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2002年12月 9日

専門家と素人のギャップ

関東に雪が降った。確か中長期予測では暖冬のはずだが、かなり寒い。

しかし、この雪は冬型というよりは早春型の降り方なので、暖冬傾向の一つの現れであると、気象予報士が力説していた。なるほど理屈だ。

理屈ではあるが、それでは庶民は納得しない。番組の司会役も、「だって現に寒いではないか」 と突っ込みを入れる。「確かに今日は寒いが、冬を通した平均を取ってみれば、きっとそれほどでもないと思う」 と、気象予報士は応じる。それでも、割り切れない思いは残る。

ことほど左様に、専門家と素人の見方にはギャップがある。

3年前に発生した東海村の臨界事故について、専門家の忌憚ない話を聞く機会があった。彼は事故発生のニュースを聞いて、「臨界事故ならば、その現場ではかなり多量の被爆があるだろうが、それほど大きな広がりにはならないはずだと、すぐに思った」 と言う。専門家ならではの冷静な見方だ。

しかし、現実にはかなり広い範囲で住民は外出を控え、まんじりともせず一夜を過ごした。その間、インターネット上ではさまざまなデマや流言飛語が飛び交い、不安を募らせた。たとえ、その時に専門家の見解が表明されたとしても、その不安は決して納まらなかったのではなかろうか。かえって火に油を注ぐ結果になったかもしれない。

素人感覚というのは、とても力が強い。世の中のほとんどは 「素人」 だからだ。素人を納得させることのできるのが、本当の専門家というものだ。

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