赤き看板
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歳末の都市の心を映せしか灯の消えし電車淋しく動かず
この冬一番の冷え込みになったそうで、今日はベッドから抜け出すのにちょっとした決心が必要だった。とはいえ、起きてみれば凍えるほどというわけでもなく、普通の冬である。
このところ、仕事はいろいろな要素が絡まり合ってめまぐるしい。寝る暇もないというわけではないが、切り替えが大変だ。
夜になって、上野駅で常磐線快速電車の入線を待っていると、向こうのホームにとまっていた中距離電車の車内の証明が急に消えた。車庫に入る前に、省エネのために消してしまったのかもしれない。
それにしても、車内の灯りが消えた電車というのは、妙に物寂しくみえるものである。
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若き日の面影にまた逢坂の御堂に冬の光射しゐぬ
大阪に出張して、久しぶりに若い頃に勤めていたことのある業界新聞社を訪ねた。当時の同僚たちも、「景気が厳しい厳しい」 とは言いながら、何とか生き残っているようで、少し安心した。
この新聞社は御堂筋から少し入ったところにあり、すぐそばに北御堂がある。私はこれがあるから、道路の名前も御堂筋というのだと思っていたが、難波の方には南御堂というものがあるのだと、迂闊なことに今日、初めて知った。
北御堂があるのだから、南御堂もあって当然と、どうして気付かなかったのだろうか。しかも、北御堂は浄土真宗本願寺派の別院で、南御堂の方がうちの宗旨の大谷派の別院だという。いやはや、知らなかった。
今度機会があったら、南御堂を参拝してみようと思う。
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冬の日のはや傾けば白鳥の首の影細く湖面に立ちぬ
私の故郷、酒田の最上川河口には、毎年一万羽近くの白鳥が飛来するが、茨城にも白鳥の来る沼があるというので行ってみた。古徳沼というところである。水戸の少し北、那珂市というところにある。
飛来するのは大体百五十羽ぐらいというので、一万羽のわが故郷とは比較にならないが、こじんまりとした沼の白鳥というのも、なかなかいいものである。
白鳥の飛来地というのはどこでもそんな感じだが、実は白鳥の何倍もの鴨がいる。そして観光客が白鳥にあげたつもりの餌を、鴨がかなり横取りしている。
冬の日の傾くのは早く、白鳥の長く伸びた首がすぐにシルエットになる。
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ターミナル駅のホームの端にある異界に蒼き灯はともりをり
今日は昨日とはうってかわって、一日中雨降り。しかも、しとしとぶりではなく、ずっと本降りである。
帰り道、御徒町の多慶屋でクルミを四袋買ったが、ほんの一分ぐらい歩いただけなのに、足許がびしょびしょになった。
山手線で上野駅まで、たったの一駅。雨でなければ、アメ横を通り抜けて歩いてくるところだが、電車に乗った。電車の床もびしょびしょである。上野駅で降りて、山手線のホームの一番北よりの階段を昇ろうとしたら、隣のホームの端に青く光る明かりがあるのに気付いた。
しょっちゅう歩いているはずなのに、あんな青い光があるとは、今日の今日まで気付かなかった。階段の下は、なにやら上野駅の行灯部屋みたいな雰囲気である。楽屋裏を覗いたような気もする。
どうということはないが、不思議な発見。
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