「音声入力」 について
10年前にパソコンに手を染めなかった人たちの多くは、キーボードへの抵抗を口にし、音声入力が可能になったらパソコンを使わないでもないと言っていた。
今日、音声入力はとっくに可能になったが、彼らの何人が パソコンを始めたろうか。
GUI の登場以来、OS 部分のユーザーインターフェイスは、マウスでの処理を前提とするようになった。これは、音声入力よりもずっと効果的な方法だ。なぜなら、音声は自分で考えて発することになるが、マウス操作は、あらかじめ用意された選択肢の中からクリックすれば済むからだ。
だから音声入力はどちらかといえば、テキスト入力に使われるとの想定で開発されているように思われる。確かにテキスト入力はキーボードのタイピングよりも音声入力の方が速いだろう。しかし、それなのになぜなかなか普及しないのか。
それは、人間にとって「声を出す」ということが思ったよりずっと、意識的コントロールの外にあるということがわかってきたからではなかろうか。文章として入力したいテキストを声にして発声することは、かなり難しい。キーボードで入力している時にしたって、カーソルは行ったり来たり、一度入力したものを消したりずらしたり新しい言葉を挿入したり、かなりイレギュラーな動きをしている。
それを言葉で言えと言われたら、私なぞはかえって混乱するだろう。「削除」だの「挿入」だの「コピペ だのを、通常のテキスト部分と同じ自分の口で発音していたらかなり疲れると思う。
音声入力に関しては、今の段階より飛躍的に発展したシステムにならない限り、一般的に使われることはなかろうと思う。 単純に考えても、オフィスのあちこちで皆がパソコンに向かってブツブツしゃべっているのを想像しただけで気持ちが悪い。
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