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2003年5月 6日

ウェブログと、魂の喪失感

ウェブログが注目を集めている。 当コラムは 「ウェブログに似て非なるスタンス」 を意識しているのだが、正統派のウェブログは、イラク戦争で存在感を高めているようだ。

「週間アスキー」 今週号の 「仮想報道」 に詳しく紹介されている。

「仮想報道」 の歌田明弘氏によると、イラク戦争で最も注目されたウェブログの一つに 「バック・トゥ・イラク」 があるという。フリージャーナリスト、クリストファー・オルブリットンが、現地から毎日、かなり長文のレポートを配信したものだ。

死の危険ともろに隣り合わせた現場からのレポートは、かなり読ませるもののようだ。4月 14日、北部のティクリットに入ろうとした時に、銃撃に遭い、命からがら逃げたことや、翌日同じ場所にいくと、「クルド人の泥棒」 でないことがわかってフレンドリーに接してもらえたことなどが、生々しく書かれている。

その際に、殺された2人のクルド人を見せてもらう。「2人の死者はとても静かに見えた。撃たれた傷跡がぽっかり開いて血が流れている以外は」 と、オルブリットンは描写しているという。

私はこの件を読んで、1983年にニューヨークのホテルで銃撃事件に居合わせた時のことを思い出した。ホテルのロビーで 「パン、パン」 と乾いた銃声がして、振り向くと、男が横たわっていた。ちょうどこめかみのあたりに赤い穴があき、血が流れていた。撃たれて死んだ人数が 1人少ないことを除けば、オルブリットンの描写したとおりだった。

「人の命は地球より重い」 などと言うが、死ぬときはとてもあっさりと死ぬものだ。死んでしまったあとは、単なる屍骸なのだった。あの屍骸に宿っていた 「いのち」 は、一瞬にして、どこに行ってしまったのか。

「いのち」 というのは、単なる肉体を動かすエネルギーではなく、「魂」 といったようなものでないと、あの喪失感は説明がつかないと思った。

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