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2003年12月10日

文学に若手作家ブーム

文学に若手の波が押し寄せているようだ。出版社の戦略もあるのだろうが、最近の文学賞で、高校生ぐらいの作家が候補に挙がったり、受賞したりするケースが多い。

彼らの作品をまだ読んでいないのだが、批評をいくつか読むと、ちゃんとした文学作品の体裁になっているらしい。

将棋の世界みたいなもので、今は情報量が多いから、若いうちからそうした感性を鍛えることは可能だろう。それに、パソコンがあるので、文章は容易にいくらでも練り直せる。

しかし思えば、最近こそ文学は中年以上の作家のものというイメージが強いが、以前は小説は若い人間が書いていたものだ。大江健三郎だって東大在学中にデビューしたし、かの夏目漱石だって、あれだけ書いて 50歳になる前に死んだのである。

ただ、昔の若手と今の若手はやはりものの見方が違うだろう。明治の文豪の 18歳は、人生がたかだか 50歳であったころの 18歳である。今で言えば、30歳ぐらいに相当するだろう。今の 18歳は、80歳まで生きる人の 18歳である。いくら情報量が多いとはいえ、まだ先に60年以上の人生が残っている。

しかし、今現在の 18歳はそんな想定をしているだろうか。案外現在60歳の作家の方が、「まだあと 20年ある」 ぐらいの気持ちでいるのではなかろうか。それを思うと、若い作家の方が 「先のない今」 を見ているような気がする。

年齢意識というのは、人間の寿命と、世の中のムードの二重構造で規定されている。

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