クリスマスの終わりに
イブは、早目に帰宅する人で、電車が夕方から混み合ったが、今日は一転して、都心が夜遅くまで賑わった。
ところが郊外の自宅近くまで戻ると、潰れた店舗やガソリンスタンドが海底の沈没船のように夜闇に潜む。
これが、21世紀初頭の日本の年の瀬の姿だ。都心を彩るイルミネーションは不況を忘れさせるが、その幻想を支えるために、周辺はゴーストタウンと化す。
一時は、「ドーナツ現象」 と呼ばれ、都心の空洞化が懸念された。しかし、今は新丸ビルや汐留駅付近の再開発に代表される都心の建設ラッシュで、様相は逆転した。裾野を枯らして山頂だけが潤うという状態だが、こんなことが長続きするはずがない。
もうすぐ羊年が明ける。前の羊年は、バブルが終わりかけた頃だった。ということは、この不況も一回りしてしまうのである。普通に考えたら、そろそろ、放っておいても回復せざるを得ない頃だ。
経済さえ回復すればいいというわけではないが、誰もが余計な心配をしなくて済むように、来年がいい年になるように、クリスマスの一日の終わりに夜道を辿りながら祈った。
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