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2002年9月25日

「一人勝ちの時代」 は面白くもなんともない

「一人勝ち」の時代だという。一番手と二番手では、雲泥の差がある。

紙一重の差で一番の素材でも、入手するコスト差は紙一重の何倍にもなる。最高の素材を集めるためには、資金力が要る。そのためにも勝ち続けなければならない。

野球選手に例えよう。本塁打を50本打つ選手と40本打つ選手では、その貢献度の差はせいぜい 2割くらいだが、年俸は多分、倍近く違ってくる。 ホームラン王には、二番目の倍近くの需要があるのだ。野球選手も結局は広い意味で商品だから、需要と供給のバランスに左右される。

こうして、働きの成果の差はそれほどでなくても、コストの差は膨大なものになる。紙一重の差を維持するためには、その何倍ものコストを負担しなければならないから、商業的成功は不可欠な要素なのである。ここにアンバランスが生じるモトがある。

世の中にはアンダーグラウンドのスターが少なくなってきた。アンダーグラウンドで多少芽が出ると、メジャーがあっという間に引き抜いていく。そのため、アングラ市場の資金力ではスターを維持できなくなっているのだ。

しかし、アングラ市場が活性化していないと、メジャー市場だっていずれは枯渇する。だから、商業主義的な成功のみに支えられた市場は、砂上の楼閣で、バブルのように弾けるのである。スターの寿命も短い。

本当は、それほど莫大な利益が上がらなくても、細々ながらコンスタントに稼げるという市場が、健全に機能していなければならない。

「一人勝ち」 の裏付けは、いかに儲かったかという、一面的な数字でしかない。市場の進化とともに多様性が失われて、数字の多寡のみにうつつを抜かすようになるのでは、皮肉としか言いようがない。アメリカ流資本主義の幻想が弾けた今、多様な本質的価値の訴求できる市場を作り出さなければ、世の中、おもしろくもなんともないのである。

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