国境を越えた入れ歯
CNNニュースが、ギリシャのクレタ島で観光していた英国人が海で泳いでいるうちに入れ歯をなくしたが、2週間後に届けられたという 「美談」 を伝えている。
このニュースを聞いて、私のギリシャに対する印象は俄然アップしてしまった。
当の英国人は、海中に落とした入れ歯を、息子たちまで動員してシュノーケリングでさんざん探したが、見つからなかったため、諦めて帰国したものらしい。ところがまもなく、地元の漁師の網に偶然ひっかかった。
漁師は地元の誰かが落としたものと思って、飲み屋に行って探したが、該当者が見つからない。そうこうするうちに、誰かが 「入れ歯をなくして困っていた英国人」 のことを思いだしたため、旅行会社に問い合わせて、落とし主が見つかったというわけだ。
なんといういい人たちだ! 来年のアテネ・オリンピックの成功を心から祈りたい。(準備はかなり遅れているらしく、心許ないが)
ところで、このニュースで別の話を思い出した。私の母校の某教授が、ある時、民俗芸能関係の研究でインドに渡った。ガンジス川を渡る船から身を乗り出して川面を眺めるうちに、教授の口から総入れ歯がすっぽりと抜け、見る間に悠久の流れの中に吸い込まれてしまったという。
教授は大変困ったが、そこはさすがに神秘の国、インドである。「半日で総入れ歯を誂える」 という奇跡的な歯医者が見つかった。オリンピック設備の建設がなかなか進まないギリシャとは、そのあたりがちょっと違う。
「やれ、うれしや」 と駆け込んで、実際にその日のうちに新しい総入れ歯ができあがった。ところが、その総入れ歯を装着してみると、教授の人相は一瞬の間に変容し、インド人そのものになってしまった。入れ歯、恐るべし。
東京に帰ってきて、入れ歯を作り直したのは言うまでもない。
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