しなくても済む海外出張
今回の戦争と広東・香港の肺炎騒ぎで、海外への観光旅行だけでなく、海外出張の多くも「自粛」されているようだ。
「必要なら行けばいいじゃないか」と思うのだが、もしかしたら「意味のある海外出張」は、元々あまり多くないのかもしれない。
今でこそ長引く不況で多少はシビアになっているはずだが、昔は海外出張の多くは「永年勤続のご褒美」みたいなところがあった。繊維業界新聞の記者をしていた頃、よくヨーロッパのテキスタイル展示会に取材に行ったのだが、その展示会視察ツァーに参加する日本の業界人の多くは、もろに「物見遊山」だった。
4日間の展示会だとすると、せいぜい初日の半日だけ真面目に視察し、あとは徒党を組んでのオプショナルツァーで、観光名所めぐりにうつつを抜かすのである。会社に提出する報告書はどうするのかというと、新聞記者である私のような人間に晩飯をおごって、原稿のコピーをもらい、多少「てにをは」を変えて自分が書いたことにするのである。
そんなデタラメなことで通るのかというと、それが通るのである。代々そんな調子でやっているのだから、上司だってちゃんとわかっている。自分も海外出張では遊びまわってきたのだから、部下を責めるわけにもいかない。
そんな調子だから、戦争や伝染病があると、「これ幸い」とばかりに海外出張を「自粛」して、コスト削減を行なうのである。大して必要でもない出張予定だったので、取りやめたところで痛くも痒くもない。気の毒なのは、「ご褒美」を 1年先延ばしにされた出張予定者だけである。
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