「歩む」 と 「歩く」
言葉というのは、意識して使うとずいぶん素晴らしい表現ができるものだ。今日は、「歩く」 と 「歩む」 の違いを初めて知った。
万葉集では、この二つはきちんと区別して使われていると言う。日本人はいつの間にその区別がつかなくなってしまったのか。
「歩む」 は目的を持って着実に進行するという意味で、「歩く」 はぶらぶら歩きなのだそうだ。
そう言われてみれば、その痕跡としての使い分けはかすかにしているような気がする。修練による進歩のことは、「歩み」 と言う。「遅々たる歩み」 などと表現するが 「歩き」 とは言わない。この場面で 「歩き」 と言ってしまうと、ちょっとふざけているような気がする。
逆に、目的もなく歩くのは 「そぞろ歩き」 と言って、決して 「そぞろ」 と 「歩み」 はくっつかない。
人間は今、大きな目的を自覚して 「歩み」 を進めているようには思われない。それぞれがあてもなく 「歩いて」 いるだけのように見える。
しかし、大きな視点で見れば、やはり一定の方向に 「歩んで」 いるのだろう。その 「歩み」 の目的を知るため大きな視点とは、超越的なものでなければならない。
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