東大寺の鐘楼事件
「ゆく年くる年」 のスタッフが、東大寺の国宝の鐘楼にクギを打ち付けていたというニュースにはたまげた。
照明をぶら下げるためというが、放送関係のスタッフの中には、かなり乱暴な連中がいるのは事実である。
貴重な建造物に、無神経にも 9本もクギを打ち込むような連中のことだから、推測だが、他でもずいぶん乱暴にクギを打ち放題だったに違いない。それだからこそ、何の疑いもなく今回の蛮行に及んだのだろう。
NHK は 「今後、このようなことがないよう、細心の注意を払うことを現場に徹底した」 とコメントしたが、このあたりからしておかしい。「私たちは、『細心の注意』 を払わなければ、こうしたことを防止できないような、常識を知らない下請を使ってます」 と広言しているようなものだ。
報道のされ方もおかしい。「無許可で」 クギを打ったことが問題であるかのような文脈になっているのだが、実際は、国宝にクギを打ちたいなどという許可申請など、できるわけがないではないか。
厳重抗議を受けた放送局側は 「すぐにくぎを引き抜き、ひもでライトを固定した」 ということだが、引き抜いただけでは不十分だ。抜いた跡の穴を丁寧に埋めて、色も目立たないように補修するのが筋というものだ。
それから、ここまで言うのは少々恐縮なのだが、年末の多忙な時期とはいえ、東大寺側も、作業には立ち会うべきだったと思う。そうすれば未然に防げたはずだ。寺の出入り業者が発見するまで、当事者が気付かなかったというのは、ちょっと恥ずかしい。
ちなみに、「鐘楼」 は 「しょうろう」 ではなく、「しゅろう」 と読むのが本来のようだ。これは今回のニュースで初めて知った。
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