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2003年8月15日

ビールの流儀

ドイツのバーでビールを注文すると、日本のようにはサッと出てこない。結構な時間、手持ち無沙汰に待たされる。

カウンターで見ていると、きちんと適量のきめ細かい泡を実現するために、やたらと時間をかけているようなのだ。

彼らはまず、ジョッキに生ビールをすごい勢いで注ぐ。大変な勢いなので、ジョッキの 8割ぐらいが泡になる。日本人なら「あぁ、あぁ~」なんて言いそうな場面だが、彼らにとってはそれが正しい流儀である。ほとんど泡で満たされたジョッキを、まずはそのまま放っておくのである。

2~3分すると泡が消えてきて、泡とビールをあわせてもジョッキの半分以下になる。この時点で、普通の日本人ならば、残りの分量をそっと注ぎ足して出せばいいではないかと思う。ところがそうはならない。

彼らはまたしてもものすごい勢いでビールを注ぎ足す。今度は泡がジョッキの 5割ぐらいになる。そして、再び放っておく。

このあたりで、冷たいビールをグッとあおりたい私は辛抱できなくなる。そこで、バーテンに言う。

「日本人とアメリカ人は、生ぬるいビール(ウォーム・ビア)は飲まないんだ。お願いだからそっとピッチして、早めに冷たいビールをサーブしてはくれまいか」

ところが、ドイツ人のバーテンダーは言うことを聞かない。カクテルは「ソルティドッグ」も 「ギムレット」も知らないくせに (本当にそれなりのホテル・バーのバーテンダーでも知らなかったりする) 、ビールに関してはものすごく頑固である。人差し指を立てて横に振り、 「チッチッチ」と舌を鳴らして、「コールド・ビア、ノーグッド」などとのたまう。

結局、10分近く待たされて、ジョッキの上 4分の1 ほどが、まことにきめ細かいクリーミーフォームで覆われたビールがサーブされる。まぁ、これが実にうまいので、文句を言うわけにもいかない。何でも、その国の流儀で飲み食いする方が理にかなっているのかもしれない。

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