並んででも食べたい「あらきそば」
どんなにおいしいと評判の店でも、並んでまで食いたいとは思わないが、山形の「あらきそば」だけは別だ。
大雨とか大雪とかいう日に外まで並ぶのでものでない限り、ついのんびりと並んでしまう。
山形名物「蕎麦街道」でも屈指の名店。秋の頃に車を走らせると、白い蕎麦の花が道端の畑に咲き誇り、寒河江に差し掛かる手前で左折すると、時間の進行がストップしてしまったような一画に、古いかやぶき屋根の民家にしか見えない蕎麦屋があり、それが「あらきそば」である。
ここだけは、並んで待っても心が急かない。少し並べば囲炉裏の切ってある上り框に通され、そこでおとなしく文庫本でも読みながら待てば、ほどなく座敷というのか何というのか、広間に通され、鰊の味噌煮をつまんで待っているうちに、豪快な板そばが出される。
メニューは「むかしもり」と「うすもり」の 2種類しかなく、後者が今風の少量版なのだが、妻はそれでも全部食べきれない。私がいつも 1枚半平らげることになる。
食べ終わって再び車を走らせることになるのだが、鼻の奥に蕎麦の香りが 1時間は持続する。これでこそ、並んだ甲斐があろうと言うものである。
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