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2003年10月18日

「赤とんぼ」 のアクセント

「赤とんぼ」 という言葉のアクセントというのは、実は結構な問題なのである。

普通は 「とんぼ」 の 「と」 にアクセントがあるのだが、NHK のアクセント辞典では、最初の 「あ」 の部分にアクセントがあるらしい。「かとんぼ」 である。

山田耕筰は、日本語のアクセントと歌の旋律を極力一致させようと試みた。そして彼の作曲した 「赤とんぼ」 では、その旋律は 「かとんぼ」 である。彼の活躍した時代、東京ではそのようなアクセントで発音していたからという。だから、東京山の手の言葉を基本とする NHK でも、「あ」 にアクセントが付くことになっているようなのだ。

ではなぜ、東京でも現在のように 「あかんぼ」 になってしまったのか。多分、他の色名のつく言葉のアクセントに準じることになってしまったのではないかと思われる。


例えば、「赤鉛筆」 は 「かえんぴつ」 ではなく 「あかんぴつ」 だ。他の色にしても、「白装束」 は 「ろしょうぞく」 ではなく、「しろショウぞく」 だし、「黒猫」 にしても 「ろねこ」 にはならない 。

それから、ちょっと深読みすると、「あかんぼ」 は、実は関西アクセントに近いのである。お江戸は徐々に上方文化に浸食されているような気がする。そういえば、最近は東京でも、自分のことを 「うち」 と呼ぶ若い子が増えているらしい。(ただし、上方流の 「ち」 ではなく、平板アクセントになっているようだが)

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