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2003年7月13日

パソコンと和歌

教育テレビに 「NHK歌壇」 という番組があり、一度も見たことがないくせに、その雑誌テキストだけは、時々本屋で見つけて買い求めている。ご大層な短歌雑誌より、素人には取っ付きやすいのだ。

5月の題に 「パソコン」 というのがあった。

その入選作に、次のような歌がある。

削除キーの指がためらふ名簿更新富小路とふ白く浮きたり (千葉柏市 宮崎和子)

富小路というのは、女流歌人の富小路禎子さんである。「冬池に眠る白鳥の華やぎに似し白菜を厨に殺(あや)む」 という歌がある。厨は 「くりや」 と読むのだろう。台所のことである。 宮崎さんの入選作の結句 「白く浮きたり」 
は、この歌を下敷きにしているのだろうか。もちろん文字通り取れば、この名前を選択したために反転して、白く浮いているということなのだろうが。

住所録の名前を消すに消せないで、その人の死後 3年ぐらい経ってようやく削除したことが、私も今までに何度かある。さすがに 3年も経つと諦めがつく。

もう一首、気に入った歌がある。

パソコンをぱたんと閉じて全身で物事を為す世界に戻る (東京都新宿区 武藤義哉)

う~む。この感覚、あだやおろそかにはできない。

これらの秀逸な歌とは比べ物にならないが、私の以前に作った駄作を少々。


夕暮れの液晶画面に白く浮く肉球のあと猫は知らぬ気
液晶の冷たき文字のその下の腿に伝はる電脳の熱
ホームページの更新終えて日付を打ち終えし頃その日付も変わる

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