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2003年3月31日

ワープロと文体

ワープロソフトを使って文章を書くと、文体が変わってしまうという人がいる。一見もっともらしく聞こえるが、これは虚言である。

ワープロで文体が変わってしまうのは、それはワープロを使っているのではなく、ワープロに使われているというだけの話である。

これに対して、毛筆で書くのとボールペンで書くのとでは、確かに文体が変わるのであり、同様にワープロで書く場合でも変わるはずだと主張する人がいる。しかし、これも虚言である。

毛筆で書く時に文体が変わるのは、毛筆という道具によるのではない。改まった文体で書く必要がある時に、毛筆を使う場合が多いというだけのことだ。その下書きをボールペンで書いてみれば、如実にわかることである。改まった文書の下書きが、ボールペンではできないなどとということは、ありえない。

昔の変体仮名を使った優雅な書が、ワープロソフトでは不可能だという人もいる。そこまで極論すれば、確かにそうかもしれない。しかし、そういうことは、実際に変体仮名で優雅な書が書ける人に言われて初めて説得力をもつ。しかし今の世では、大抵の人は筆を持っても変体仮名を書けないのだから、この議論自体がナンセンスになる。

はっきり言わせてもらえば、ワープロごときで文体が変わってしまうなどというのは、実は、その人は 「文体」 と称するに足るスタイルを、元々持ち合わせていなかっただけなのである。単にそれだけのことだ。

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