これでいい? これがいい?
繊維業界の専門紙に 「繊研新聞」 というのがある。その 5月 29日付の 1面に、良品計画の金井政明社長の文章が載っている。
タイトルは "「これがいい」 より 「これでいい」 理性的満足感を提供" というものだ。うむ、なるほど、「無印良品」 というブランドのコンセプトとして、わかるような気がする。
この記事の中で金井社長は、次のように述べている。
当社がめざしているのは 「これがいい」 というように嗜好性を誘導するモノづくりではなく、「これでいい」 という理性的な満足感をお客様に提供すること。つまり、「が」 ではなく 「で」 だ。
まあ、しょうがないなというあきらめとか、不満足とか、我慢で消費が起こりうるかというと、これは無理。したがって、我慢とか不満足のない 「これでいい」 を作ることをビジョンにしてきた。(中略) 豪華でも高級でもないのに、「それでいいよね」 と言って買ってもらえる商品になってきた。
で、まあ、言いたいことはとてもよくわかるのだけれど、その上で私は、「これでいい」 というレトリックにちょっとひっかかってしまうのだ。それって、やっぱり卑下しすぎじゃないか。
私としては、無印良品の商品を買う顧客というのは、決して 「これでいい」 ではなく、むしろ 「これがいい」 と思って買っているんじゃないかと思う。「安かろう悪かろう」 という商品ではないんだし。ただ安いものが欲しいんだったら、他にもっと安いものがいくらでもある。
もとより 「不満足とか我慢ではない」 と、同社長はおっしゃっているわけだが、それでも、「これでいい」 というのはどうみても消極性の残る選択である。しかし私の見るところ、無印良品の主力顧客はむしろ、積極的な意志で選択していると思うのだ。
彼らは、高級品や豪華な品物の代替品として無印良品を選択しているわけではない。むしろ、存在感を主張しすぎる高級品や豪華な商品には魅力を感じないのだ。ラグジャリー商品と並べて 「どっちでも好きな方をあげる」 と言っても、無印良品を選んじゃう人のような気さえする。
だって、そりゃ、ライフスタイルだもの。身の回りがシンプルなもので統一されているのに、何か一つだけ妙に浮いたのが混じっているんじゃ、落ち着かないだろう。
"豪華でも高級でもないのに、「それでいいよね」 と言って買ってもらえる" ではなく、豪華でも高級でもないから、そんな空虚な方向を向いたマーケティングの産物ではないから、「だからこそ、これがいい」 ということがあり得る時代なのではないか。
さらに、無印良品は環境的な配慮も徹底するという。だったらさらに、「これがいい!」 で選ぶ人が増えるだろう。プリウスを買うのに 「これでいい」 なんて人がいないのと同じことだ。
私は無印良品のコンセプトには少なからぬ好感を持っているのである (その割にはあまり持ってないけど)。だからこそ、「これでいい」 なんて言わずに、「これがいい」 として選ばれる商品なんだという自負ぐらい持ってもらいたいのだ。
「足なり直角靴下」 なんて、まさに 「これがいい!」 で選ばれそうな商品だと思うがなあ。私も早速、無印良品ネットストアで注文してしまった。届いたら、モニタリング記事を書いてみようと思う。
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