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2003年8月14日

トビウオラーメン

かなり以前から気になっているものに 「トビウオラーメン」 がある。トビウオで出汁をとったスープが特徴で、Google で検索するとわかるが、庄内地方が本場のようだ。

食った者に聞くと、結構うまいらしい。東京に進出しても、十分勝負になる味という。

トビウオというのは、日本海には結構たくさんいて、酒田港から 「飛島丸」 という連絡船に乗って飛島という島に向かうと、船の横を競うようにしてビュンビュン飛びまくる。飛行距離は、ざっと見ただけでも 100m や 200m というレベルではない。物の本によると 500m飛ぶのもいるらしい。

あんなに飛ぶのだから、その筋肉たるや、大したものだろう。そこからじわりじわりとにじみ出るたんぱく質やらアミノ酸やらは、さぞかし濃厚だろうと想像される。

ただ、この商品が東京に進出するにあたっての弱点は、完成品にはトビウオの影も形もないことだ。トビウオの全ては、エキスとなってスープの中に溶け出しているので、見た目の証拠がないのである。これでは、説得力というか、訴求力というか、要するにマーケティング的にはいかにもパンチ不足である。

かといって、トビウオの出汁殻を麺の上に乗っけたところで、美しいわけでもなければ、それほどうまいものでもない。

「トビウオラーメン」 がヒットするには、即物的な 「百聞は一見にしかず」 的価値観ではなく、ちゃんと口に含んで味わいながら、「フムフム、なるほどねぇ」 と納得できるだけの、きちんとした味覚の客が存在しなければならない。

庄内の人間は、生まれてこの方、活きのいい魚しか食ったことがないのだから、自然に味覚は鍛えられるが、東京の客はどうだろう。そう考えると、甚だ心もとない。

それよりもまず、自分の舌で味わってみたいものである。

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