理想の需給バランス
BMWは自社の車の需給バランスの理想を、「常に需要が供給より 1台だけ多い状態」 と言っているそうだ。
なるほど、それなら 「優勝セール」 の大安売りもナンセンスになるだろう。
今回のジャイアンツ優勝記念セールのような大安売りの目的は、集客、売上の数字を伸ばすこと、そして在庫を減らすことである。
集客は大きな目的だが、お客が来さえすればいいというわけではない。当然買い物をしてもらわなければならない。まあ、大概のお客は何か買って帰るだろうから、売上には結びつくだろう。しかし、単なる売上増加では利益に結びつくとは限らない。とくに優勝記念セール的なものは大幅割引が常だから、品物が売れても、大きな利益とはならないだろう。
そうなると、最後に残る正味の目的は在庫の減少である。悲しい響きである。
要するに、十年一日のごとく大量生産、大量仕入れ、大量販売というシステムを続けているから、金を払って優勝記念セールを開く権利を買ってまで、利益度外視の大安売りをしなければならないのである。
「常に需要が供給をほんの少しだけ上回る」 というマーケティングを行えば、割引セールの必要はない。何しろ、常に納品待ちのお客がほんの少しだけいて、納品と同時に割引なしのお金が入ってくるのだ。
見せ掛けの売上高は少ないかもしれないが、収益からも、エコの観点からも、こちらの方がずっと望ましいだろう。
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