「ライ麦畑」 の新訳
「ライ麦畑でつかまえて」 の新訳が出るそうだ。今度の翻訳は村上春樹氏らしい。期待していいかもしれない。
と言うのは、これまでの野崎孝氏の訳は、はっきり言ってあまり好きじゃないからだ。
その昔、米国のサリンジャーという作家の 「ライ麦畑でつかまえて」 という小説がとてつもなく面白いと聞いて、さっそく翻訳で買い求めたが、読み始めたらつまらなくて、10ページも行かないうちに放り出した憶えがある。
それからしばらくして思い直し、ペーパーバックで買い直して再挑戦したら、これがちゃんと面白い。あれよあれよという間に読み終えた。原書の面白さを翻訳でもきちんと伝えるというのは、大変な作業なのだと実感した。ちなみに、これが私が最初に原書で読了したアメリカ小説となった。
聞くところによると、野崎氏の訳は 「大人はわかってくれない」 というトーンで一貫しており、それに対して村上氏は 「わかり合うのは難しいが、それでも語りかける」 というコンセプトで翻訳するそうだ。なるほどねと思った。
ところで、「ライ麦畑でつかまえて」 というのは、スコットランド民謡 "Comin' thro' the Rye" (ライ麦畑を通り抜け) をベースにしている。曲は 「故郷の空」 、あるいはドリフターズの 「誰かさんと誰かさんが麦畑」 と同じ。原曲の詩は、ドリフターズの歌の方にずっと近い。
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