ゲイリー・スナイダーの俳句
ビート詩人のゲイリー・スナイダーは、いくつかの 「俳句」 を作っている。といっても日本語の五七五ではなく、短い英語詩だ。
彼の "HITCH HAIKU" (ヒッチ俳句) という詩は、19句の英語俳句で成り立つ、なかなか趣のある作品である。
その中の 11句めが、わたしは好きだ。
After weeks of watching the roof leak | 何週間も雨漏りを見つめた後 | |
I fixed it tonight | 私は、今夜それを修理した | |
by moving a single board | たった一枚の板を動かすことで | |
(詩集 "The Back Country" より)
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五七五で訳そうとしてみたが、どうしても訳しきれない。仕方がないので、三十一文字の形に訳してみた。
雨漏りを一夏眺め一枚の板葺きずらし繕ひにけり
原詩は 「何週間もの雨漏り」 だが、この際、強引に 「一夏」 と訳させていただいた。
長く続いた雨漏りを眺めたが、今夜、たった一枚の板葺きをひょいとずらして修理したという、それだけのことである。おそらく、夏が終わり、夜が長くなった頃のことだろう。「長く続いた雨漏り」 と 「たった一枚の板葺き」 の対比がいい。
ほんのわずかな隙間によって続いた雨漏りは、うっとうしいものではあったが、それでも 一夏眺める価値のあるものだったようだ。
季節の変わり目になると、この Haiku を思い出す。
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