「考え落ち」 のウルトラC
落語には 「考え落ち」 というのがある。文字通り、ちょっと考えてみて、 はじめて意味のわかる 「オチ」 である。
先日、ラジオを聞いていたら、小沢昭一さんが出ていて、戦時中の寄席の思い出を語っていた。その中に、とてつもなく難しい 「考え落ち」 の話があった。
戦時中は、艶笑落語などという不謹慎なものは金輪際演じないという建前だったそうだが、中にはこっそりと演る者もあったらしい。
その中に、こんなのがあった。尼寺に泥棒が入ったのだが、取るものがない。結局モノは取らずに、コトに及んでしまった。夜が明けて、尼さん同士の会話。
「夕べはどうだったかえ」
「不入りの芝居でした」
「私は、侍の喧嘩でした」
これで、下げとなる。説明はない。難問中の難問というような考え落ちである。ちっとも似てない声帯模写をする売れない噺家だったというが、一度引っ込んでから、また出てきて種明かしをするという、いかにもあくどい趣向だったそうだ。
答えは、「不入りの芝居 - もっと入ればよかった」 「侍の喧嘩 - 抜かなければよかった」 という落ち。悪趣味に意味のあった時代だったのかもしれない。
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