ジメジメ感覚
昨日の夕刻、成田に到着して、夜に帰宅してからは、当欄の更新もせず爆睡してしまった。おかげで時差ぼけは感じない。
カラッとした米国にいるうちに、関東が梅雨入りしたので、必要以上に湿気を感じる。時差ぼけというよりは、気候ぼけだ。
帰国直後だけに、ことさらに感じるこのジメジメ感覚。まさに自分の国に帰ってきたような気がする。悪いものではない。
五木寛之氏が以前、テレビで金沢の街を歩く特集に出演していた時に、「この湿度、湿り気がいいんです」 と何度も強調していたが、なるほど、わかる気がする。
若い頃は、カリフォルニアの明るい陽光にあこがれた。日本のジメジメとした人間関係に、息が詰まるような気がした。ところがこの年になると、この気候が日本の繊細さなのだという気がする。私自身は、平均的日本人にくらべるとかなり大雑把ではあるのだが、それでも米国人ほどノー天気なわけではないとわかる。
この繊細さは、国際的にアピールできるものだと思う。小津安二郎監督の映画などは、たいがいにおいて、大した事件もなく、スペクタクルで見せるわけでもなく、ただ人情の機微だけで淡々と過ぎてゆく。それがとてもいい。
日本人というのは、かなり特殊なほどの繊細さを醸造してしまった民族だが、それだけに、それをきちんとアドバンテージとして発揮してもいいと思う。
「日本の常識は世界の非常識」 というのも道理があるが、かといって卑屈になることもない。世界の常識をわきまえた上で、日本特有の 「非常識」 を洗練された形で発揮すればいいのだ。
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