうなあ。

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2019/07/14

「ほうれい線」を巡る冒険

近頃、新聞や Web で「ほうれい線対策」の広告をよく目にするようになったが、「ほうれい線って、漢字でどう書くんだろう?」と気になりながら、忙しさに紛れてずっと調べていなかった。今朝になって急に思い立ってしまって手持ちの「大辞林」アプリで調べてみると、なんと「豊麗線」という表記の項目が見つかった。

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語義としては "鼻の横から口角にかけて「八の字」型に広がるシワのこと" とあり、「鼻唇溝(びしんこう)」という即物的な医学用語もあるという。さらにおもしろいことに、「豊齢線」「法令線」という表記もあるという。

いやはや、驚いた。ただ、この類いの広告で「豊麗線」なんて書いてしまったらあまり対策するモチベーションを喚起しないだろうから、敢えて「ほうれい線」とひらがな表記でぼかしているのだろうね。

ただ、「豊齢線」はまだ理解できるが、「法令線」とは一体どういうわけでそう表記するのだろうか。「ほうれい線」の表記の奇々怪々さに関する興味が俄然湧き上がってしまった。

ただこれついては、Wikipedia であっけなく解決してしまった。「語源は中国の面相学における『法令紋』に由来する」とある。あまりあっけなくて拍子抜けしてしまったので、念のため Wiki の記事の「脚注・出典」にある 「Goo 辞書」に飛んでみると、次のようにある。

ほうれい‐せん〔ハフレイ‐〕【法令線】
人相学(観相学)で鼻唇溝 (びしんこう) のこと。
[補説] 語源未詳。中国の面相学では法令紋という。また、長寿のしるしとして豊齢線、豊麗線とも書く。

へえ、「大辞林」なんかより「Goo 辞書」の方がずっとしっかりとした解説がしてあるじゃないか。つまり元々は中国の面相学からきた 「法令紋 ‐ 法令線」が正しくて、「豊麗線」や「豊齢線」はご都合主義の当て字のようなのだ。念のため「法令紋」でググってみると、中国語のページがいくらでも出てくるので、信用していいだろう。

と、本日はここまで。全体としてはちょっと長くなりそうなので、ここから先は明日付けにまわすことにしたい。

 

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2019/07/12

古文書の「くずし字」を解読するシステム

"日本文化と今をつなぐ。Japaaan" というサイトに、”便利すぎるこれ! 古文書や浮世絵のくずし字を自動解読してくれる無料の「AI くずし字認識」が素晴らしい!" というページがある。古文書などのいわゆる「くずし字」(草書、変体仮名など)を現代の文字に変換してくれるツールが開発されているというのだ。

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文字解読はインターネット上で行われるので、読み取りたい文書はブラウザに画像として表示されなければならない。つまり手元にある紙ベースの古文書を読み取りたいと言っても、それは無理なのだ。

とはいえ読みたい古文書をその場で写真に撮り、その画像を自分の SNS などにアップしてしまえばブラウザに表示されるので、決して「使い物にならない」というわけじゃない。ただ解読は文字単位で行われるので、1文字ずつ解読操作を行わなければならないというのが、ちょっと手のかかるところだ。文単位ですらすらと解読されるというわけじゃないらしい。

上の画像を見ても、浮世絵師、歌川國芳の 「國」という文字らしき 1文字を解読して、ちゃんと「國」という文字であるという可能性が 55.4%であると示されている。さらに本文中には下のように、「ふ」らしき文字の解読を行って、「ふ」である確率が 83.8% であるということを示す画像もある。ただ、このくらいは別にこのシステムに頼らなくても結構読めちゃうよね。

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実際のところは、「ふ」の一文字を判読するよりも、この文字を含む文節をすらりと読めるということの方が重要で、役にも立つ。そしてそれをしようとすると、「ふ」の文字よりもその下の文字(下の画像の三文字目)の方がずっと厄介だ。

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実はこの文字、「扁」の草書体に濁点が付いているので「べ」だ。だから 4文字で 「いふべし」、つまり「言うべし」と読めばいい。古文書を読む場合には、文字単位でチマチマ認識するよりも流れで読まないと一向に前に進まない。

ただ実際には、「この一文字、何と読むのかなあ」とやたら迷い、その一文字がわかりさえすれば文全体が一挙に解決するという場合もある。この認識システムはそうしたケースでこそ役に立つだろう。

これに頼って文字単位で読む進むのでは日が暮れてしまうから、古文書を読もうというなら、普段からある程度慣れておくことが必要だ。

【7月 16日 付記】

わざわざ言うまでもないことかもしれないが、「古文書」は「こぶんしょ」ではなく「こもんじょ」と読んでいただきたい。念のため。

 

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2019/06/30

"Windows" が 「ういんどーず」と発音されることについて

今月初め、「企業名の表記と発音(キヤノン、キユーピーなど)」という記事を書いた。「キヤノン」と書いて「キャノン」、「キユーピー」と書いて「キューピー」、「シヤチハタ」と書いて「シャチハタ」と読ませるなど、表記(「ヤ、ユ、ヨ」が大きい文字)と発音の異なる企業がかなり多い。

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一方、この記事でも触れているが、「富士フイルム」は表記も発音も「フイルム」で、「ある意味潔いことである」と書いたところ、「富士フイルム地元民」のらむねさんから、「フイルム」で既に固有名詞化しているとのコメントをいただいた。日常会話でも「フイルムに勤めています」「フイルムが無くなると市の財政がヤバイ」なんて言うそうだ。

表記も発音も「フイルム」なのは、「昔の人は 『フィ(fi)』の発音ができなかったから」などと言う説もある。確かに昔は、「ファン心理」と「不安心理」の区別のつかない人はいくらでもいた。なるほど、「それならいっそ『フイルム』と書いてしまえ」と決めたのは、さらに潔いことである。

ただ、「キヤノン」や「キユーピー」「シヤチハタ」などは、いくら昔の人でもちゃんと発音できただろう。「お客様」を「お規約さま」に聞こえる言い方をする人はいないし、「急病人」が「杞憂病人」に聞こえたら(「死やれ」じゃなく)洒落にならない。

ただ、「ウィ」や「ウェ」の発音だけは、今でも「うい」「うえ」になることが多いようなのだ。例えばマイクロソフトの OS、"Windows" は、IT 系の仕事の人ほど「ういんどーず」と平板アクセントで発音しているような気がする。このあたりは「富士フイルム」を「フイルム」で固有名詞化してしまった「地元民」とも共通する意識を感じる。

新しめの言葉でも、"Windsurfing" はウェブで調べるとほとんどが「ウインドサーフィン」(「ウィンド」の「イ」が大きい)という表示だ。何しろ「日本ウインドサーフィン協会」というのがあるぐらいのものである。「サーフィン」は「サーフイン」じゃないのだから、ビミョーにダブルスタンダードである。

そういえば、「ウイークデー」「ウイスキー」「ウインタースポーツ」などと言うのは老いも若きも変わらない。「ウェ」となるとさらに顕著で、「weight(重量)」は 体重別競技の場合、平板で「ウエート制」と言わないと通じない。ピーターパンに出てくる "Wendy" も「ウエンディ」で定着している。「ハードウエア/ソフトウエア」や「レディスウエア/カジュアルウエア」なども同様である。

そうかと思うと、ジーンズの "Edwin" は社名表示が「エドウイン」だが、みんな「エドウィン」と読んでいる。ドラッグストア・チェーンの「ウエルシア」もフツーは「ウェルシア」と呼ばれている。

なかなか一筋縄ではいかない奇々怪々さである。

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2019/06/28

「七五調感覚」さえ不確かな日本人

一昨日の「日本人のアクセント感覚の不確かさ」という記事で、かなり多くの日本人のアクセント感覚がはなはだアテにならないことについて触れ、「アクセント感覚を磨くには、結構訓練が必要」と結論づけた。

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それと同様に「七五調感覚」というか、日本語のリズム感みたいなものも、きちんと身に付けるには訓練が必要ということに最近気がついた。日本語を使いながら日本で暮らしている日本人は、物心つけばいやでも自然に七五調感覚が身につくものと思っていたが、あながちそうとばかりは言えないようなのだ。

上の画像の左 2つは駅名を左から読むと「五七五七七」の短歌調になり、右は上から読むと「五七五」の俳句調になる。これに自然に気付く人はよほど「七五調感覚」が身体化された人で、フツーの人はほとんど無意識のようなのだ。

ちょっと前に、まったくの初心者を対象とした「俳句教室」というのを覗いてみたことがある。私は「五七五七七」の短歌は毎日詠んでいる(参照)が、「五七五」の俳句にはちょっと苦手意識があるので、改めて基礎から学んでみようと思ったのだ。しかしこの講座、こう言っちゃナンだがレベルが低すぎてちっとも勉強にならなかった。

講師の話が一通り終わってから参加者が 1人 1句作って提出し、講師の評を仰ぐ。ところが提出された作品のかなり多くが、習ったばかりの「基本のキホン」から外れまくっている。「季重なり」が多いのは予想できたことだが、そもそもお約束の「五七五」でさえなく「五七七」になっちゃってるのが、どういうわけかメチャクチャ多い。

例えば「花見の日春風吹いてコーヒーを飲む」なんてのがやたら目立つのである。講師に「五七五になっていなくて、季重なりでもありますから、言葉の順序を変えて『花見の日コーヒーを飲む風の中』にすれば解決しますね」なんて添削され、指折り数えて初めて「あ、そうか!」なんて言い出す。小学生ぐらいなら、それもありだろうけどね。

「五七五」のリズム感覚ぐらい、まともな大人になれば自然にカラダに入っているものと思っていたのだが、どうもそうじゃない。聞いて瞬時に「五七五」と「五七七」を識別できる人というのは、案外少ないみたいなのである。ちなみにこの人、どこが季重なりなんだかまではわかっていない様子だった。

言葉に関する意味や感覚がきちんと身体化されている人って、実は驚くほど少ない。勘違いしていたり無意識だったりすることがかなり多いというのが、近頃よくよくわかってきた。

言葉を問題なく使っても、必ずしもその真意が伝わらないというのも、むべなるかなである。プレゼンなどで「あ、これってまともに通じない人や勘違いして逆に受け取る人がいるな」というのが経験則としてわかってきたので、そんな場合にはちょっとクドいほど言い方を変えて説明しなければならないのだよね。

 

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