皮膚一枚の 「内」 と 「外」
今月のお薦めサイトにある 「雑学ドット・コム」 で、イームズの短篇映画 「パワーズ・オブ・テン」 に言及されている。
この映画、実際に見たことはないのだが、話にはよく聞いていて、是非見てみたい。壮大な科学ロマンがテーマである。
シカゴの公園の芝生に寝転ぶカップルを映した1メートル四方の映像が、10秒ごとに遠ざかっていく。10秒後に10メートル四方、20秒後に100メートル四方というように、10の累乗の範囲をカバーする距離まで遠ざかる。そして、観測可能な宇宙をすべてカバーするまでに、5分もかからない。
その後、映像は逆戻りして皮膚細胞を通し、ミクロの世界に入っていく。そして、原子にいたるまでには 3分近くの時間しか要しない。本来は、原子の先に素粒子の世界があるので、もう少し時間がかかるのだろうが。
皮膚一枚を隔てて、マクロに達するまでにかかる時間と、ミクロに達する時間とは、そう変わらないのである。このことは、 「大宇宙」 と 「小宇宙」 の存在を直感的に示唆する。 「外」 に広がる大宇宙と同じくらいの 「果てしなさ」 を、我々は自身の 「内」 にも蔵しているのだ。
そう考えると、皮膚一枚で区切られた 「他人」 という存在の認識が変わってくる。「私」 と同じ 「小宇宙」 を宿した存在が 「あなた」 である。両者の内に宿る 「小宇宙」 がまったく別物であるはずがないという気がしてくる。人間同士が 「通じ合える」 のは、内部に同じものを宿しているからだと確信されるのである。
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