« 「寝た子を起こす」 いいがかり | トップページ | 3億円の砥石 »

2003年10月15日

ゲイリー・スナイダーの俳句

ビート詩人のゲイリー・スナイダーは、いくつかの 「俳句」 を作っている。といっても日本語の五七五ではなく、短い英語詩だ。

彼の "HITCH HAIKU" (ヒッチ俳句) という詩は、19句の英語俳句で成り立つ、なかなか趣のある作品である。

その中の 11句めが、わたしは好きだ。

  After weeks of watching the roof leak 何週間も雨漏りを見つめた後
         I fixed it tonight      私は、今夜それを修理した
  by moving a single board たった一枚の板を動かすことで
 
(詩集 "The Back Country" より)

五七五で訳そうとしてみたが、どうしても訳しきれない。仕方がないので、三十一文字の形に訳してみた。

雨漏りを一夏眺め一枚の板葺きずらし繕ひにけり

原詩は 「何週間もの雨漏り」 だが、この際、強引に 「一夏」 と訳させていただいた。

長く続いた雨漏りを眺めたが、今夜、たった一枚の板葺きをひょいとずらして修理したという、それだけのことである。おそらく、夏が終わり、夜が長くなった頃のことだろう。「長く続いた雨漏り」 と 「たった一枚の板葺き」 の対比がいい。

ほんのわずかな隙間によって続いた雨漏りは、うっとうしいものではあったが、それでも 一夏眺める価値のあるものだったようだ。

季節の変わり目になると、この Haiku を思い出す。

|

« 「寝た子を起こす」 いいがかり | トップページ | 3億円の砥石 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「寝た子を起こす」 いいがかり | トップページ | 3億円の砥石 »