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2003年12月 6日

消費者金融

武富士関連のニュースを読むと、武井会長という人の聞きしにまさるワンマンぶりがうかがえて、まるで劇画の世界のようだ。

元総務課長に 「右翼は暴力団に弱い。暴力団は警察に弱い。警察は右翼に弱い。この三つをうまく使って物事を収めろ」 と言っていたなどは、大した着眼点だ。

20年以上前になるが、ある消費者金融 (断っておくが、武富士ではない) の某支店に行ったことがある。といっても、金を借りに行ったのではなく、逆に、ある仕事 (決してヤバイ仕事というわけでもない) の集金にいったのだ。カウンターの前にソファが並んでいて、そこで待たされたのだが、周りには深刻そうな顔をしたおじさんが 3人ばかり座っている。どんな事情か知らないが、気の毒な限りである。

そこへ、入り口のドアが開いて、ひょっこりと千葉のピーナッツ売りのオバチャンが現れた。

「ピーナッツ買ってくれんかねぇ?」 と、まったく場違いで脳天気な一言。

カウンターの女の子 2人は唖然としたまま返事ができない。店内での言動は、よっぽどマニュアルで規定されているようで、想定外の事態には咄嗟には反応できないみたいだ。凍り付いたような空白の時間がややあって、一人が意を決したように返事をする。

「あ、あのぅ、結構でございます」

しかし、千葉のオバチャンは、そんなことでは屈しない。ならばと、カウンターの奥のデスクにいる支店長に呼びかける。


「そっちのおにいさん、ピーナッツ買ってくれんかねぇ?」

支店長は、はっとして立ち上がり、もみ手をしながらカウンターの外に出てきて、オバチャンに深々とお辞儀をする。

「あの、私どもはただ今、勤務中でございまして、そういうわけでございますので、そういったものは、申し訳ございませんが、結構なんでございます」

あまりの回りくどさに、オバチャンは一瞬何を言われたかわからないようだったが、まぁ、趣旨は理解したようで、「あ、そうかねぇ」 と一言残して出て行った。店内は多少の気まずさを残しながらも、表面上は何事もなかったように、粛々と日常業務に戻った。それがまた、ちょっと異様な光景だった。

業界の社内風土を垣間見たような気がした。

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