米不足の裏側
自主流通米価格形成センターの発表によると、今年の自主流通米の第 3回入札で上場された 9銘柄の平均落札価格は、前年比 44.8%(7324円) 高だったそうだ。
しかし心配することはない。米はそのうちどっと出てくるに決まっている。
第一次オイルショックの時の苦い記憶がよみがえる。その頃、私は某燃料店でアルバイトをしていた。巷では灯油の品不足が大げさに伝えられていたが、実際はそんなことはなかった。いつもの年よりは多少品薄だが、「不足」と言うほどのことはなく、どんどん入荷されていた。
とっくに時効で、今はその店も廃業しているので白状するが、当時、私は店主の指示でせっせと灯油隠しに汗を流していた。どこで仕入れてきたものか、1斗缶が山と届けられ、それに灯油をドンドン詰めて、裏の倉庫に積み上げていたのである。(多分あれって、石油関係の貯蔵法に違反していたと思う)
そして顧客には「入荷が極端に少なくて、品不足なので、値上げさせてください」と偽っていたのである。恥ずかしながら、悪事に加担してしまっていたのである。一生の不覚である。
当時、灯油隠しをしていたのは、その店だけではあるまい。確実に、流通の各段階で隠せるだけ隠していたはずなのである。そしてそのうちに保管コストの方が重荷になって、堰を切ったようにどっと市場にあふれだしたのだ。
10年前の米不足の時だって、そうだった。あれだけ「ないない」と言われた米が、ある時期を過ぎると、あら不思議、翌年の新米が収穫される前に十分に市場に出回ってきて、せっかく輸入したタイ米を捨ててしまっていたではないか。
思えば人間の業欲というのは、よくよく深いものである。いつもより 5分ほど少ないと聞けば、流通に関わるものは皆寄ってたかって隠しに隠し、3割も 4割も少ないことにしてしまうのである。そして、多少の値上げによる利益などは、隠した手間と保管コストに消えてしまって、残るは不信感だけということになるのである。
今年も秋口のうちは、米が足りないと騒ぐだろう。しかしそれはウソである。どこかに隠してあるに決まっている。隠している悪者が隠しきれなくなるまで待てばいいだけのことである。
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