« ポカリスェットの味 | トップページ | 仙台、石巻出張 »

2003年8月20日

「ゾッキ」 という言葉

「ゾッキ」という言葉をご存知だろうか。繊維用語で、「絹ゾッキ」といえば「絹 100%」のことだが、今どき、こんな言葉を使うのは相当の年配者しかいない。

大抵は「ピュア・シルク」「 ピュア・ウール」などと言うようになっている。

ところが、ストッキングやパンストの業界では「ゾッキ」という言葉が生き残っている。ナイロン糸とサポート糸を絡ませて編むのを「交編(こうへん)」と称するのに対し、サポート糸のみで編んだものを「ゾッキ」という。元々は 100% という意味なので、理屈では、ナイロン糸のみで編んでも「ゾッキ」 なのだが、今どきそんな商品はないので、いつのまにかサポート糸オンリーのものを「ゾッキ」と言うようになってしまった。

語源は北関東の方言というのが有力だ。麦だけで炊いたご飯を「麦飯ゾッキ」などと言ったらしい。そこから織物産地の桐生あたりで、「絹 100%」の織物を「絹ゾッキ」などと言い始めたという。元々、あまり高尚な語源ではない。隠語的な扱いの用語が、ストッキング業界という狭い世界で専門用語に昇華したものとみていい。

ところが、最近、出版業界にも「ゾッキ」という言葉があるのを知った。大量返本などで余った在庫を古本の流通ルートに乗せて売るのを「ゾッキ本」と称するらしい。青空古本市などで平積みにされる B級本の類だろう。

語源は「そぎや(殺屋)」が転じたというもののほか、神奈川あたりの方言で「ひとまとめ」を意味するという説もある。「ひとまとめ」説は、繊維用語の「ゾッキ」と共通するところがあるだろう。

さらに、第三の「ゾッキ」というのも登場した。いわゆる「族」つまり暴走族のことを「ゾッキー」または「ゾッキ」と言うらしい。これも「ひとまとめ」 になっているというのがおもしろい。

いずれもカタカナ表記されるが、由来の怪しい日本語である。

 

|

« ポカリスェットの味 | トップページ | 仙台、石巻出張 »

言葉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ポカリスェットの味 | トップページ | 仙台、石巻出張 »