「存在感」を英語で言うと?
日本語を英語に翻訳する時、とても困るのが「腰がある」だの「質感たっぷり」だの「存在感がある」だのといった、かなり感覚的な言い回しである。
はっきり言って、日本語に完全に重なるような英語の言い回しはない。
和英辞典で「腰がある」を引くと、「このうどんは腰がある」などの用例で、"chewy" という単語が出てくる。チューインガムの 「チュウ」 の形容詞である。わかるような気がするが、うどんで、そこまでモチモチしたものがあるだろうか? まるでスルメみたいなうどんのようだ。それに「腰がある」と形容されるのは食べ物だけではなく、布地などもある。布地に噛みつかれても困る。
私としては「腰がある」というのは、文脈にもよるが、"It has body" とか、"full-bodied" などと訳すようにしている。"Full-bodied" というのは、お酒などで「コク」があるというような場合にはぴったりだ。
「質感」は同様に和英辞典では "the feel of a material" とある。直訳である。私はこんな言葉が実際に使われているのを聞いたことがない。当たらずといえども遠からず的な英語は "texture" かもしれない。とくに織物などでは "texture" が「ズバリ!」だと思う。
一番問題なのは「存在感」である。和英辞典を引いても、直訳的な言い方すら出てこない。これこそ、文脈によっていろいろな言い回しを持ってこなければならない。「無視できない」とか「皆にリスペクトされる」とか、その文脈にふさわしい言い回しを探すのである。
私が案外好きなのは、"He is very heavy." と、ごくシンプルにやっつける言い方である。ジョン・レノンの歌に、"She is So Heavy" というのがある。 「彼女は太っている」 という意味では決してない。
言葉は杓子定規なものではなく、文脈で捉えなければならない。
| 固定リンク
「言葉」カテゴリの記事
- 「日本でしか不可能」という謎の日本語の不条理感覚(2026.08.18)
- 「ボディバッグ」の本来の意味は「遺体を入れる袋」(2026.08.14)
- 「ちょす/ちょさない」という方言に一歩踏み込む(2026.08.03)
- 「かまける」という言葉の、もう一つの意味(2026.07.31)
- 英語の教科書、”This is a pen.” の教訓(2026.07.29)







コメント