外来語の言い換え
国立国語研究所の外来語委員会が 「『外来語』 言い換え提案」 作業の第 1回分最終報告を発表した。
「アウトソーシング」 が 「外部委託」、「ガイドライン」 が 「指針」 と言い換えられているが、この辺りは至極妥当だろう。
逆に、「なんだかなぁ」 という気がするのが、「アイドリングストップ」 を 「停車時エンジン停止」 なんて言い換えている点。もともと 「アイドリングストップ」 自体が和製英語で、「アイドリング」 も 「ストップ」 も十分こなれているのに、わざわざ 「停車時エンジン停止」 なんて舌を噛みそうな言葉にしなくてもよさそうなものだ。
「アセスメント」 を 「影響評価」 と言い換えているが、もともと 「アセスメント」 は 「評価」 とか 「査定」 の意味しかない。しかし、日本語で 「アセスメント」 というのは、環境問題での影響評価という狭いドメインで使われ始めたので、こういうことになったのだろう。
「インキュベーション」 が 「起業支援」 となっているが、美術関係の 「インキュベーター」 はどうなるのだろう。ずいぶん限定的な言い換えになっていると思う。
それから、「ライフサイクル」 が 「生涯過程」、「ライフライン」 が 「生活線」 では、かえってわかりにくいと思うのだが、いかがだろうか。
私の個人的好みで言えば、かなり定着した外来語は、そのままカタカナで使って皆で慣れてしまう方が、話が早いと思うのだが。「バス」 を 「乗合大型自動車」 とか、「エレベーター」 を 「昇降機」 とか言ったら、かえってわからなくなる。
この言い換え作業でも漢語で置き換える場合が多いが、漢語だって元はモロコシ渡りの外来語だったのだ。
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