小津はいい
妻が録り貯めしておいてくれた小津安二郎の映画のビデオを連日見ている。
昨日は 「晩春」 、今日は 「宗像姉妹」、明日は 「小早川家の秋」 を見る。小津はいい。黒澤よりずっと贔屓である。「気張ってます」 という気張り方をしないのがいい。
今日見た 「宗像姉妹」 の中に、いい台詞があった。田中絹代の扮する姉が、高峰秀子の妹にいう台詞なのだが、「本当に新しいというのは、いつまでも古くならないもの」 とかいうのである。これは小津の映像そのものにもいえることだ。
この頃注目の、北野武監督の映像も、系譜を辿れば小津である。そうじゃないという人もいるかもしれないが、黒澤でないことは確かである。
黒澤もいいのだが、「気張ってます」 がわかりすぎるのが、私の好みではない。小津だって、よく見ればかなり気張っているのかもしれないが、やはりさらりとした感じで見せてしまうのがいいのである。
とにかく、小津の映画はクライマックスみたいなクライマックスがないというのもいい。日常の何の変哲もない暮らしの中で、登場人物がちょっとだけあたふたして見せて (その中で唯一あたふたしないのが笠智衆なのだが)、それで何となく区切りがついて、終わりになってしまうというのが小津スタイルである。
それでいて、枯れすぎた感覚のないところもいい。私の選ぶ日本の映画監督ナンバー1である。
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