2025年3月22日

イーロン・マスクの言動でテスラが危機に

WIRED が今月 18日付で「イーロン・マスクの物議を醸す言動がテスラを窮地に追い込んでいる」という記事を載せている。彼の言動が欧州でテスラ離れにつながり、テスラ関連メディアの運営者までもがほかの電気自動車(EV)に乗り換える事態となっていると報じられているのだ。

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テスラの電気自動車事業は確実に危機に直面しているようだ。「販売台数の急減、テスラ車への嫌がらせ、法人顧客の離反、テスラーオーナーが愛車を手放すなど、事態は深刻化している」というのである。環境問題を考慮してテスラ車を購入した世界中のユーザーは確実に後悔しているだろう。

テスラ社の業績悪化はとくにヨーロッパにおいて顕著で、「EVの市場シェアが内燃機関車を上回ったノルウェーでは、先月の販売が37.9%減少。フランスでは63.4%減、スペインでは75.4%もの減少を記録した」と報じられている。マスク氏の政治的な動きが大きな要因となっているのは確かだ。

テスラ社の下取り価格は下落の一方で、オランダのテスラ車ショールームは落書きの被害に遭ったという。ロンドンではヒトラーを彷彿とさせるマスクの顔の描かれた反テスラのステッカーが配られ、ドイツではテスラ社のギガファクトリーの壁面に ”Heil(ハイル)" の文字が投影された(下の写真)。

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ヨーロッパではことほど左様に、イーロン・マスクへの反感が強いようなのである。日本ではテスラ車はほとんど売れていないようで、これは幸いなことと言わなければならない。

それにしてもイーロン・マスクは、自らのビジネスを犠牲にしてまでトランプ政治に加担したいみたいなのだね。

【翌日 追記】

最新ニュースによれば、「テスラを破壊した者はエルサルバドルの刑務所送り トランプ氏示唆」なんだってさ。大人の権力を持った子どもの言い草。

 

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2025年3月21日

日本人の死因、実は「認知症」がトップなんだそうだ

日本経済新聞が "日本人の「死因」、認知症が首位に 慶大など30年分解析" という記事を伝えている。日本では「認知症」が直接の死亡原因とされることがあまりないので奇異な気もするが、欧米などの国際基準では厚生労働省など国内の政府機関が出す統計とは死因の定義や算出方法が異なるのだそうだ。

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記事には「欧米諸国では認知症といった長期にわたって症状を悪化させる病気を死因として扱う傾向がある」「厚労省の人口動態統計は死亡届を基に集計している。誤嚥性肺炎や肺炎のほか、いわゆる自然死である老衰が死因の上位を占める。認知症はこうした死因のきっかけとなる」とある。

つまり「死亡届」に記された「死因」のかなりのものは、まとめれば「認知症」によって引き起こされたものと解釈されるようなのだ。というわけで、国際基準に従うと日本でも「認知症」が死因のトップになり、厚労省独自の統計(下図)とは異なった結果になるというわけだ。

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さらに興味深いのは、次の記述である。

今回の研究によると、日本人の平均寿命は男女合わせて 21年時点で 85.2歳と 90年から 5.8歳延びた。脳卒中や虚血性心疾患、がんなどの死亡率の減少が寿命の延長に貢献した。自立して生活できる期間を指す健康寿命も 69.5歳から 73.8歳に延びた。

驚いたことに、2021年の時点では日本人の平均寿命は 85.2歳だったが、「自立して生活できる期間を指す健康寿命」は 73.8歳というのである。ということは、平均すると晩年の 12年近くは「自立した生活」ができず、寝たきりみたいなことになってしまうというわけだ。

これには「おいおい、勘弁してくれよ」と言いたくなるではないか。なにしろ私は今年の 7月で 73歳になってしまうのだからね。

別に日本人の平均寿命までなんて生きなくていいから、あと 10年ぐらい元気に飛び回って、その後は未練なくポックリというのが理想的だなあ。

 

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2025年3月20日

兵庫県知事のパワハラ、やっぱり「あった」で決着

いろいろなメディアが兵庫県知事のパワハラが認定されたと伝えている。下に紹介するのは、毎日新聞の「兵庫知事の行為 10件をパワハラ認定 第三者委が調査報告書公表」という記事で、要するに「斎藤氏によるパワハラは実際にあった」ということで決着している。

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私は昨年の 9月から 11月にかけて、この問題に関連して 3本の記事を書いている。こんな具合だ。

見たくないモノは見ないし、聞きたくないことは聞かない (9月 19日)
今回の兵庫県知事選挙の、世論誘導に関する大きな教訓 (11月 18日)
「さいとう元知事」が「〜元彦知事」というセコい戦略 (11月 23日)

かなり興味深いのは、このほぼ 2ヶ月間のうちに斎藤氏に関する評価が極端に変わってしまったことだ。1本目の記事では、「仕事はできる」という点で評価する人が多いが、「横暴で人の話を聞かない」という点は大きな問題となっているようだという大筋の話を主に紹介している。

そして 2本目は選挙の結果、斎藤氏が再選されてしまったという事実に驚いて書いたものだ。選挙期間中にはかなりの「世論誘導」が行われたようで、問題となった「パワハラ」に関しては情報が二転三転し、ほとんど「デマ扱い」に近いまでになっていた。

そして 3本目は斎藤氏の選挙運動を担当したとみられる PR 会社代表取締役の折田楓さんの「自己暴露」について触れた。これに関する「毀誉褒貶」に関しては、私は一般的な世論とは別の見方をしているので、詳しくは実際の記事を読んでいただきたい。

こうして見ると「世論」というのはかなりいい加減なところがあって、ちょっとした風向きで 百八十度近く変わってしまうのがよくわかる。一時は「パワハラなんてデマ」なんてことになりかけていたのが、実際の調査ではしっかり認定されたのだから、きちんと見定めることが大切だ。

兵庫県の有権者たちとしては、再選挙であれだけ圧倒的に斎藤氏を支持してしまったのだから、客観的な結果が出てもあっさりとは受け入れにくいものがあるだろう。それだけに、一方に振れすぎるというのはかなりアブナい。

私自身はどちらにも触れすぎないようにしつつ、斎藤氏に関してはそれなりに一定の批判的な立場を維持して 3本の記事を書いたと自負している。これ、結果的には間違ってなかったわけだ。

【3月 22日 追記】

はてな匿名ダイアリーの「何が陰謀論だよ兵庫県民なら皆知ってるんだよ全部本当だったじゃない」という記事(本日付)がなかなか興味深いので紹介しておく。選挙直前の「斎藤知事批判一色」から YouTube の大量投稿をきっかけに世論が「斎藤支持」に一転したことについて、現場の視点で書かれている。

 

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2025年3月19日

何度も繰り返される「今シーズン最後の寒の戻り」

4日前の 15日付『和歌ログ』に「予報士は最後の寒の戻りてふ言葉を幾度繰り返すらむ」という歌を載せた。本文には「気象予報士は明日が今シーズン『最後の寒の戻り』になるだろうというのだが、この台詞は既に 3度ぐらい聞いているような気がする」と書いている。

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「さらにもう一度ぐらい『最後の寒の戻り』があるかもしれない」とも書いているのだが、思った通り、今朝は「最強の寒の戻り」だった。夜中からかなり強い風雨で、「こりゃ、嵐だわ」と思いながら寝ていたのだが、朝になって風が止んだと思ったら急に雪になってしまった。

まともに積もることはなかったのだが、今シーズンで一番「雪らしい雪」だった。我が家の梅も、満開になった途端に雪に覆われてしまったのだから、さぞ驚いてしまっただろう。

10時頃に牛久に行く用があったのだが、途中の道のりがかなり激しい雪になっており、さらにアップダウンの坂道も多いので、途中で諦めて帰ってきてしまった。

「暑さ寒さも彼岸まで」というので、明日の春彼岸を前に「今度こそ本当の最後の寒の戻り」になってもらいたいものだ。

 

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2025年3月18日

米国アパレル業界は、国内生産回帰なんて無理

Courrier が "「国内回帰」したくても… 米国のアパレル産業に立ちはだかる高いハードル" というニュースを伝えている。「トランプの関税が服飾部品の調達のネックに」というもっともらしい小見出し付きだが、関税云々を抜きにしてもそもそも無理な話だろうよ。

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私は 1980年代からしばらく国際的な繊維・アパレル業界を専門分野としていろいろな記事を書いていたのだが、当時の米国でのアパレル国内生産比率なんて微々たるもので、ほとんどは香港や東南アジアでの生産だった。

「ブランド」としては米国のブランド("Levi" とか "Anne Klein" とかね)でも、実際の縫製という労働集約的な作業はほとんど海外の工場が下請けで行っているのである。半世紀以上にわたってそうしたシステムでやっているのだから、いきなり「国内生産」なんて言ってもできるわけがない。

一方、当時日本でのアパレル国内生産比率は 70%ぐらいだったと思う。ブランドを保有して製造責任を負うアパレル・メーカーは「アパレルさん」、その下請けで縫製を行うのは「工場さん」と呼ばれていたものだ。地方に行けばこの「工場さん(縫製工場)」という地場産業がまだまだ健在だった。

ところが 21世紀も 4分の 1を越えようとする今、日本のアパレル国内生産もほとんど消え失せてしまった。WWD ジャパンは 2022年の状況について "アパレルの国産比率「1.5%」 過去 20年で生産量 6分の1に" と報じている。日本中にあれだけあった「工場さん」は、今や影も形もない。

日本がこうした状態なのだから、アパレル生産の国外シフトでは 30年以上先行する米国で、トランプが思いつきみたいに「国内回帰」なんて言ってもできるはずがない。「縫製」みたいな労働集約的な仕事は、人件費だけを考えても米国内では非現実的なのだ。

トランプはいろいろな分野で「メイド・イン・USA」の掛け声をかけまくっているが、彼は経済に関してはほとんど素人丸出しだから、実際には「掛け声以下」の幻想に終わってしまうだろう。多くの米国民がそれに気付く頃には「時既に遅し」で、米経済がおかしくなってるかもしれない。

 

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2025年3月17日

ファミマが「現金かファミペイを使って」と言ってる

ガハログというニュースサイトがあるのを今回初めて知ったのは、"ファミリーマート「キャッシュレス決済手数料高すぎ!お客様は現金かファミペイ使って」" というのが話題になっていたからである。

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コンビニが強制ではなくやんわりとではあるものの、支払い方法について指定するなんて前代未聞なんじゃなかろうか。「キャッシュレス決済手数料が高すぎ」なんて言ってるが、そんなの客側の知ったことじゃないし、「ファミペイ」というファミマ独自の決済手段があるなんてことも全然知らなかった。

私は立ち食いそばなどの「現金のみ」という店のほかは、大抵キャッシュレスで支払う。普段財布の中にある現金なんて数千円以下なので、自然そうなってしまうのだ。

ただしコンビニなどの少額決済では、クレジットカードなんてまず使わず、Suica での支払いがほとんどだ。1,000円以上の買い物ではクレジット・カード、数百円程度なら Suica というのが一応自分なりの目安みたいになっている。

今回ガハログの記事を読んで気になってしまったので、Suica の手数料というのを調べてみたところ、ポスタスというサイトに「Suica の手数料はいくら?他のキャッシュレス決済との比較や導入メリット」という記事があるのが見つかった。こんなふうにある。

まず、Suica の決済手数料は決済額に対して「3〜4%」です。例えば、お客様が 1,000円の商品を Suica で決済したとすると、加盟店事業者は 30円程度の決済手数料を支払うことになります。(中略)

一般的に、クレジットカードの決済手数料は、ブランドによって異なるものの「3〜10%」といわれています。Suicaよりも決済手数料が高額で、加盟店事業者にとって負担が大きくなりやすいです。

というわけで、Suica で支払う私は、クレジット・カードで支払う客より「少しはまし」ということになるみたいなのである。いちいち現金で支払うとなると手間はかかるし、お釣りの受け渡しも面倒ということになるから、「3〜4%」の手数料ぐらいは諦めてもらおう。

ちなみに「ファミペイ」の手数料は無料らしいから、店にとっては「塵も積もれば・・・」ってことになるのだろうし、私としてもそれをインストールするぐらいは、別に負担じゃない。ただインストールしてからの現金チャージなどが付きものになるようだ。

考えてみると、私がファミマで買い物することなんて、年に数回程度のものだ。Suica なら何だかんだで常に使うから現金チャージも当たり前のようにしているが、年に数回程度のことでファミペイとやらの現金チャージを気にかけるなんて、何となく面倒な気がしてしまうのだよね。

それを思うと、「済まんけど、Suica で我慢してよね」ということになってしまう。それが嫌なら、いっそのこと正式に「支払いは現金かファミペイのみ受け付けます」ということにしてしまえばいい。

ただそんなことはおそらくできないだろうから、少なくとも Suica での支払いに嫌な顔はしないでね。

 

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2025年3月16日

AirPods でリアルタイム翻訳が可能になるらしいが

Gigazine が「Apple が AirPods で会話をリアルタイム翻訳できる新機能を iOS 19 で計画中との報道」という記事を伝えている。AirPods というのは、Apple の展開するあの結構お高いイヤフォンである。

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記事によればこの機能は 2025年後半に予定されている AirPods のファームウェアアップデートの一部として提供される予定で、秋頃にリリースされるとみられる iOS 19と連動して利用可能になるということだ。

どんな機能かと言えば例えば「英語を話す人がスペイン語で話しているのを聞くと、iPhone がその会話を翻訳し、ユーザーの AirPods に英語で中継する、そして英語を話す人の言葉はスペイン語に翻訳され、iPhone上で再生されるということのようなのだ。

なるほど、相手のスペイン語話者が AirPods を持っていないことを想定して、自分の iPhone 上で再生されるのを聞かせてやるってわけだね。これが AirPods ユーザー同士だと、英語とスペイン語で通訳なしでやり取りしてるように見えるんだろうか。ちょっと異様な光景になりそうだ。

私は AirPods を買う予定なんてないから、「関係ないね〜」ということになる。別にこんな機能に頼らなくても相手にちょっとゆっくりめにしゃべってもらえば、英語なら何とかなるし、スペイン語やドイツ語しか話せない相手と会話をするという機会も個人的にはあまり思いつかない。

そしてヨーロッパ語圏内ならかなりレベルの高い自動翻訳も期待できるだろうが、ヨーロッパ語と日本語の間の自動翻訳って、なんだか完成されたもののような気がしないのだよね。偏見かもしれないが。

さらに言えば、言語で語られる内容というのはその言語特有のテイストみたいなものがあって、とくにヨーロッパ語と日本語の間ではニュアンスみたいなものが吹っ飛んでしまいそうな気もしてしまう。「洒落」が通じなかったら、つまらないだろう。

というわけで、外国語が苦手な人があちこち旅行するというなら便利かもしれないが、私は使う気がないので、よろしく。

【同日 追記】

「ちょっと待てよ」と思ってしまった。というのは、iPhone にこれだけの機能があって、AirPods はそれが送信されて聞くだけみたいだから、AirPods って必須なのかなあという疑問が湧いたのである。相手が AirPods ユーザーじゃない場合は、iPhone 上で再生されるようだし。

この記事、よくわからん。

【再び 同日 追記】

X (旧 Twiiter)で プライム さんという方が興味深い tweet をしている。仕事上で、決して上手ではない英語で対応していて、途中からタブレットの自動翻訳に切り替えたのだが、「1000倍正確」なはずの自動翻訳は相手の不興を買い、自力でのナマの会話に戻さざるを得なかったのだそうだ(参照)。

やっぱり、「ナマの会話」は貴重だよね。

 

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2025年3月15日

ウグイスってやつは本当に「声はすれども姿は見えず」

「声はすれども姿は見えずほんにお前は屁のような」という都々逸じみた台詞があるが、三味線の伴奏で歌われているのを聞いたことがない。そして屁なんかよりずっと気にかかるのは、ウグイスだ。このところ「ホ—ホケキョ」の囀りを聞くことが増えているのだが、姿を見たことは一度もない。

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ウグイスは花札にも登場するウグイス色の小鳥だと思われているが、実はあれはメジロであってウグイスではない。ウグイスというのはもっと地味な見かけの鳥である。

さらに言えば「メジロ」というぐらいだから、目だって赤くはない。手持ちの図鑑にちょうど隣同士で載っているメジロとウグイスの画像を下に貼り付けておく。

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というわけで、いわゆる「うぐいす色」というのは「ウグイスの色」じゃないのである。これ、少しでもバードウォッチングをする人には常識だが、一般論としては半数以上の人が「えっ、そうだったの !?」と驚く。

ところがバードウォッチングがかなり好きな人でも、ウグイスの姿を直接見たことのある人は少ない。私も時々「ホ—ホケキョ」と声のする藪の中を双眼鏡で必死に探すのだが、やっぱり見つからない。春の初めの枯れた色の藪は、絶好の保護色となっているようだ。

ちなみに「ウグイス嬢」というのも、「声だけ聞こえて姿は見えない」ということで共通している。ただ、この人 は例外だけど。

ついでに書いておくが、花札の梅と松の短冊に書いてある文字は「あのよろし」ではなく「あかよろし」と読んでね。二文字目は「可」という漢字を崩した変体仮名なので。

 

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2025年3月14日

席を譲るって、どんな種類の「恥ずかしさ」なのか?

今月 11日に "席を譲るのを「恥ずかしがる」という妙な免罪符 " という記事を書いた。この国では電車で老人に席を譲りたくても「恥ずかしい」という意識に甘えて実行に移さないことが多いと聞くのだが、私の感覚としては譲らない方がずっと「恥ずかしい」と思うという話である。

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この記事を書いて 2〜3日経ち、「そうか、この 2つの『恥ずかしい』は、実は異なった意識なのだ」と気付いた。日本語では同じ「恥ずかしい」という言葉を使うのが、「周囲に対して恥ずかしい」と「良心に対して恥ずかしい」では、実はまったく別の話なのだ。

この違いを明確にするには、別の言葉で考えるといい。ここでは試しに英語でやってみよう。「英会話ハイウェイ」というサイトの "「恥ずかしい」は英語で? ネイティブが納得する正しい言い方 5選" という記事が参考になる。必要部分だけかいつまんで紹介すると、ざっとこんな感じだ。

  • 人として恥ずかしいは  "ashamed"
    道徳的や社会的に悪いと考えられていることをして罪悪感を覚えるようなときや、見た目を恥じるときの「恥ずかしい」

    I felt ashamed of myself for getting so angry in front of children.
    (子供たちの前でそんなに怒ったことを私は恥ずかしく思いました)

  • 恥を知れ! の恥は  "shame"

    Shame on you!

  • 恥ずかしがり屋は  "shy"

    I was too shy to talk to the girl.
    (私は恥ずかしくてその女の子に話しかけられませんでした)

こうしてみると「周囲に対して恥ずかしい」というのは、英語でいうと「恥ずかしがり屋」に近いと思う。そう、"shy" (シャイ)なのだ。いいことをしようとしても、「無駄にシャイ」なので躊躇してしまうのである。

一方「良心に対して恥ずかしい」というのは、「人として恥ずかしい」の "ashamed" が相応しいだろう。電車内で席を譲らなかったら、より直接的に "Shame on you!" (恥を知れ!)になる。

どうやら日本人、この類いの「恥」にはかなり鈍感で「良心の呵責」みたいなことはあまり問題にされず、「シャイ」感覚の方が圧倒的に先に立ってしまうようなのだね。

日本は古くから「恥の文化」と言われてきたわけだが、この言葉はかなり慎重に取り扱わなければならないだろう。「良心に対して恥ずかしい」というのは、どちらかというと西洋的な「罪の文化」の意識に近いようなのだ。

それって「神」という絶対基準に照らし合わせて「恥ずかしい」のであって、「シャイ」だから見逃されるなんていうような甘ったれた話じゃ済まないのである。

 

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2025年3月13日

土葬の墓地を認めたがらない日本人のメンタリティ

Courrier が "海外メディア「土葬のお墓がほしいと願うイスラム教徒を攻撃する日本」" というニュースを伝えている。"ネットの「誤情報」が深刻な対立を生む" というサブ見出し付きだ。

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この記事は、つぎのようなリードで始まる。

近年、日本に暮らすイスラム教徒が増えるにつれ、教義に則った土葬墓地への需要が高まっている。大分県の別府ムスリム協会は土葬墓地の建設を求めているが、地元の日出町の町長らの反対で難航している。

墓地建設に対する抵抗感の背景には、ネット上で拡散されるイスラム教への誤解があると中国紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は指摘する。

大分県を拠点とする別府ムスリム協会の人々は、ムスリムのための土葬墓地建設の許可が同県日出町の行政から、まもなく得られるだろうと考えていた。2020年9月当時の話である。

だが 5年近く経つ今も承認は下りていない。同協会の代表ムハンマド・タヒル・アッバス・カーン(57)は、「土葬が法律で禁止されていない日本で、自分たちの率直な要望が認められないのは、メディアや SNS で発信された誤解を招く情報に原因がある」と訴えている。

土葬できる墓地の建設に反対しているのは、一部の YouTuber であるらしく、代表的なのは「カーンが日本をムスリム多数派の国にしようと企んでおり、墓地の建設はその活動の一環」という主張だ。馬鹿げた話だが、こんな話に乗って町長までが建設に反対しているというのだから情けない。

こんなことになっているのは、先進国では日本ぐらいのものだろう。多様性を認められないメンタリティというのは、かなり困ったことだ。そもそも日本でも戦前までは土葬が普通に行われていたのだが。

 

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2025年3月12日

アルコール飲料にもがんのリスクがあるという

Reuter が今年 2月 17日付の記事で "WHO、欧州でアルコール飲料にたばこ並み「がん警告」要請" という記事を伝えている。私は煙草を完全に止めてから 50年近いし、最近は酒もほとんど飲まなくなったので、個人的には「それがどうした」程度の印象だが、ショックな人にはショックだろう。

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世界保健機関(WHO)によれば、欧州全域でアルコールとがんとの関連性に関する意識が「憂慮すべき」と言えるほど欠如しているとのだそうだ。それは米国でも日本でも同様だろう。煙草とがんの関連はしっかり認識されているが、酒に関してはあまりシリアスじゃない。

ちなみに Wikipedia で日本における煙草の健康に関する表示を調べてみると、次のように表示されている(参照)。

2005年のたばこ規制枠組条約発効以前は、1972年から 1989年まで「健康のため吸いすぎに注意しましょう」、1990年から 2005年まで「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」とパッケージの側面に書かれているのみであった。

今から見れば呆れるほど曖昧な表現でしかない。もし日本で今後酒に関してもこうした表示が求められるようになったとしても、これよりさらに曖昧な表現になってしまうだろう。

日本人男性の喫煙率は、1960年代には約 80%だったと言われている。「男なら煙草を吸うもの」という風潮だったわけだ。それが最近では約 30%と、半分以下になっている。

一方酒に関しては、ほとんど毎日飲む(私も以前はそうだった)という人が、今の世でも結構多い。月々の酒代だけで大変な額になるなんて話もよく聞くところだ。

今後、酒にも煙草同様の警告表示がされるようになっても、消費は煙草ほど極端には減らないような気もする。せいぜい「飲む量を減らす」という程度の反応になるだろう。

まあ、お酒の好きな人にとっては気の毒なニュースである。

 

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2025年3月11日

席を譲るのを「恥ずかしがる」という妙な免罪符

SAWASAKI Fuyuhi さんが Bluesky におもしろい書き込みをしておいでだ(参照)。最近電車内で席を譲られるということが相次いで起きたのだそうだ。これ、中高生世代で「席を譲りましょう週間」開催中なのではないかと推理していらっしゃる。

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会食の席上でその話題になり、「まだ私たちは譲る側になることが多い」という点で見解が一致したのだそうだ。ただ、中高生から席を譲られるほどの年代が、まだ「席を譲る側になることが多い」というのは、ちょっと考え物という気がしてしまったのだが。

私は 72歳という年でもあるので十分に「譲られる側」と思ってもいいのだが、思い返してみても電車内で席を譲られたことなんてほとんどない。まあ、見かけだけは若く見えてしまうのでしょうがないと思ってはいるんだけどね。

最近はさすがに年を考えて 60代の頃ほど気軽に席を譲ることはなくなったが、それでも見るからに危なっかしそうなジイさんやバアさんが乗ってきて座れずにいるのを見ると、いたたまれなくなって席を譲る。譲らないわけにいかないじゃないか。

ところが譲ってから改めて周囲を見ると、20代ぐらいの若者が平気な顔で座り続け、スマホでゲームなんかしている。70代には見えないかも知れないが、60代には十分見えるだろう私が席を立つのを横目で見ても、バツの悪そうな顔すらしない。

この国では「老人には席を譲るもの」という意識が極めて低いようなのだ。あるいは「席を譲りたい」と思いはしても、周囲の目を妙に気にして「恥ずかしい」なんて思ってしまい、実際の行動に至らないというパターンも多いみたいなのだ。

しかしこれってかなりおかしな話で、私の意識としては、近くに座れないでいる老人がいるのに図々しく座り続けている方がずっと恥ずかしいんだがなあ。この方がずっと「まとも」な感覚だと思う。

多くの日本人って、大勢の中で「率先行動」するということにかなりの抵抗を感じてしまうようなのだね。こんな場合、「恥ずかしい」という意識が妙な免罪符として機能するみたいで、しかもこの免罪符がかなり有効ときてるのだからますます「お恥ずかしい話」である。

【3月 14日 追記】

この問題についてもう少し考察を深め、「席を譲るって、どんな種類の「恥ずかしさ」なのか?」という記事にしてみたので、よろしく。

 

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2025年3月10日

北海道沖 千島海溝を震源とする巨大地震の可能性

明日は東日本大震災から 14年目になる。私の住む茨城県つくば地区も大揺れに揺れた(参照)のを、昨日のことのように思い出す。そんな折、「北海道沖 千島海溝 巨大地震起こしうる程度までひずみ蓄積か」という気になるニュースを NHK が伝えている。

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静岡県沖の南海トラフを震源とする「東海地震」の危険性については、マスコミでも幾度となく対策が呼びかけられているが、北海道沖とか千島海溝を震源とする地震に関してはこれまでほとんど報じられなかった。だから私も今回の記事がほとんど初耳である。

観測を行った東北大学などの研究グループによれば、この海域では「ひずみ」の蓄積がすでにマグニチュード 9クラスの巨大地震を引き起こしうる程度まで進んでいる可能性があるのだという。つまり、とんでもない大地震がいつ起きてもおかしくないというのだ。

この海域を震源とする巨大地震は 400年前の 17世紀に発生したと考えられているのだが、現在は当時とは比較にならないほどこの地域の人口が増えているので、発生したら大変な被害が想定される。

この地域には知り合いも少なくないので、かなり心配だ。それにしても日本という国は、この問題に関してはどこに住んでいても気の休まる時がない。

 

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2025年3月 9日

「屋根修理」の詐偽が、また増えてきているらしい

SUUMO のサイトに昨年末の記事だが「屋根のリフォーム詐欺が急増!手口や身を守る方法は?通報や相談、契約解除についても解説」というのがある。一時コロナの影響かあまり聞かなくなっていたのだが、最近になってまた増えてきているらしい。

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これ、「屋根のリフォームを勧めて、ずさんな工事や高額な請求を行うなどの詐欺」のことで、私も過去に 2度書いたことがある。

近頃、悪質勧誘が増えている(2021年 3月 7日付)
悪徳業者による「屋根修理詐欺」にご注意(2022年 2月 9日付)

2021年の方は、玄関のベルに出てみると若い兄ちゃんがいて、「お客様、以前に火災保険を利用して台風被害による屋根の修理をされましたよね」「私、その時に担当させていただいた〇〇という者ですが、この度独立いたしまして、よりお得な保険のご紹介に参りました」なんてことを言ったというものだ。

確かに火災保険を利用して台風で傷んだ屋根の修理をしたことはあるのだが、それはその 10年以上前のことで、こんな若い兄ちゃんが担当していたわけがない。見え見えの嘘ではあるのだが、こちらが保険で屋根修理をしたことが外部に漏れているようなので、ちょっと恐ろしくなった。

さらにその翌年の場合は、「明日から向こうの道の住宅工事で、トラックが道に停まってご迷惑をおかけするかも知れませんので、ご挨拶に来ました」なんて、もっともらしいことを言う。ところが話はそれでは終わらない。

「ところで、ご近所の方が言ってたんですが、お宅の屋根が壊れているみたいなので、ちゃんと点検しましょうか?」なんてことを言い出すのである。ところがどう見ても壊れているようには見えないのでそう告げると、話は馬鹿馬鹿しい方向に発展する。

「いや、素人目にはわからなくても、我々、屋根屋の目線で見るとわかるんです。それにしても、ヒドいことになってますね。一体いつからあんな状態なんですか?」「よろしければウチの専門スタッフが屋根に登って写真を撮らせていただきます。その写真をご覧になればわかりますよ」なんて言い出す。

そもそも「素人目にはわからない」ことが「ご近所の方」にわかるわけないし、屋根に登って撮った写真で初めてわかるようなことを「いつからあんな状態なんですか」なんて聞くのもアタマがおかしい。

こんな連中に下手に屋根に登らせたりなんかしたら、その場でわざと壊して写真を撮るに決まってる。アブナくてしょうがないから、「もう二度と来るな」と言い渡して、ピシャリとドアを閉めた。

というわけでこれを読まれた諸兄も、こんなような詐偽には十分にご注意を。

【3月 11日 追記】

この問題は先月末から NHK が集中的に追ったらしく、以下のように 3本の記事を報じている。

【詳しく】悪質リフォーム 業者がわざと屋根を… (2月 28日)
工事業者名乗りリフォーム代 210万円詐取か 2人逮捕 東京 (3月 7日)
悪質リフォーム業者 “統括”ら 4人逮捕 建設業法違反の疑い (3月 11日)

 

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«睡眠時間が短いと、「死亡率」が増加するって?